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機械設計技術者試験 その1

前段のお話の続きでいえば技能検定からなのでしょうが、本試験が近い機械設計技術者試験から進めましょう。

技能検定はまさに図面を引く試験である実務試験がメインであるのに対し、こちらは機械設計に要する四大力学とか、製図法とかの理解を問うてくる試験です。

主催団体である日本機械設計工業会は東京で1956年11月、機械設計業者の健全育成と、情報交換・交流親睦を図るため任意団体として設立された設計同業組合が母体となり、全国の機械設計団体を統合したのち、1989年4月通商産業省を主務官庁とし社団法人化された業界団体です。
2008年の公益法人制度改革を承け、2013年4月一般社団法人へ移行、現在に至っています。。設計専業会社、エンジニアリング会社を中心に約70社を会員とする同団体は、その設立理念に従って業界の人材育成に資するべく1996年より機械設計技術者試験を実施しています。

主に製図力を実技試験として計る技能検定とは異なり、エントリー級である3級の解答形態は多肢選択式のみであり、2級1級と上位級になるに従い記述式の設問が増えるものの、製図実技問題はありません。このことから自ら製図に携わる人間のみならず、製作物のDR(デザインレビュー:設計審査)に関わるあらゆる立場の人間にとって有益な知識を問う試験であるといえます。

内容的には3、2級を例にとると機械設計そのものに関する知識、いわゆる「四力(よんりき)」と呼ばれる機械力学・材料力学・熱力学・流体力学に関する知識、材料、加工、制御に関する知識、その他現代の製造業では欠かせない環境・安全に関する知識等を基に解答するものとなっています。
年1回、11月に開催されるこの試験の受験者数は、開催回によって若干の変動があるものの、近年は約3千5百名に上っています。基準点は非公開であるが7割程度と推定され、合格率は各級平均3割前後となっています。
また1級合格者、2級合格者に対しては「日本機械設計技術者クラブ」の入会資格が与えられます。

「業界の人材育成」というその目的から、工業高校、工業高専、大学工学部で学ぶ勉強以上に実務の場で欠かせない知識を問うてくる同試験の準備にあたって、直接的に試験対策となるテキスト、多くはありません。

前述の日本機械設計技術者クラブから『機械設計技術者資格試験準拠【新版】機械工学の要点』が発行されており、2022年8月改訂版が発行されました。

にて販売中です。

このテキストをベースとした材料力学・機械力学の講義動画も先月末より販売開始しました。

書店扱いのある一般書籍としては『機械設計技術者試験準拠 機械設計技術者のための基礎知識』『令和*年版 機械設計技術者試験問題集』等がありましたが、版元の日本理工出版会廃業のため、オーム社へ版権が移りました。『令和4年版』問題集は7月に刊行、『基礎知識』は9月刊行されました。

以上は独学の際の参考書ですが、同クラブ主催の受験講習会も例年開催されているので、地域、日程の都合がつく受験者はその受講も検討されるとよいでしょう。


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