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小児の骨折を深堀りする。

こんにちは、やまだです。
いつも リアル外傷マガジン をご購読いただきありがとうございます。

最近、小児の骨折がやたら多いので勉強しているのですが、皆さんは小児の骨折の特徴について、どれだけ知っていますか?
成人の骨折とは違うというのは感じるけど、詳しくはわからないという先生も多いかと思います。

柔整の学校ではサラッとしか教わらなかった記憶はあります。むしろ、その記憶しかありません。

小児の骨折は新生児期、乳幼期、幼児期、学童期(12歳前後まで)の骨折を指す。成人の骨折と異なる多くの特徴を持っていて、診断治療に関して特殊な注意が必要である。
引用)柔道整復学・理論編 改定第6版

柔道整復学の理論編には、こう書かれています。

✔ なぜ小児の骨折について知る必要があるのか

この時期の治療を間違うと、患者さんの将来に大きな障害を残すことになるからです。

僕が外傷をみてきたこの10年間は、きれいに整復する、転位しないような固定をする、拘縮が起きないように管理する、いろいろなことを考えながら治療してきました。

ただ、今になって思うことは、治療を終えて来院しなくなった患者さんは今どんな生活をしているんだろう。ということ。

治療が終了したときは、いい状態だったとしても、何年か経ったら、機能障害が出ているかもれない。そんなふうに考えます。

特にこれから成長する子どもたちは、自分がした治療で問題なく人生を送っていくことができているか。


未来はみることができないから、予測できるだけの知識を積み上げる

僕たちは未来をみることはできません。
だけど、知識があればある程度予測することが可能だと思っています。

12歳前後までの子どもたちは、成人とは異なる多くの特徴を持っています。
どんな特徴があるか知ることで、怪我をした子どもたちの明るい未来を守っていける柔道整復師を目指しましょう。

前置きが長くなりましたが、今回は小児の骨折の治療の基礎知識について触れていきたいと思います。


小児骨折の特徴

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小児の骨折は、年々増加していると言われていますが、以下のような特徴があります。※画像参照

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● 未就学児・小学生→少しずつ減少傾向
● 中学生・高校生→増加傾向

未就学児・小学生のケガが減少した理由には、

● 危ない遊具が減った
● ケガをするような遊びをしなくなった

ことが考えられます。

整形外科に来院した子供に話を聞くと、木登りして落ちたとか、自転車で一回転したとか、そういった理由を聞く機会がめっきり減った気がします。

今の子供達は、公園に行ってもゲームしかしてない印象です。
もっと激しく遊べ。

中学生・高校生になると部活が始まりケガをする子どもたちが増えてきます。

運動する機会が増えた事以外の要因では、

● 食生活の変化
● 運動機能の低下
● 日照不足

などが考えられますが、本当に骨が弱くなったという科学的根拠はみられないとされています。

余談ですが、赤ちゃんを早く立たせて歩かせようとする親御さんがいますが、それが上肢骨折のリスクを上げるかもです。

理学療法士の師匠に聞いた話で、早くに立たせすぎてしまうと、上肢の骨の強度が十分に得られなくなってしまうので、成長して転倒などした時に、立ち上がるのが遅い子に比べて骨折しやすくなる可能性があるそうです。

科学的根拠は定かではありませんが面白いです。


小児の骨の特徴は以下です。

● 骨膜は厚く強靭で、血行が豊富である
● 骨は柔軟性に富んでいる
● 骨端軟骨(骨端成長軟骨板)が存在する
● 自家矯正が旺盛である

では、詳しくみていきましょう。

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