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#寝物語シリーズ

7
短篇集
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記事一覧

『薔薇を、君に』

『薔薇を、君に』

お題「一万本の薔薇の中」

少年は花屋の女店主に頑張って貯めたであろう小銭だらけのお金を差し出し百本の赤い薔薇の花束をオーダーした、女店主は微笑みながら「誰かにプレゼントするの?」と聞くと、少年は彼女を真っ赤な顔で見つめ小さな声で「貴方に」と答えた。それを聞いた彼女は、驚いたが、そっと一万本の薔薇の中から白い薔薇の小輪を取り出し彼に渡した。

「百本の薔薇のお返しに、これを貴方に…いつかき

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『どしゃぶりの女』

『どしゃぶりの女』

お題「魂 霧雨」

付き合っていた女が死んだ。名前しか知らない女。ただ一つ、覚えていたのは、アイツは酷い雨女だったって事。
アイツと会う日はいつも土砂降りの雨で、でも、アイツは雨が好きだと言って雨が降ると傘を持たずに雨の中を踊るように走り回った。
勿論、今日の葬式も生憎の雨だった。だけど、この雨はいつもと違った。霧雨。
この霧雨の中、アイツの魂が踊っているように感じた。俺の頬を撫ぜる涼やかな雨

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『先輩の消しゴム』

『先輩の消しゴム』

お題「消しゴム ツンデレ 卒業」

今日は、卒業…大好きな先輩が、卒業する日。
最後だから、今日で最後だから…私は、先輩を部室に呼び出した。
やって来た先輩の胸には、卒業生だけが付ける花のコサージュ。それを見て、涙が溢れそうになるのを必死で我慢した。
私は、「卒業おめでとうございます。卒業したら返せなくなるので、これ。借りたままにしときたくないので」と彼に借りた消しゴムを押し付けて部屋を飛び出した

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『Via Dolorosa.』

『Via Dolorosa.』

お題「ヴィアドロローサ」

私は、見守る事しか出来なかった。彼の方が、1人背負った罪、ゴルゴダまではまだ遠い。

「ヴィア・ドロローサ」

しかし、彼は…笑っていた。

※ヴィア・ドロローサとは
(ラテン語:Via Dolorosa(「苦難の道」の意))は、新約聖書の四つの福音書の記述やキリスト教の伝承などから想定されるイエス(キリスト)の最後の歩みのこと。ヴィア・クルキス(via cruc

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『その手から伝わる』

『その手から伝わる』

お題「放課後 肝試し ドキドキ」

放課後の肝試し、君と手を繋ぐ。
僕のドキドキが、手から君へ伝わらないか…それが僕にとっての肝試し。

http://shindanmaker.com/335959
ここで出たお題を使って、ショートショートストーリー(SSS)を書いてみたりしてます。 #寝物語シリーズ #SSS

『橙色に染まる』

『橙色に染まる』

お題「大都会/オレンジ/テトラポット」

大都会を背にして、僕は海を眺めていた。
目の前にはオレンジ色に染まったテトラポット…僕は、そのまま海へと身を投げた。

Life clipにアップしてた寝物語シリーズです。
http://shindanmaker.com/335959
ここで出たお題を使って、ショートショートストーリー(SSS)を書いてみたりしてます。 #寝物語シリーズ #SSS

『冷たい炎』

『冷たい炎』

お題「京都 全て、嘘 文化祭 君がいなくちゃつまらない 電脳世界」

ここは未来の京都…古都と呼ばれた世界もすっかり電脳世界に染まっていた。そんな世界。
今日は文化祭の前夜祭、ホログラムのキャンプファイヤーを囲み、各々が明日の祭りへの期待に心踊らせ、ひと時を過ごす。
そんな風景を教室から眺める彼の隣には、白い花瓶が備えられた机。彼は「君がいなくちゃつまらない」そう呟き、窓を背に膝を抱えた。

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