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リ・ジュンヒョクとドンスの共通点はあるのか① ・ヒョンビン攻略・寄り道から袋小路へ(ネタバレごめんなさい)

ちょっと寄り道、どころではなくなった。まだレビューすらままならない・・

というのはヒョンビン・ドンスの姿が、あまりにも切なすぎて 胸が痛くなって見ていることすらできなくなってしまう  その都度一時停止、そんなコマ送り的な見方で見ている。そもそも このドラマは前作「友へ チング」の監督が12年経ってリメイクをした作品。お茶の間にもう一度 このチングをと ドラマ用にかなり掘り下げ、映画では詳細に描かなかったドンスの姿 ドンスの悲劇を見せばに持ってきた。そして当時といえば、激動の朴大統領の独裁政治、民主化への弾圧 金と政治、警察との癒着 汚職政治はドロドロ 状態なのだ。その政治的背景と絡んで釜山のヤクザの組織的な攻防と警察や検察とのいたちごっこが繰り返された時代だった。

ヒョンビンに  ドンス役の依頼があった時 周囲やファンは引き受けないほうがいいという意見が圧倒的に多かったそうだ。映画のドンス役のチャン・ドンゴン氏も引き受けない方にアドバイスをしたそうだ。

それまで御曹司役、とにかく格好いい 貴公子として、映画界のプリンス的な存在 将来有望な役者のイメージを変えてしまうというみなさん、不安なのか その役どころのイメージが良くないからなのか、理由はわからない。ヒョンビン氏はその反対を押し切って あえてドンス役を引き受けた。だからこそ、心底 役になりきっていると感じている。

もう、これはヒョンビンとは思えない。まず目つきが違う。人を信じてない目つき、顔を斜めに背けながら流し目で人をみる仕草もリアルだ。どんどんその悲しみと不安が彼を襲い、父を脅し、母を探し出して脅迫 破れかぶれになる。それでも父をなんとか救いたい、家を捨て父を捨てた妻を待っている情けない父の姿に苛立ち、でも父には楽をさせたいと訴える息子を邪険に突き放す父、

たった一人だけ 心から愛する女性は彼の唯一の希望そのものだった、生きていく上のただ一つのよりどころだった、でも親友はドンスの気持ちを知っていながら その彼女に「ドンスはお前だけしか見てこなかった」と言いながら 彼女を奪ってしまう確信犯的行為。これがチングのすることか このジンスクという女性像、作家の意図するところが読めなかった。一見ドンスへの思いを持っていると 打ち明けておいて 結局は彼女の裏切りだと思ってる。同情の余地はない。ドンスに父の形見のようなネックレスをプレゼントし、ドンスは死ぬまでこのネックレスをクビにかけている。一方で ウンギという釜山では財閥の父を持つ女性だけが ドンスを心から愛してた。ドンスがジンスク一筋 でも構わない、一見世の中に絶望しているように見えるが先を読んでる、大人の女性だった。ドンスに打ち明けることもせず 彼の忘れ形見として子どもをおそらくしっかり育てるだろう。彼女の気持ちはまさに永遠の愛だ。ドンスは知るよしもないが この愛でドンスは救われた気もする。

ジンスクがドンスの悲劇の直前に 会いに来る。自分は親友の男と逃げるからと言いに来た。それがなんなんだ。ドンスは彼女の後ろ姿を意識して 「自分が生きている今この世界で一番好きな二人が一緒にいる」「もう終わりだ」と呟く・・・

彼はヤクザで手に入れた財産を好きな画家の絵を全て自分の事務所の部屋に飾った。小学生の頃 美大に進んで画家になれと言われたほど 絵が得意で 将来の夢だった。その絵に向かって 「終わりだ」と・・・

ドンスはあえて親友との確執の戦いに突入する。正直、幕を弾きたかったのだ。だから八方塞り。人生終わりだと思うのも、当然、無理ない。ヤクザの抗争は日に日に激しく、仲間の裏切りもあってついにその命を落とす、反対勢力ながら親友に「お前逃げろ」といわれるが そもそも あんたが自分の愛する女性をさらったのだから そんな友の憐れみみたいな 同情を受け入れるわけもない。

無残な殺され方をして土砂降りの雨の中で ついにその短い人生を終えるのだ。 映画のチャンドンゴンとは全く違うドンスを ヒョンビンは演じ切った。とにかく見ている私に ドンスの気持ちが乗り移って 胸がずっと痛い。それだけ 彼の演技は迫真で 素晴らしかった。ヒョンビンドンス、お見事、と言いたい。

彼にしかできないナイーブで 繊細な気持ちのドンス チャンドンゴンとは明らかに違うドンスだった・・・

ヒョンビンはリメイクしたドラマでのドンス役 映画と同じ監督がドラマも手がけた。映画は当時興行成績第一位の作品になった。4人の友達の小学生時代をプロローグするシーンから始まる。 激動の暗黒時代70年代から80年代、90年代 政治や社会背景を深く描き 自分たちの生き方を悩み苦しみながら、それぞれ別々の道を歩んでいく。その描き方はおそらく当時の大人たちが自分たちの貧しかった生活 苦労した青春時代と重ね合わせて見ていたのだろう。ところがドラマはある程度世情が落ち着き 娯楽映画がますます盛んになって来た時代になっていた頃 ある意味政治的な重い問題を土台にしたドラマ。映画のように白黒的な構図 がお茶の間にの人たちにとっては息が続かない 見つづけられなかったのだろうと思う。視聴率は思ったより低迷、10パーセント以下だった。

①を長く書いてしまった・・本題のリ・ジュンヒョクとドンスの共通点は ②に書こうと思う。


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