見出し画像

(雑談)郵便が最強

私の大好きな小説のひとつに、サンテグジュペリの『夜間飛行』という作品があります。これは第一次世界大戦後の世界で、郵便飛行機を操縦する人達が主人公の物語です。当時はまだまだ電気も通信技術も発達しておらず、長距離を夜間飛行するのは大変な危険を伴う行為だったのですが、それでも「郵便飛行機」だけは速達性が重視されるため、悪天候だろうが夜間だろうが関係なく飛行していた、そんな時代のお話です。

内容は読んでいただくとして、注目すべきは「郵便飛行機こそが花形」だった、という時代背景です。当時は世界大戦が終わり、大戦中に戦地で活躍したパイロットが一度は職を失ったものの、その後多くが郵便飛行機のパイロットとして再び第一線で活躍した、というのは史実もそうらしく、なんならサンテグジュペリ自身もそういう経歴を持つ人だというのは有名な話かもしれません。

いまでこそ、遠地の誰かと話をしたいと思えば、電話もメールも最近だとweb会議も可能です。ところが第一次世界大戦後の当時は、もちろんそんな手段なんてなく、唯一人間が人力で郵便を届けることだけが、遠隔地との間で連絡を取り合う手段だったのです。同時に、当時は植民地時代でもあり、本国と植民地との間で通信量が増えていた。だからこそ、郵便飛行機が最重要視されていたのでしょう。

同じような話は日本でも聞いたことがあります。ある東北地方の山間の村では、毎年冬になると暑い雪に閉ざされ、隣の村との行き来すらままならないような状況になる。ただ唯一、そんな雪の中を山を越えて移動できたのが、郵便の配達員だった(当時は逓信職員)という話です。彼らの使命は郵便を届けることであり、それがどんな山奥でも危険な道でも雪をかき分けながら行き来して、村々の通信を支えていたのだそうです。

村によっては、郵便配達員が先導する形で村人が隣村へ移動する、なんてこともあったらしいですね。それゆえ、配達員の方からは「○○村の人間は我々を雪かき隊員か何かと勘違いしているのではないか」という陳情が出されたこともあるそうで。でもそのぐらい、たくましく頼れる存在であるのは事実でしょう。

現代においても郵便の配達員さんは、エブリィやカブを駆使してものすごいところまで郵便や荷物の配達をしてくれますよね。どんな山の中の町にも郵便局があり、配達がやってくる。もちろん私の家にも郵便配達の方は、いつもだいたい決まった時間にやってきてくれます。本当にありがたいことですし、たくましいなと思います。また私自身、仕事で郵便を出す機会はとても多いのですが、絶対に届けてくれるという安心感がありますよね。

明治時代に近代化の一環として、一番最初に整備されたのが郵便インフラだったという話も聞いたことがありますが、間違いなく郵便というものは、いつの時代も人々の生命線として機能しているんだろうなと。

そんなことを考えました。見出し画像は「みんなのフォトギャラリー」からお借りしました、ありがとうございます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!