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(雑談)「意見を言う人」の意見を聞く必要が無い理由

2:8の法則、ないしはパレートの法則という言葉、ご存知でしょうか?わりと色々な場面で用いられる面白い法則論ですね。たとえば物を売る業種だったら「売上の8割は2割の常連によって形成されている」とか「お客さんの8割の人が欲しがる商品が全体の2割、お客さんの2割の人しか欲しがらないニッチな商品が全体の8割」みたいな話を聞いたことがあるのではないでしょうか(ロングテールとも呼ばれますね)

この法則を応用するものとして、私が学生だった頃に講義で教わったのが、人の意見をどこまで取り入れるか、という話でした。

講義では最初に、とあるラーメン屋の話が採り上げられていました。そのラーメン屋さんは常連さんを中心にいつもそれなりに賑わっていて、人気のお店だったんですね。メインは醤油ラーメンだったかな?忘れたので醤油ラーメンだったことにしましょう。

ある日そのラーメン屋さんに、クレームというか苦情というか、電話が入ったのだそうです。内容は、醤油ラーメンがあまりおいしくない、味が以前よりも落ちたから、改善して欲しいというものだったそうです。味が落ちた、というのは何とも抽象的なクレームですが、真面目な店主はその日から醤油ラーメンに色々と工夫をして、味の研究につとめたのだそうです。

ところがです。味の研究をはじめた頃から、客足がどんどん減っていったのだそうです。なんでだろうかと常連さんに聞いたら「いつものラーメンが美味しくて好きだったのに、味が変わっちゃったからね」という答えだったんですね。

お店に来ていた大部分(8割)の人は『現状に満足』していた。皆さんも想像して見て欲しいのですが、現状に満足しているときに、わざわざ「現状に満足してるー」と声をあげることはしないのです。一方でのこりの2割、ないしはそれよりも少ない割合の『現状に満足していない』人がいて、その人がお店にクレームを入れたのです。しかしそのクレームというのは、全体から見ると2割の少数派の声であって、8割の人は別に現状を変えることを望んでいなかった。それなのに、その2割の意見を採用してラーメンの味を変えてしまったものだから、現状に満足していた8割の人達を失ってしまったと、こういう状況が生じていた。というお話なのでした。

これは様々なことにも当てはまります。たとえばSNSを開くと、さまざまな不平や不満が目に入ってうんざりすること、あると思いますが、現状に満足している人はわざわざSNSに不平や不満を書かないんですね。現状に満足していない人達がアレコレ書くので、不平や不満に溢れるのです。政治の話題なんかもそうですね。テレビで散々悪評が立った政治家の方が、次の選挙でいとも簡単に当選したりするのは、そもそもテレビで声をあげているのが現状のその政治家の方に満足していない人達であって、現状に満足しているか、少なくとも中立程度の人は、わざわざ表立ってそのことを声に出さないので、結果として一見すると「世の中の人々は政治に不満を持っている人が大多数だ」という印象を受けることになるのです。

なんでもそうですが、意見を言う人は、実際には少数派であることが多い。だから意見をなんでも取り入れるのではなく、果たして全体に対して本当に必要なものは何か。何に満足していて、何に不満があるのか。管理者はそういったことを考え、全体を見て意思決定しないといけないよ。時には無視することも必要だよ。そういうことを講義の中で教えていただいたのでした。

教えてもらった当時は「ふーん」ぐらいにしか思っていなかったのですが、今思うとこの講義の内容、こと現代社会においてはめちゃくちゃ重要じゃないかなと思うのです。SNSだったり、テレビのニュースで報道されている内容が、すべての人の総意であるとは限らない。もしかしたら全体の2割、ないしはそれ以下の少数の、現状に満足していない人達が声をあげているだけかもしれない。全体で見ると大部分の人は、現状に満足していて「たいして気にしていない」かもしれない。そういう目線で物事を見るだけで、情報の受け取り方は随分と変わってきますからね。

必ずしも、意見を言ってくる人の意見というものに、すべて真摯に対応する必要はない。ただそういった不満を持っている人がいる、ということは認識しておく必要があると思いますが、大事にすべきは意見を言わない8割の人達であって、そこがどう考えていて、何を思っているのかを汲み取るようにすることが、お店や会社を運営していくうえでは大事。そんなお話でした。見出し画像は「みんなのフォトギャラリー」からお借りしました、ありがとうございます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!