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(雑談)ロマンでも神頼みでもない

ちょっと前の話ですが、関わらせていただいていた会社の社長さんが、始業する前の「儀式」について教えてくれました。なんでも朝工場に来たら、まず掃除をして、その後機械に向き合って、ひとつひとつ礼をしてから、仕事に入るようにしているのだそうです。それも社長さんだけでなく、その会社で働くすべての従業員さんがそうしているのだそう。

掃除をするってのはよく聞く話ですが、機械に頭を下げるっていうのは、ちょっと凄いですよね。もしかしたら工場等では一般的に行われていることなのかもしれませんが、少なくとも私はその社長さんから聞いたのが初めてのことでした。

で、「なるほど、機械も神様のように大切に扱ってるんですね」って相槌をうったのですが、社長さんは「もちろんそうなんだけど、それ以上に大事なのは、毎日同じ角度から同じように機械を見ることで、部品が曲がってないか、ねじが緩んでないか、その他異常が無いかを確かめるのよ。安全のため。ロマンでも何でもないのよ」とのことでした。

この話を聞いたとき、うわーっ!なるほどな!と膝を打ちました。ロマンでも何でもなく、ちゃんと目的があってのことだったのですね。毎日「儀式」を行うことで、同じ角度から同じ機械と向き合う時間がつくれる。すると何か異常があったときに「あれ、何かヘンだな?」と気づくことができる。そしてそれをすべての従業員さんが行うことで、ダブルチェック、トリプルチェックが行われて、結果事故を未然に防ぐし、事故に至らなくても仕損の発生や機械の故障による生産のストップ、それによる機会損失の発生を防いでいるのです。

もちろんそういったチェックを作業手順として採り入れている工場もあるでしょうし、何かしらの形で行われているのは通常そうなのでしょうけれど、それを「儀式」とすることで、当たり前に必ず行うルーティンとして採り入れていることが、面白いですよね。従業員さんもその「儀式」を「ウチは神様が見てるから」といいながら楽しそうに、ちょっと誇らしそうに遂行してましたし、場合によっては採用活動等でも「儀式のある会社」として宣伝することもできるかもしれませんし。「手順①作業前に機械全体をよく確認します」と書いて終わらせた場合は、そんな効果は得られないわけです。

実際神様としても、悪い気はしないでしょうしね。ちょっとぐらいオマケしてあげてもいいかな、と思ってくれそうですし。なかなかいい話を聞けたなと思ったのでした。見出し画像は「みんなのフォトギャラリー」からお借りしました、ありがとうございます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!