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本気でクソデッキ調整録〜嫌いな能力と向き合う〜

好きな能力はありますか?
筆者はある。
(MTGアリーナBO3スタンで、局所的にしか役に立たないクソカードを捨てるのが趣味の)筆者は、ルーティングが好きだ。
ルーティングとは、1枚引いて1枚捨てる能力の俗称である。山札に眠る希望を手に入れ、不要牌や墓地活用カードを捨てる。枚数アドバンテージは手に入らないが、希望を手札に、絶望を墓地に送り込む動きに魅力され続けている。

2マナPWでルーター!?そりゃ試してみるよ

今回の調整録は、久しぶりに現れたスタン2マナPW、再覚醒したティボルトジェイスに夢中になった記録である。

好きだったよ

1.好きなものを詰め込む

《再覚醒したジェイス》と相性の良いカードはなんだろう。筆者は2枚のカードが浮かんだ。

その①

近年のスタン用リアニメイトカードはおまけ付き5マナが基準。4マナのリアニメイトカードは何かしら制限が加わる。

良く調整されている

そんな中、3マナという《もがく出現》は出色の出来。《再覚醒したジェイス》の+1能力2つ「ルーティング」「3マナ以下計画」と抜群の相性だ。

その②

《再覚醒したジェイス》の「3マナ以下計画」を行うと、出来事面の《初めてのお使い》がプレイできる。《アラーラへの侵攻》コンボでもお馴染みの挙動だ。
《初めてのお使い》は重量級クリーチャー・エンチャントを、デッキ内に一定割合で入れる要求。必然、手札に不要牌が溜まるので「ルーティング」との噛み合わせも良好だ。
また《初めてのお使い》の切削と《もがく出現》の底なしの落魄はマリアージュ。

美しいシナジー

『リアニメイトしたいクリーチャーNo.1』の座を欲しいままにする《アトラクサ》もスタンで使える。

2023年ランキングNo.1、2024年No.1も当確

デッキの骨子は定まった。
あとはいかに脇を固めていくか。

2.嫌いなものと向き合う

タイトルの伏線を回収しよう。
筆者は「切削」が嫌いだった。今回の調整録内では相手を削る《石臼》系ではなく、自己切削に限る。また、この先「切削」とは書いていないカードが出てくるが、脳内補完を頂きたい。
嫌い、はちょっと言い過ぎだが、どうしても好き度合いを比較してしまう。「ルーティング」と。

この辺で潮目が変わった

《残忍な剥ぎ取り》の辺りまで「切削」はスタンで使われることはほぼ無いギミックだった。え⁉「発掘」?イカれたメカニズムだが、スタンでは妥当なラインだったよ。「切削」は徐々に収録割合が増え、立派な常磐木能力となった。筆者も主にリミテッドで楽しんだ。

『イクサラン:失われし洞窟』ドラフトで
最もプレイしたレア

しかし投入カードを好きに選べる構築戦では、どうしても「ルーティング」を優先してしまい、なかなか「切削」を優先して採用できなかった。
食わず嫌いはもうやめよう。苦手を克服する時が来たのだ。私が来た。

適任

2t目に《第三の道の創設》の1章で《フェイの解放》を唱えれば、2章と併せて3t目《もがく出現》《アトラクサ》も不可能ではない(可能とは言ってない)
そこまで上ブレでなくても、この2種が《もがく出現》と組み合わせるべき切削カードなのは確定的に明らか。
ん?もう1種いただろって⁉

あいつは置いてきた。
この闘いにはついてこれそうもない。

ぱっと見は天津飯(置いてきた側)に見えなくもないが、今回は置いてこられた側。切削の当たり種類幅が大きいのがメリットだが、切削枚数で劣る。上記2種の、1章連鎖プレイを最大枚数取るべきという結論。

「切削」が「ルーティング」に勝る部分は墓地に落ちる枚数。底なしの落魄をコンセプトの一部に組み込むので、「切削」のストロングポイントが大いに発揮できる。逆に弱い部分は不確実性と手札整理ができない点。今回は《再覚醒したジェイス》により、ピンポイントルーターが併用でき弱点が補完されている。
食わず嫌いを克服した筆者に隙は無い。

3.初めての

…ラスって不利盤面を覆すものじゃないの⁉

最高の噛み合い‥?

「切削」により墓地を肥やし、デカブツを降臨させる。そのつなぎに全体除去は必須。キーワード能力も噛み合う《恐怖の潮流》は最適。そう思っていた時期が、私にもありました。
現実は違った。
そもそも墓地を肥やすカードが引けていない展開はザラ。コンボデッキなのだから《再覚醒したジェイス》《木苺の使い魔》があれば余裕でキープだ。そんな弱い回りを助けてくれるべき全体除去が、強い回りでないと真価を発揮できない。

こちらも、もちろん悪くない

しかし、良くもない。豊富な単体除去や打ち消しと併用するデッキと違い、そこまで相手に干渉しない。5t目までサンドバッグな展開もある。お前はもう死んでいる。死人に口無し。
全体除去に不服があるのは理解できた。
幸いコンボの出力は高く、楽しくプレイできた。ならば、不服部分を調整すればいい。

墓地活用コンセプトで最高の全体除去

但し、色を除く。
青・緑・黒はコンボパーツに含まれており、3色とも使わないわけにはいかない。単純に1色加えて4色構築だ。難しいハードルになるが、土地基盤が強い3年ローテーションスタンの全力を見せて頂こう。

