春の残り香

季節は移ろう。それは至極当たり前の摂理だ。

本日の天気は曇り時々雨。傘をさそうか悩むくらいの霧雨が顔を濡らす。いっそ土砂降りの方がいい。そう思う病院から自宅までの帰路の途中。桜が散り葉桜になっているのを見つけた。

行きは急いでいたため気づかなかったな。道には茶色く変色した花びらが落ちている。足早に通り過ぎようとした時、風でふわりと桜の香りが舞った。足を止めるも一瞬のその香りはすぐに消える。こうして時は経っていくのだなと少しもの悲しくなる。

私も生き物だ。時が経てばいつかは老いるし死ぬだろう。それがいつかは分からない。何十年もあとの話かもしれないし、明日かもしれないからだ。いつ何がどうなるかなど想定つかない。

だからこそ、悔いなく生きたいと思う。自ら幕引きなどしたくはない。それこそ面白くないではないか。

頭が痛む。思考を阻むように痛みが走った。今日はもうやめておこう。また明日、頑張っていこうと心で呟いた。

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