話す中で生まれるもの
「あなたは白い部屋の中で目を覚まします」
始まった。そう思い息をのむと、友人が言葉を続ける。
「白い床、白い壁、白いベッド。見覚えのない場所にあなたは驚くことでしょう」
メモを取りながらリアクションを取った。これはTRPGの導入である。TRPGとは簡潔に言えば話しながらシナリオを進める、ゲーム機のいらない遊びのことだ。
状況を整理し、私の分身であるプレイヤーキャラクターの男性は確かにこの状況に驚くことだろう。そう考え行動を開始する。この遊びの醍醐味はプレイヤーキャラクターになりきって行うロールプレイだ。常にこのキャラクターならどう動くのか、どう会話をするのか、考えながら演じる。
キャラクターの行く末がどうなるのかは行動や態度次第で決まったりするのだ。面白いしドキドキする。色々と相談したり考えたりしながら進めていった。
「おめでとうございます、シナリオクリアです」
その一言でどっと疲れが襲う。それと同時に充足感があった。楽しかったし、プレイヤーキャラクターの行く末を見守れてよかったと思う。
疲れるのだがまたやりたくなるのもそういうことだ。プレイヤーキャラクターに同調し話をしていると楽しい。
窓の外はもう明らんできていた。そろそろ寝なくては。
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