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IT界隈で未経験フリーランスが増えようとしている

2020年くらいから職業としてのITエンジニアが注目されてきています。

ITエンジニアといえば2000年あたりでは人気のない職業でした。

長時間労働
ブラック職業
モテない

↑このようなイメージが付いており、避ける対象だったかと思います。

しかし最近はITエンジニアへのイメージが変わったのか、ITエンジニアになるのを勧める人が増えてきました。
ですが人気が出てきた反面、「未経験フリーランス」という不確かな存在も出てきているようです。

今回はIT界隈で未経験フリーランスの問題点について書こうと思います。

IT界隈で未経験フリーランスが生まれる理由

IT業界で未経験フリーランスが生まれる理由、それはSNS上のプッシュが大きいでしょう。

2010年代あたりからSNS上でフォロワーを多く持ち、影響力が大きいインフルエンサーと呼ばれる人間が台頭し始めます。
そして2010年代後半に一部のインフルエンサーがこのように喧伝し始めました。

✓ ITは稼げる
✓ 本気でIT勉強すればITエンジニアとしてすぐ活躍できる
✓ ITエンジニアはプログラミングしていればいいので内向的な人向き
✓ 場所や時間を気にせず自由に働ける

このような喧伝が広まり、ITエンジニアになろうとする人が増えました。

そして2020年あたりからは以下のような声が出てきました。

✓ 会社所属のITエンジニアは給料が低い
✓ フリーランスになれば月収100万円は余裕
✓ 案件はクラウドソーシングサービスで探せば良い

このように喧伝する人達の声を聞いて、プログラミングスクールを卒業してすぐにフリーランスITエンジニアを目指す人が増えたように思います。

しかし未経験フリーランスのITエンジニアには大きな問題があります。



未経験フリーランスITエンジニアの問題


ITエンジニアはそれほど稼げない

そもそもITエンジニアはそれほどお金を稼げるわけではありません。
IPAのIT人材白書に以下のように書かれています。

日米の情報処理・通信に携わる人材の平均年収(2015年)
システムエンジニア(日本):5,923,300円
プログラマ(日本):4,083,500円

IT人材白書2017 - IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

2015年調べでSEの年収が約600万円、PGで400万円。
日本の賃金事情は特に上昇していないので、最近もそれほど変わっていないと考えていいでしょう。

では何故ITエンジニアが稼いでいるように見えるのか。
それは優秀なITエンジニアが稼いでいるからです。
有名IT企業の優秀なITエンジニアが800万、1000万と給料を貰っているのを見て「ITエンジニアは高給」に見えているだけなのです。

フリーランスも同様で、優秀なエンジニアであれば会社の給与体系から抜け出して自分で自分に値段をつけて稼ぐことができますが、未熟な未経験フリーランスではそれも叶いません


すぐ活躍できない

未経験でフリーランスになろうとする人は、プログラミングスクールを卒業してすぐにフリーランスになろうとしますが、すぐに活躍はできません。
何故ならスキルと経験が圧倒的に不足しているからです。

スクールで勉強したからスキルは足りている!

と思う人もいるかもしれませんが、スクールでフレームワークを使って動的なページのポートフォリオを作れるようになっただけでは不足しています。
実際の業務では

  • サーバー

  • ネットワーク

  • データベース

  • アプリケーション

などの手を動かすITスキルに加えて、資料作成、説明、トレーニングなどのスキルも必要になってきます。
これらは卒業したてで身についている人は稀でしょう。


フリーランスは全て自分でやらないといけない

これらに加えてフリーランスの場合はやることが増えます。
会社員の場合は、自分の部署内の業務範囲がありますが、フリーランスの場合は自分=会社のようなもの。

ITだけやっていればいいというものではなく、案件獲得や金額交渉のような顧客との交渉業務も自分でやる必要があります。
近年はクラウドソーシング系のサービスを利用することで敷居は下がってきていますが、それでも案件が自動で獲得できるわけではないので、ITだけやりたい人にとっては大変でしょう。

