マンション理論2階 胸

さて、いよいよ、2階へと進みます。
上への階層を考えなければ、腰腹の力も、胸の力も全部、コツの一つとして覚える事だってできます。しかし、テクニックが増えれば、その使いどころが難しくなりますし、そもそも、腹と胸では求める結果が違います。まとめる事なく、テクニックを学ぶと、頭の中は散らかり放題、行きつく先はゴミ屋敷です(笑)。

腹は我慢が得意であり、その場でしっかりと自分がいる、という事を求めますが、胸が求めるものは真逆。地面からちょっと離れた胸の私はしっかりとした土台ではなく、これまでやった事のない自由を求めるのが好きなようです。

胸には腕があり、手があり、指があります。
その指は道具を持ち、使います。道具を使うと決めたならば、身体はその道具に主役を任せ、出しゃばるのをやめなくてはいけません。

腹腰がどんなストレス下においても、ちゃんと存在が出来ている、という事を求めるものならば、胸は腕、手、指、道具など、あらゆるものを駆使して、自由を求めるものです。
まだ手に入れていない未来に対してワクワクするのは、この胸の働きかもしれません。

この世にはたくさんの教えがあります。
幸せになるための方法は山ほどあります。
幸せになるための秘訣を探したならば、それこそ、真逆な教えが溢れています。
昔なら、知識を学ぶ機会はそれほど多くありません。出会った師と共にいる時間を重ねる中で、自然とその教えが身についていく。そんな学び方が出来ました。
しかし、現代はそれが出来ません。まず初めに膨大な方法を聞いてしまうのです。まずは何より、膨大な教えの中からこれ、というものを選ぶ必要があります。
そして、選んだならば、チャレンジも簡単。2、3度のチャレンジで目的のものを手に入れられたならいいでしょうが、たいていの場合は失敗します。
そして、その失敗によって、この教えはダメだ、合っていない、と諦め、次の教えを求める事が出来てしまいます。

どの知識であっても、初めのメソッドは簡単です。そして、わかりやすく、これなら自分を変えられる、と思いがちです。
しかし、願望が細かく、大きくなっていくと、ちょっとずつズレが出てきます。
このズレを身体で調整できるようになれば、心揺らさず、求めたいものを求めたままの自分でいられますが、なかなかこれが出来ません。

腹腰の力はシンプルです。
ストレス下において、負けなければいい、と頑張り、我慢をすれば自然と身についてきます。
この力を人は得たからこそ、次は自由に心が向かったのです。
自由とは、考える事も自由で、望むものも自由なのですから、自分の求める自由を決めるまでが大変な事、と言えます。

もともと自由な気質を持っているならいいですが、私のように、基本的な性格に我慢をして乗り切る、というものの場合、自由にしていいよ、と言われても、なかなか自由を決められません。
指示を待って、指示を聞いて、それに応えていこう、と考えた方が楽だったのです。

しかし、私は私の身体に胸という自由な場所を見つけてしまいました。
自分は自由に考え、自由に動き、自由に過ごしてもいいんだなぁ、と教えてもらいました。
この胸は自由に過ごすための土台であり、そこから腕が生え、それは翼のように羽ばたきます。
どれだけ抑えられようが、この自由は無くならず、その安心感が、さらに欲を引き出し、手を作りました。

手はさらに指へと進化して、道具を手に入れます。
道具も自分として認められるようになれば、後は自分の夢を決めるだけ、と言えます。
願えば叶う、とよく言われますが、本当にそうです。
恐怖を感じるのも人の力です。その恐怖を見つけた時、すぐに逃げ出そう、と思うと、1階へと降りてしまいがちです。
しかし、2階に住む胸が教えてくれるのは、さっさと窓から外へと飛び出し、好きなところへと行ってしまえ、という事かもしれません(笑)。

1階部分では腰椎と丹田、チャクラを手掛かりに術理的な話をしましたが、2階部分でもなんとか、共通認識できる身体を手掛かりに術理的な話をしてみたいと思います。
ただ、この先、どんどんと思考的、観念的へと移ります。
そういった流れに慣れていくためにも、1階から2階という違う世界が自分の中にある、という事を知ってほしいと思います。

【不定期稽古のご案内】

「甲野善紀先生の名古屋稽古」
稽古日時:7/21(日) PM1:00~PM3:30
稽古場所:浄泉寺
会場住所:名古屋市緑区鳴海町字上中町9
アクセス:名鉄本線鳴海駅から徒歩5分
参加費:8000円

参加資格はありません。見るだけ、聞くだけでも参加可能です。
服装自由、持ち物自由、受講スタイルも自由だし、入退室も自由です。気楽にご参加いただけます。
申し込みはウェブサイトから。
http://www.karadalab.com/

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