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テルアビブ初のLRT「Red Line」

宇都宮のLRT開業初日に行けなかった代わりに、テルアビブのLRT開業初日に行ってきました。というわけでも無いのですが、たまたまテルアビブを訪れいる時に開業したので見てきました。イスラエルでは既にエルサレムにおいて2011年からLRTが運行されていますが、テルアビブでは初のことです。路面走行区間の他に地下区間もあり、今後に期待できます。

テルアビブではRed Line、Green Line、Purple Lineの3路線の計画が進行中ですが、そのうちのRed Lineが2023年8月18日に開業しました。公式Webサイトによると総距離は24kmで、34駅、5つの市を結んでいます。

Red Lineの路線図(公式Webサイトより)

運行系統は3つに分かれており、R1がHaKomemiyutからCentral Station Petach Tikvaまで、R2が同じくHaKomemiyutからKiryat Aryeまで、R3は途中のEifeletからKiryak Aryeまでとなっています。このうち、Eifeletの少し北からKiryak Arye駅の少し南までが地下区間です。

車内掲出路線図 中に黒線の入っている区間が地下

時刻表は駅には運行間隔と接近情報の表示しかありませんが、GoogleマップやMoovitで全ての時刻を見ることができます。各系統おおむね10分間隔です。なお、例の如く金曜日の夕方から土曜日の夕方にかけての運行はありません。シャバット無料バスの運行区間であればそちらをご利用ください。

地下区間のBialik駅 初日は祝賀ムード
同じく地下区間のBen-Gurion駅のホーム
Bialik駅のホーム 開業初日は無料だったためすべての改札が停止している

地下区間はまさに地下鉄といった雰囲気で、長いエスカレーターを降りて全面ホームドアのホームへ向かいます。鉄道と違ってセキュリティチェックはありませんが、途中階には自動改札もあり、Rav-Kavカードか、アプリの検札用QRコードを翳して通過します。地下区間では時速60km程度で安定して走行しており、早くて便利な乗り物になっています。

地上区間のBalfour駅

一方で、地上走行区間は道路の中央に路面電車の駅が設けられています。島式でホームの広い駅が多いという印象です。自動改札は無く、駅に設置されたICカード読み取り機にRav-Kavカードを翳すか、アプリで乗車手続きを完了させて乗車します。アプリはGPSを用いて乗車駅を判定しておりエルサレムと同様ですが、カードの読み取りが車内ではなく駅ホームなのは違う点です。紙の切符は地下区間を含めて販売がありませんが、全ての駅に券売機(券は売らない)が設置されており、Rav-Kavカードの新規発行や1回券や1日券の購入、チャージなどに対応しています。

地上区間では路面電車だということもあり、やはり時速30km程度でのろのろ走ることになります。ただし、軌道自体は道路から車を追い出したり、残しても1~2車線にしたりしているので、比較的交通量の少ない道をずんずん進むことができる区間が多い印象ではあります。

なお、運賃は均一ではなく距離によって変わるため、端の方の駅から乗車するときには運賃を選択する必要があります。黄色で15kmまで5.5NISと表示されているところの下に「Additional distances」というボタンがあり、これを押すと15km以上の駅名が表示されます。こちらは12NISです。

運賃制度について説明していませんでした。イスラエルの公共交通は会社に関わらず一律の料金設定がされており、こちらのサイトに説明があります。LRTなどの市内交通やバスだけを利用する場合と、イスラエル鉄道を利用する場合とで運賃が変わり、あとは距離で決まりますが、物価の割には安い水準で利用できます。停車駅の少ない列車や高速バスなどを利用しても追加料金はありません。

1日に何度も乗る場合にはDaily Passがお得です。区間に関わらず距離で1日券を購入でき、どの会社でも利用できます。長距離列車に乗る場合には単純往復でも元が取れる設定で、さらに追加でバスやLRTに乗る場合も無料なのでかなり便利です。ICカードRav-Kavの場合は駅やスマホアプリなどで事前購入をして利用する必要がありますが、MoovitなどのQR乗車の場合には割引が自動計算されて最も安い運賃で請求されます。

15km以内では最初の乗車から90分以内の乗継が無料になるなど、単純に回数だけでは元を取れるか事前に予測できない場合もあるので、割引を事後適用できるアプリでの乗車がおすすめです。スマホで乗車できるアプリはいくつかありますが、なぜか登録できないものもあったので、「Moovit」が良いでしょう。経路検索アプリを兼ねており、バスの接近情報なども見ることができます。登録の際に電話番号は+81、ID番号はパスポート番号で問題ありません。

ただし、アプリだと乗車用QRコードの表示にもたついたり、いきなり広告が出てきてイラついたりするので、利用の仕方によってはRav-Kavの方が便利かもしれません。Moovitでは駅名の翻訳が完全にはされておらず、LRTの降車駅選択で戸惑ったりすることもあります。Rav-Kavカードは空港や駅などの機械や街中のカウンターなどに行けば5NISで購入でき、クレジットカードでのチャージも可能です。Rav-Kavアプリを入れれば、スマホでのチャージや一日券購入もできます。

支払方法については、別の記事でもう少し詳しく説明しているので、興味がある方はご確認ください。

さて、何日かかけてLRT全線に乗車しましたが、ただの地上駅、ただの地下駅とは違う構造をしている駅もありました。イスラエル鉄道と接続しているKiryat Arye駅です。他の接続駅では確認していませんが、この駅ではイスラエル鉄道の構内を通過しなければLRTに乗車できない構造となっています。

イスラエル鉄道の駅構内を通過する必要がありますので、乗車時にも降車時にも手荷物検査があります。利用者がそこそこ多いようで、入口にも乗り換え口にもX線検査機が設置されています。駅に入ると左側、駅から出たい時は検査を通った後の左側に通過用レシートを発行する機械が設置されています。LRTの切符ではイスラエル鉄道の改札を通過できませんので、乗り換えない場合にはこの切符を使ってホームに行くことになります。

なお、乗り換え口にはLRTの自動改札機は設置されていません。通常の地上駅と同じように、ホーム上の機械にタッチして乗車することになりますので、LRTの出口には改札が無く、いきなりイスラエル鉄道の荷物検査があります。反対に、イスラエル鉄道側からLRTに向かう場合には、改札の後で回転式ゲートを通過して鉄道構内から出て、そのままホームに向かうという形になります。

右側がLRTエリア、左側がイスラエル鉄道エリア


乗り換え口でイスラエル鉄道の改札を出ると、回転式ゲートの奥にLRTへの階段がある

観光客が利用しやすい区間はあまりありませんが、おもしろい鉄道ですので、時間がある方は利用してみてはいかがでしょうか。

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