さらに売上管理や年末調整のような業務も自分でやるか誰かに頼むかする必要があるので、さらに大変でしょう。
未経験でいきなりできるとは思えません。


未経験でフリーランスになれるという誤解

そもそも「スクール卒で未経験からフリーランスITエンジニアに!」のような誤解が広まっているのが不思議です

未経験で独立できる業界なんて存在しない

これに尽きます。
スクール卒はあくまで「基礎課程を終えた」段階。
プロを自称できても
いきなり1人前のプロ扱いされるはずがありません。

スクールで学べるのは広くて浅い知識。
あくまで基礎を修めるだけなので、スクールの養成プログラムを修了して転職市場で引く手数多になるわけではありません。
スクール修了後も自分で勉強したり何か作ったり、簡単な仕事を引き受けながらスキルを高めていく必要があります。

ITエンジニアになる為にどうやって勉強すればよいか

理容師だって専門学校の後に下積みで店で働きますし、料理人だって自分の店を持つ前にはどこかの店で働いて経験を積みます。
医者だって研修医になるし、会計士だって名乗るには実務経験が必要です。

ITエンジニアだって実務経験はあったほうがいい

ITも同様。
実際にITプロジェクトに携わる経験はスクールの中では得られません。
実務で得られる経験値というものは確実に存在します。

スクール卒で独立してフリーランスを名乗ることはできますが、発注側の立場で考えれば経験の無い人間に仕事を発注する気にはなれません

案件を取れたとしても、実務経験が無いことで案件対応に苦慮する場面は発生しますし、場合によっては自分では対処しきれない案件を取ってしまうこともあるでしょう。

そのまま未経験フリーランスが質の悪い仕事を続けると、

IT業界のフリーランスは質が悪い

という悪評が立ってしまうことでしょう。



誤解の根本はモラルの無いアフィリエイター

いきなりフリーランスになっても、大変な思いをするだけなのに、何故フリーランスがもてはやされたのか。
それはモラルのないアフィリエイターが原因です。

アフィリエイターはプログラミングスクールとアフィリエイト契約をしており、スクールに入会させると報酬が発生します
場合によっては体験レッスンに参加させるだけで報酬が発生するケースもあります。

アフィリエイターとしては、できるだけ多くの人間を入会させたいので、「入会すれば誰でも成功者になれる」と思わせるように記事やツイートを書きます。

そうして出来上がったのが、2010年代後半に一部のインフルエンサーが喧伝し始めたこれらのメッセージです。

✓ ITは稼げる
✓ 本気でIT勉強すればITエンジニアとしてすぐ活躍できる
✓ ITエンジニアはプログラミングしていればいいので内向的な人向き
✓ 場所や時間を気にせず自由に働ける

アフィリエイターにとって重要なのは、アフィリエイト案件が成約すること
本当に「簡単に稼げる」かどうかは関係なく、「簡単に稼げそうに思ってくれて入会させればOK」なのでこのようなメッセージを打っているのです。




人生にショートカットは無い

結局は「簡単に物事を解決できる」と嘯くモラルの無い人間がいるだけで、物事を簡単に解決するショートカットは存在しません

一人前になるには以下の流れが基本です。

・専門学校や自主学習で基礎を学び
・現場に出て経験を積み
・一人で仕事ができるくらい知識と経験を蓄積したら独立する

私を含む99.9%以上の一般人はこの流れで進んだほうが無難です。

一部の人間は天才的なセンスで成功したり、いきなり未経験で荒波に揉まれながら成長する武者もいますが、そのような特殊なタイプはSNS上のインフルエンサーの意見に左右されずに最初から突き進んでいます


フリーランスは「ひとりで会社できる人」です。
未経験からなるものではありません。
まずは「ひとりでできる人」になる為に、会社の中でコツコツ修行して、いつか「ひとりで全てできる人」になったときに独立するのが良いでしょう。


P.S.

WEBサイトの方でも情報提供しているので、よろしくおねがいしますm(_ _)m


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