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06「えんとつ町のプペル」振り子時計を作った人の話。

連日投稿連載も、6日&6回目。
今回は普段お話しすることのない「デザイン秘話」をお届けします。
まず時刻を示す数字と、間に配置された黄色い●について。

今回使用した数字書体「AR HERMANN」を選択するまでのデザイン的思考

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まず最初の試作1号が出来るまで、プペルの世界=えんとつ町の俯瞰図を盤面に配し、その世界観を崩さない書体を選ぶという考え方がありました。
見やすさ重視で、太いゴシック系の書体を数種類試しました。
手堅く無難なイメージ。決して悪くない。

2つ目は敢えて、見えづらくなっても明朝系やクセの強い書体をえんとつ町の緻密な世界観に当ててみる挑戦的なデザイン

そしてもう1つ、3つ目のアイデアは数字を入れないデザイン。こちらは生真面目な方には需要あんの?と思われるかもしれません。
時針分針の位置からなんとなく時刻を察してもらうということは、いわば時計の最大の情報機能「正確な時刻を解り易く伝えること」に重きをおかない、むしろ「はっきり明示せず雰囲気で伝える」に寄せていく、ダウン・クオリティとでもいうべき考え方になるかと思います。

「あえてのハッキリと時間が判らない仕様」これって実は、時間に縛られずゆったり過ごしたい日や、そんな気分で過ごす演出道具としてなど、考えていくと案外需要のありそうな発想です。

そんなこんなで試した書体は10種類以上。数字有り・無しも含めたら20種以上はモニター上での試作を繰り返しました。

なお、最大の変更点は盤面の形状です。0号機とでも言うべき1番最初に思いつた形は、ひらめきの電球のような、気球のような形状。

完全ボツ案ですので、大きな画像ではご紹介できませんが、こんな感じでした。振り子は03「えんとつ町のプペル」振り子時計を作った人の話でも触れた通り、映画版トロッコに乗ったプペル&ルビッチ。

デザイン001トロッコs

この時点で、えんとつ町の広がりや大きさを表現するのに、丸を基本とした形状はイケるんじゃないか?と想像していたのですが。。。プリントアウトして試作機を作って壁掛け→数日眺めて検討したところ「せっかくの精緻な絵が切れてはもったいない」「目論見でもあった丸い形状では広がりが感じられない」など自己評価が低く、取りやめることに。

そうこうしていたら、映画プペル御関係者様から「許諾契約は絵本の図案のみです」とご親切にお知らせいただいたこともあり、そういえば鳥取で見た「光る絵本展」は額でもあるライト盤の筐体が黒かったな、プペルの色彩を引き立てるのは黒い額(枠)かもしれない、という原点回帰のような発想の展開で、最終案まで変わることのない「角丸の黒縁の中に、原画そのまま、1㎜もカットしないえんとつ町の絵」が文字盤の基礎になったのでした。
※参考画像としてタイトルヘッダーは「光る絵本展 in 鳥取砂丘」公式HPさんの画像をお借りしています。あのイメージです。

さて数字の話に戻ります。
黒縁のスペースの枠が出来たことで、上記で示した0号機のような、えんとつ町の中に数字を入れちゃってるデザインは廃止。
そりゃそうだ、綺麗な絵がもったいないよ!と、後になればハッキリ解るのですが、制作中の作り手の頭の中は「既存の時計の前例や、ありよう(針と数字が近くに配するものだというセオリー等)」に引きずられ、案外気づかないものなんです。

ここからは黒枠の部分に数字を入れるか?入れないか?の究極の選択も含め試行錯誤。
結果、ずっと頭の片隅にあった絵本「えんとつ町のプペル~Poupelle of CHIMNEY TOWN」のロゴに呼応するような、クセの有る書体にしよう!と最終決定したという流れでした。

ロゴ黒文字

これを踏まえて、改めて最終的に確定した盤面。ちなみに作り手の私は今日まで30日以上、壁掛けにして眺め続けています。良い☆

文字盤UP


通常、1つのデザインが最終決定案に決まるまでの、こうした試行錯誤の足跡を披露することは無いのですが、今回は人生初くらい「自分の脳内で行われた一人会議」を表に出した感があります。

ここまで6回、お付き合いいただいた読者の方がおられましたら、本当に感謝いたします。自分自身、愉しい経験となりました!ありがとう。

あ!黄色い●の話は? また明日!その7で(笑)

えんとつ町のプペル 振り子時計-販売サイトBASE
https://sdr.base.ec/items/36792162

<コラボ作品の販売の仕組みについて>
関野絡繰堂では、コラボ作品は売れるごとにデザインフィーを作家さんに支払っています。
レッサーパンダ時計は地元動物園への寄付金を積み立てています。
本作は販売数に応じて西野さんのクラウドファンディング商品を購入予定です。
微力ながら彼らのチームを支援する目的も持っています。
現在、関野絡繰堂*BASEで、仲間の描いたデザインをTOPページにまとめています。こちらもぜひご覧ください。

関野絡繰堂*BASE-TOPページ
https://sdr.base.ec/

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