高圧送電線の地役権登記文言
電線が通る土地には通常、地役権が設定されます。文言をいくつか見かけたので、軽くメモとして。
たまたま近くの土地を見ていたので、参考として北電江別変電所の登記情報を確認してみました。地役権が承役地に設定されると、要役地にも職権でその旨が登記されます。鉄塔の建つ土地ではなく変電所の土地を要役地としているので自然と乙区の登記事項が多くなり、ここでは順位番号484に達していました。地役権設定範囲は「全部」となっているものが圧倒的に多く、地役権設定箇所だけ文筆している土地が多いことがわかります。多いので見るのも大変ですが、今度時間があったら文筆しないで地役権設定している割合でも出してみるのも面白いかもしれません。
さて、本題の地役権登記の「目的」に書かれている文言です。江別変電所では昭和39年6月から昭和46年3月まで次のようになっていました。
昭和46年4月から文言が長くなり、昭和46年10月まで次のようになります。具体的に何ができないのかが書かれるようになりました。
昭和47年2月から昭和48年8月まではまた短くなります。担当者が変わったりしたのでしょうか。
昭和51年1月の登記はさらに短くなります。なお、この文言が使われた登記は1回だけです。
昭和56年7月には再び長くなり、次の文言で6件の登記が1日にされています。建造物などの制限のほかに、立ち入り工事を施工することも追加されました。
昭和57年11月から昭和63年8月までは最初の「すること」が抜けて次の文言でした。なお、昭和63年3月までは句点が抜けています。
平成1年1月から、さらに長くなります。危険物に関することが追加され、伝説路に支障となる「一切の行為」と列挙したもの以外を包有できる文言です。この文言は現在も使われています。
他の変電所についても、インターネットで検索して出てきたものを引用します。
小樽市の平成19年の登記を見ると、平成以降の江別変電所と文言は同じようです。また、室蘭市の登記も昭和56年7月の江別変電所と酷似しています(最初の文について句点が有無が違う)。
続いて、相生市の昭和61年8月の登記です。電線の支障となる建造物の禁止について、具体的な数字を出してどこまでなら建てられるのかを明確に示しています。また、句点がなく全体が一文でまとまっています。なお、ここは文筆せず土地の一部に地役権を設定する形のようです。
京都市の昭和36年11月の登記も見つかりました。今までのものとは違い、箇条書きで書かれていて読みやすいです。これも土地の一部に地役権を設定しているケースです。
電線路の設置に関する地役権は多数設定されており、だからこそ珍しいわけでも無いので検索してもこのくらいしか見つかりませんでした。今月は登記情報提供サービスだけで2万円以上溶かしているのでこのくらいにしておきます。ちなみに日本の変電所は電力10社で7107箇所(出典)あるそうなので、全て照会すると23万円以上かかるようです。寄付お待ちしております。
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