中尾暢樹は映像俳優か舞台俳優なのか―現代の若手イケメン俳優の分類と彼の特殊な経歴とポジションについて


 
中尾暢樹という俳優をご存知だろうか。1996年11月27日生まれの26歳。ワタナベエンターテインメントに所属する、俳優集団D-BOYSのメンバーである。高校生から芸能活動をしている。本文は中尾暢樹を2年間ひっそりまったり推していた身から感じた中尾暢樹とはどういう俳優かと語るものである。

現代の若手イケメン俳優の分類と中尾暢樹の特殊なポジション



 若手イケメン俳優の枠は大きく分けて2つ存在する

一つは映像俳優
●テレビドラマと映画を中心に活動する
●刑事ドラマなどのアクションものから恋愛ものまで幅広くこなす
●バラエティや情報番組にもよく出演する
●生で見る機会が非常に少ない、舞台挨拶とファンミーティングくらい
●テレビ局とのつながりが深い大手事務所の寡占状態

もう一つは舞台俳優(2.5次元俳優)
●舞台を中心に活動する
●バトルやスポーツの2.5次元作品が非常に多い
●近年は2.5次元俳優とも呼ばれる
●男性比率が高く女性は珍しい
●生で見る機会が非常に多い
●テレビ出演は稀、それゆえにTwitterでの話題になることが多い
●弱小事務所やフリーランスでもチャンスがある


 映像俳優と舞台俳優、同じ若手イケメン俳優のくくりであるのに大きな垣根が存在する。基本的に映像俳優は映像にしか出ないし、舞台俳優は舞台にしか出ない。映像俳優として成功するには大手事務所に所属していて、なおかつ事務所から推されないと売れないというハードルが存在する。ギャラが高い、世間的知名度の高さから舞台から映像に行きたがる俳優が存在するが成功するものは稀である。ちなみにニチアサ特撮と一部の深夜ドラマはこの中間地帯に存在する。


 そして映像俳優と舞台俳優の垣根を飛び越えて俳優を売り込む唯一の大手事務所が存在する。
ワタナベエンターテインメントの東京本社である。

 ワタナベエンターテインメント(以下ナベプロ)の所属俳優たちの特徴として、映像俳優に舞台を経験させ、舞台俳優に映像を経験させる育成方法で幅広く活躍できる俳優を育てるのが上手い。例えば瀬戸康史、山田裕貴、志尊淳など地上波GP帯ドラマ主演クラスもかつては『ミュージカルテニスの王子様』や『Dステ』に起用、逆にグランドミュージカルが中心の東啓介にGP帯ドラマを経験させるような事務所である。

 そんなナベプロ所属の中尾暢樹はどういうキャリアを歩んだかと言うと、映像俳優から舞台俳優に転向というかなり特殊なコースを選んだ。通常は舞台から映像に行く方が圧倒的に多いのに、中尾本人が2.5次元舞台をやりたいと思ったのか、舞台俳優に転向した。
 まずネルケプランニングのアイドルステージシリーズでデビューしたものの、『動物戦隊ジュウオウジャー』のジュウオウレッドに選ばれてからは、『パフェちっく』『文学処女』『カカフカカ』などの恋愛ドラマに立て続けに出演し、界隈を席巻していった。映画『チア男子』では横浜流星とダブル主演という快挙も成し遂げた。

 ところが、コロナ禍真っ只中の2020年末頃から急に2.5次元舞台に出始めたのである。それも『PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice 2』『ミュージカル刀剣乱舞』『ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』』と人気シリーズを次々と射止め、2.5次元舞台でも地位と人気を獲得していった。そして『あいつが上手で下手が僕で』シリーズ(以下『カミシモ』)のような舞台とドラマの両方で展開する作品にも出演した。

 こうして中尾暢樹は映像俳優から舞台俳優への転向、そして映像と舞台を行ったり来たりする特殊な立ち位置を獲得した。2023年現在も舞台『ロミオ&ジュリエット』、ドラマ『カミシモ』、朗読劇2本、『ナルステ』と映像と舞台の両方をこなしている。
 だから、中尾暢樹が映像俳優か舞台俳優(2.5次元俳優)かどちらなのかと聞かれると「両方」と答える。
 最近はよく2.5次元俳優として紹介されることもあるが、それはもっと2.5次元舞台を中心に活躍している人たちに使うべきである。例えば2021年に『ネプリーグ』に<2.5次元俳優チーム>として一緒に出演した荒牧慶彦、和田雅成、佐藤流司のように、長年にわたり数々の2.5次元舞台に出演している俳優に使うべきである。

 筆者は当時の中尾暢樹のように最近舞台に出始めた俳優をこのくくりで出すのは違和感を感じたが、2年弱立った今となっては映像と舞台と両方で活躍しているので正しいと思う。
 そして映像俳優かと言われると、こちらも正しい。舞台中心になった2020年以降もからも前述の『カミシモ』や、『壁サー同人作家の猫屋敷くんは承認欲求をこじらせている』『あなたの番です 劇場版』といった映像作品に出演している。なので完全に舞台に軸足を移したとも言い切れない。やはり映像俳優でもあり舞台俳優でもあるというのが正しいのではないのだろうか。

ではなぜ中尾暢樹が映像と舞台の二つのフィールドで活躍できたかと言うと、彼が役者としての実力がすごく高いからである。容姿端麗で芝居も上手く人当たりがいい。次回の記事では筆者が考える中尾暢樹の魅力について語る。


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