ヒーリングと虚の世界
虚の世界は見えない世界です。
見えない世界を見ている人は結構います。私は見えない方だけど、稽古のおかげで身体には人が見ないものを見れるようになりました。
いつの頃からか、見えないものを見る人たちに興味を持ってもらう事が増えました。すでに見えないものを見ている人たちは、身体の中にある見えないものも見つける力があるようです。これは興味深い発見でした。
共に見えないものであり、共通点がありそうです。
こちらは当たり前を増やしてきただけです。身体はここにあり、触れる事が出来て、意思を持って動かす事が出来るものです。ちゃんと動かすと気持ちがいいし、落ち着くし、楽しいんです。
武術の稽古をしていたら、いつの間にか心楽しく、愉快になってきました。
また、稽古の中身も、突いたり蹴ったりとかやりません。繰り返しの運動もありません。稽古中、ずっと雑談が続いているように見えるかもしれません(笑)。
きっと、普通に武道をやっている人からすれば、実にいい加減でふざけている、と思われるでしょう。そんな変な稽古になりました。いつの間にか、です・・・。
身体が持つ楽しく愉快になれる力を伝えたいなぁ、と思っても「武」という文字を目にすると、多くの人は避けます。そういう時代になりました。これはもう仕方ありません。
そこでこちらももう一つ入り口を作りました。それが「ヒーリング」でした。
とは言え、痛みを取ったり、病気を治したり、それは目的にしません。それらは気分よく毎日が過ごせれば、自然治癒として人間の底力が助けてくれる、と思っているからです。いかにして、今生きているこの瞬間に有難さを見つけて、楽しく愉快に過ごす事が出来るだろうか。それが私のヒーリングです。
むしろ、治す、良くする、というよりも、どうあがいたって逃げられない老いや死とどう向き合うかを考えています。全身が緊張してしまうほど、超嫌なものと共にいるしかない、という状況でも心を楽しく出来る方法はないか、と考えています。
ヒーリングに関しては今、いくつか「技」も出来ました。ただ、その技はほぼ、「術理」です。練習して身に着ける、というよりも、身体そのものをちