なんで出てくれないんだろう、といつも思う。

わたしは面白いくらいに熱が出ない。
風邪を引いても、大きな怪我をしても、心が病んでも。

熱が出る人がいつも羨ましかった。
どんなに頭が痛くてもわたしの体温は36.4度をキープする。

熱が出さえすれば、休む口実が簡単にできる。
熱が出さえすれば、嫌なあいつに合わなくて済む。
熱が出さえすれば、周りの人々に心配してもらえる。

熱が出ていないわたしはまだ限界ではないということか。
どんなに苦しくて死にたいと思っていても、わたしは“毎日”をかかさずにこなさなければならないのか。

社会の理不尽に、
軽く死にたいと嘆く友人の愚痴に、
気にしすぎだよと笑う周りに、
眩しすぎる日差しに、
無邪気な声が飛び交う昼間に、
すれ違う見知らぬ誰かの笑顔を妬む自分に、

まだまだわたしは苦しまなければ熱は出てくれないのだろうか。
軋んだ音を立てて、どうせなら周りの奴ら全員が驚くほどに崩れ落ちたい。

わたしの限界は、あとどのくらいなのだろうか。

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