4.再覚醒した

タップイン地獄って御存知ない?
いくら土地基盤が強いとはいえ、4色デッキで能力持ち土地盛り盛りは厳しかった。というか、土地が強すぎて能力に目がくらんだ。

土地枠で墓地肥やし

《不穏な浅瀬》も各種諜報土地も、あまりに魅力的過ぎた。2色を供給し、切削も行う。引き換えた代償の制約と誓約は確定タップイン。ニューカペナの3色土地も加え、あれよあれよと確定タップインが11枚。頭沸いてんのか。しかもファストランド・スロウランドもターンに依ってタップインの列に加わる。完全に頭沸いてますね。エンペラータイムみたいにカッコよくはいかなかった。
4色デッキのマナ基盤は厳しく、タップイン土地で最優先はニューカペナの3色土地と判断。それ以外の確定タップイン土地はすべて排除する方針とした。

また、別の問題も持ち上がった。
出力は高いが、勝つまでに時間がかかる点だ。

未来全知

《初めてのお使い》《もがく出現》どちらも最良の当て先としていたこのカードだが、勝つまでが遠かった。
《多元宇宙と共に》に加えて《アトラクサ》なり別のフィニッシャーを用意する必要があり、勝つ気ありますか?状態が長い。気持ち良さに正常な判断能力を失い《初めてのお使い》を《再覚醒したジェイス》の奥義でコピーしてライブラリが無くなった時、別のフィニッシャーにする決意をした。そもそもゲームを畳むべきフィニッシャー枠を《多元宇宙と共に》が食い潰しており、もっとシンプルな暴力が必要。やはり暴力はすべてを解決する。

フィニッシャー枠で除去を兼ねる

多種多様な重量級クリーチャーを投入する方針は固まった。それだけでは高カロリーな初手にマリガンを宣言するbotに成り下がるので、小回りの効く部分は4枚投入すべし。というかなぜ今まで4枚投入しなかったんだろう。筆者は頭が悪いのである。
なお、カードとしてのマナ総量は7なので《再覚醒したジェイス》で計画できない。現世で筆者以外に役に立たない術式を開示した。開示したところで効果上昇は特に無いが、筆者は永遠に勘違いするので自身への戒めとする(2敗
細やかなアップデートは見えてきた。調整の到達点をお見せしよう。

5.もがく

《安らかなる眠り》に脆弱過ぎるだろ!!
『切削する。その後』表記の効果と墓地対策の兼ね合いがどうなのか理解できていなかった。

3年ローテのカードプールは墓地対策も最強

効果が解決され始めれば、文章途中で《未認可霊柩車》を差し込む優先権は存在しない。それは理解していた。では、《安らかなる眠り》の置換はどうなる。

『切削する。その後』

虚無へと送り込まれる切削カードたち。
これだから切削は…!!
表記が違うので上記には挙げていないが《もがく出現》《執念の徳目》の2大リアニも当然ながら墓地対策が直撃する。
デッキが丸ごと機能不全に陥る。当初は置物破壊系のサイドボーディングでテストしていたが、相手都合で裏目を押し付けられると判断。別軸の対抗策が必要と結論づけた。

墓地対策がサイドにある/ない。引いた/引いていない。置物破壊が効く/効かない。裏目の無限列車。

生殺与奪の権を他人に握らせるな!!
別軸の対抗策。そう『アグレッシブサイドボーディング』である。昭和ではよく使われた言葉だが、令和では単に『軸ずらし』と言われる事が多い気がする。筆者の厨二病は寛解していないので、心躍るカタカナでいこう。

アグレッシブな方々

どのカードも、墓地活用と意外なシナジーを発揮した。対策される前提で投入されるサイドカード達だが、されない場合にメインのコンセプトを補強する。《逆棘芽の農家》は切削+アドだし《ボニー・ポール》は墓地の土地を参照する。《宝物庫生まれの暴君》はデカいし《黙示録、シェオルドレッド》はMTGが上手い。

弱いなりに役立つ

わざわざ色を足してまで採用した《間の悪い爆発》は、自分が押している盤面では4マナ2ドローというクソカードとして使用できる。《木苺の使い魔》は3マナ域をパスして《逆棘芽の農家》へと繋ぐだけで「僕は悪くない」と呟きたくなる暴力だ。煽りはよくない。

《第三の道の創設》《錠前破りのいたずら屋》《もがく出現》という墓地対策されると破り捨てたくなるカードたちをサイドアウトし切れるようになった。
アグレッシブサイドボードしたところで、ちょっと出来の良いリミテッドデッキ程度ではある。それでも、自分が裏目を押しつける側に立てて精神衛生上大変よろしい。

6.むすびに

以上で今回の調整録は終了である。
苦手だった食材を克服していく過程はお楽しみ頂けただろうか。
ピーマンの肉詰めは美味しそうに見えたり、細かく刻んでリミテッドに混ぜ込んだり。段々と慣れていって、いつの間にか美味しく食べられるようになる。嫌いだった能力を上手く扱えるようになり、筆者はまたひとつ大人になった。
…最終的に、切削ぜんぶサイドアウトする調整結果じゃなかったかって?
勘のいいガキは嫌いだよ。

この記事をお読み頂いた貴方も、ぜひ食わず嫌いせず色々なカードをお試しください。もしかすると、これまでとは違う味覚の広がりが貴方を待っているかもしれません。

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