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不安定な撓骨遠位端骨折の治療アイデア

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高齢者の撓骨遠位端骨折の患者さんが来ても、自信を持って治療できる気がしない。
大まかな治療の流れと、注意点なんかが知りたい。

上記の疑問に答えます。

こんにちは、気ままなセラピスト なおや(Twitter)です。

湿気が最高に嫌いで、この時期は特に作業量が落ちて困っています。そんな柔整師が5本目の記事を書いています。

✔ 今回のテーマ
高齢者の撓骨遠位端骨折について。

前回は、小児の橈骨遠位端に対する記事を作成しましたが、今回は高齢者の撓骨遠位端骨折に対する記事です。

同じ撓骨遠位端骨折でも、整復位の保持や固定後の機能回復など、いろいろな面で治療の難易度が格段に違います。油断するとほんとに大変です。

高齢者の骨折の特徴を念頭に置きつつ、細心の注意をはらいながら治療していく必要ありです。

このコンテンツは、僕の今まで勉強してきた内容や、経験した症例をもとに、いま僕が行っている「高齢者の撓骨遠位端骨折の治療」を1つの治療アイデアをとして示します。

現在やっている方法が、いまいちしっくりこなかったり、成績が安定しない方、そもそも撓骨遠位端骨折を経験したことがない方は、ぜひ参考にしてみてください。

✔ コンテンツを購読する前の注意点

注意点があります。下記の4つです。

・コンテンツを読んでも、できるようにはなりません
・再現性は100%じゃないです
・練習は必要
・徒手整復については割愛


すべて当たり前の話なんですけど、、、念の為に。

まず1つ目、「コンテンツを買ったらできるようになる」と思っている人は、それは「柔整の学校に入ったら、国家試験に合格できる」という勘違いと一緒です。国家試験に合格するのと一緒で、しっかりと処置ができるようになるかは、購入者のあなた次第です。

2つ目の再現性ですが、骨折の状態は多種多様です。なので、教材ではアイデアをお伝えしていきますが、誰でも100%成功するとかって、起こりえません。

3つ目に「練習」についてですが、技術の習得には練習が必要です。まずは、何回もこのコンテンツを読み返してください。そして、実際の症例と照らし合わせて、自分ができていなかった点を改善してみてください
なれないとスムーズにできないと思いますが、その状態で患者さんの治療するのはかなり厳しいのが現状です。120%を目指して80%くらいの成果を出せるくらいのつもりで常に臨みましょう。

4つ目の徒手整復は割愛というところに関してですが、文字と画像だけでは正確に伝えられない可能性があるため、割愛いたします。

購読の際は予めご了承くださいませ。

それでは、参ります。



高齢者の骨折の特徴

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みなさんご存知かと思いますが、念の為、高齢者の骨折の特徴を確認しておきます。

✔ 高齢者の骨折の特徴3選

高齢者の骨折の特徴は以下のとおりです。

1)弱い外力で骨折する
2)派手な骨片転位はほとんどしない
3)再転位、関節拘縮を起こしやすい

それぞれ解説していきます。

1)弱い外力で骨折する
高齢者では骨粗鬆症や骨量の減少があり、わずかな外力でも骨折を起こしやすい状態になっています。また、バランス能力が低下しているため容易に転倒してしまうのも、骨折のリスクの1つになります。

発生頻度が多い骨折は以下と言われていて、

・脊椎椎体圧迫骨折
・撓骨遠位端骨折
・上腕骨外科頸骨折
・大腿骨頸部骨折

特に、椎体圧迫骨折や橈骨遠位端骨折は、その中でも割と遭遇頻度が高く、鑑別も必要になってくるため、受傷起点や特徴的な症状、評価方法などはチェックしておく必要がありそうです。


2)派手な骨片転位はほとんどしない
年齢が若い方のような、ダイナミックな骨片転位はあまりしません。
年齢が上がれば上がるほどその傾向は強くなります。

転倒すると言っても、若年者ほどダイナミックに転倒するわけではないからです。
段差につまずいて転倒したとか、踏み台から落ちたとか、受傷の仕方はさまざまです。

余談になりますが、一度骨折したお年寄りが、再度ケガをして来院されることはよくあります。
これについて最近考えることがあり「患部の機能回復だけでなく、身体全体の機能回復」までフォローする必要があるのかなと言うこと。

というのも、おそらく最初の受傷の理由は「身体機能の低下による受傷」だからと思っており、身体機能をしっかり改善しないと、またケガをするのは当たり前かなという感じです。

今後のリハビリの課題は「どこまで身体全体の機能を改善させられるか」だと思っています。


3)再転位、関節拘縮を起こしやすい
再転位しやすく、関節拘縮を起こしやすいです。

理由を考えると以下で、

・再転位  → 粉砕骨折が多く患部の安定性が得られにくい。
・関節拘縮 → 固定期間が長くなりやすい。

この2つが主な原因かと思います。

なので、再転位しない固定の工夫をしつつ、適切なタイミングで固定を変えるなり、徒手を加えるなりして、関節可動域制限がなるべく起こらないようにしていくのが重要です。

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