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友人とは

おそらく時が経てばあぁそういうこともあったなぐらいで済ませられる話である。しかし今日は敢えてここに今の私の気持ちを書き記しておこうと思う。

長年の友人と会って、たわいのない話をする日が昨日だった。昨日はどうも朝から虫のいどころが悪かったらしく、夫とも朝少しもめている。そういうのを念頭に置いて読んでほしい。ともかくその友達が遠路はるばるランチをするために迎えにきてくれた。ありがたいことである。味噌を作ったといっては持ってきてくれたり、そのほかいろいろと細やかに気を配ってくれるところにも非常に感謝している。だからこそ二十年近くの親交を続けているのである。

その日もその友達とランチをし、私が最近購入した掃除機に興味を示したので直接掃除機を見に行こうということになった。その移動中の車中で、安部元首相の奥様の話になった。その友達は「子供もいなくて可哀そうだよね、これからどうするのかしら」みたいなことを言った。私には子供がいない。なのに、彼女を時々そういう旨のことを言うのだ。今までも数々失言してきた。DNAを残せない人はかわいそうだとか、子供がいないからひねくれる性格になるのだ、とかそういうたぐいのことを、おそらく本人は気にせずにぽろっと本音を言っているのだろう。ある時などは、私に向かって、もし旦那さんがなくなったらどうやって暮らしていくの?寂しいようね、まで言った。そのたびに私は少なからず傷ついた。

先ほども言ったように私は虫の居所が悪かったに違いない。いつもは腹立たしく思いながらも流せていたのが、この時ばかりはできなかった。私はけっこうはっきりと、私に子供がいないのを知っていて言っているのか?いつも子供がいるのがいいと言っているのけど。みたいなことをやんわりと言ってみた。私はやんわりと言ったつもりでいるがもしかしたら、しっかり目に言ってしまっていたかもしれない。彼女ははっと我に返り、取り繕おうとした。私が独身に感じるから、とかいろんな御託を並べたがまったくもって意味をなしていなかった。

そのあとは何事もなかったようにお互いふるまったが、私はまだ少し引きづっている。彼女はどうだかわからない。けれども言ったことに後悔はしていない。

彼女はそういう人なのだ。私は夫の仕事の関係でいろいろなところに住み、赴任先で友人みたいな人を作ってきた。彼女は何十年も同じところに住んでいる。だから、私が夫が退職したらどこか違うところで住みたい、というのに否定的な反応をする。私たちが現在住んでいるところに住む理由は全くなくなってしまう。子供がいても縛られていない人はたくさんいる。彼女は少なくともそういう人ではない。口では子供がいても大変だし、なんてことを言っているがおそらくそれは私に対しての表面的なお世辞だったのだろう。

私は友達と呼べるような人があまりいない。いても頻繁に会う人は彼女ぐらいのものである。だから、縁を切ることはできないと思っていたが、度重なる心無い言葉、しかも本人はまったく気づいていない失言に今後もじりじりとしていくのか?友達関係を続けていくのか、そこまで深くは悩んではいないが、ちらっと頭をかすめた。

これからどうなるかはわからないが、言われっぱなしを少し言い返せたのはちょっとうれしい。ここまで書いてみると私がいかにも弱い人みたいな感じになっているが、それは逆で彼女のほうが性格的には弱いと思っている。彼女はともかく自分のことを話してばかりの人で、私が話を割って別の話題を話すまでは永遠と自分語りが続く。数年ぶりに海外勤務を終えて帰ってきても、私がどういう生活をしたかとかどこに行ったかなんてまるきし聞いてこない。唯一口にしたのは何十年も前に彼女がその国に2泊ぐらいの観光で行った時の話ばかり。そういう人なのだ。

ここまで読み返すと、今まであまり気にしていなかったけど、彼女はそうとう自分勝手な人だな、と感じた。だからなのかな、夫が彼女を嫌っているのは。

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