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点字用郵便を送る

日本郵便の制度には「点字用郵便」というものがあり、内容が点字だけなどの条件を満たせば、誰でも3kgまで無料で送ることができます。今回は点字用郵便を実際に送る方法などをご紹介します。

この記事だけ読めば理解できるように書いていますが、約款での条文や、制度の歴史などが知りたい方は以下の記事も参照してください。

準備

点字用郵便は名前の通り、点字を内容とする郵便物ですから、まずは点字を書かなければなりません。郵便約款では点字の定義がありませんが、ひとまず3点2行のものが無難でしょう。

学習用の小型点字器であれば、Amazonで1,600円で購入できます。日本点字図書館の通販だと1,150円ですが送料が510円、さらに代引き手数料が330円かかりますので来店できない場合は得策ではありません。

紙は、日本郵便としては指定は無い(※点字内容証明では「日本工業規格B5の点字用紙(点字を明瞭に掲げることができるものに限ります。)」との指定がある)のですが、コピー用紙だと簡単に穴が空きますので、比較的厚めの紙を用意した方が良いでしょう。日本視覚障害者団体連合の通販サイトでは、110kg(紙の厚さの単位で、原紙を1000枚重ねたときの重さ)のB5用紙100枚が290円で購入できます。クレジットカードは利用できず、振込などで支払うことにはなりますが、点字用郵便の類似制度(特定録音物等郵便物)を使って送料無料で送っていただけます。

また、同連合の通販サイトでは点字用はがき(=写真)も10枚70円で購入できますが、これを使う必要はなく、文具店などで購入できる無地のはがきも利用できます。

日本視覚障害者団体連合が販売している、点字用の普通はがき

このほか、複数枚にわたって手紙を書く場合には封筒などもご準備ください。大きさは普通郵便の定形外規格外と同じで、重さは3kgまでです。また、後ほど述べるように通常の封筒では切れ目を入れる必要があるので、それを避けたい場合は窓付き封筒などを利用するのも手です。

第四種郵便物の大きさ(日本郵便Webサイトより)

書き方と封の仕方

書き方に決まりはありませんが、点字を内容とすることが絶対条件です。したがって物を同封することはできませんし、普通の文字(墨字)と点字を併記したものを送ることもできません。

ただし、宛名や差出人といった封筒に記載するものは墨字で記載することができます。これは墨字で書かなければならないというものではなく、視覚障害者の運動の成果により点字で宛名を書いてもちゃんと届きます。

宛名を点字のみで書いて送った例
郵便局員によって翻訳され、鉛筆で記入された状態で届いたという

また、点字用郵便は開封して送る必要があります。もちろん封を完全に開けたままでは中のものが出てしまいますので、写真のように横や封の一部などを切りとり、中を見えるような形で送ることになります。点字であることを確認するために中が見えることが目的ですので、水濡れ防止などでビニール袋を使用することは問題ありません。

料金は無料ですので切手は不要ですが、縦長の郵便物では左上、横長の郵便物では右上、つまり通常切手を貼る部分に「点字用郵便」と記載する必要があります。これまで掲載したはがきや封筒にも、印刷やスタンプなどで「点字用郵便」と書かれていることがわかるかと思います。もちろん手書きでも大丈夫です。

差し出し

点字用郵便もただの郵便物ですので、ポストに投函すれば送ることができます。切り欠きなどの開封された箇所から中を確認しますので、窓口で見てもらう必要はありません(窓口で中を見せても、開封しないで送ることはできません)。

さらに、追加料金を払えば、速達、簡易書留、一般書留、引受時刻証明、配達証明、内容証明(※通常の内容証明とはルールが異なります。そのうち記事にするつもりです)、特別送達(※裁判所しか差し出せません)、特定記録、本人限定受取、代金引換、配達日指定を付けることもできます。また、年末に「年賀」と書いて差し出せば、無料で年賀特別郵便として出すこともできます。一方、新特急郵便や配達時間帯指定郵便とすることはできません。(日本郵便Webサイト内の「付加することのできるオプションサービス一覧表」参照)

このようなオプションを付ける場合には基本料金のみが無料となり、特別扱いの加算料金を支払うか切手を貼付することで送ることができます。

代金引換郵便として差し出された特定録音物等郵便物
加算料金265円分の切手のみが貼付されている

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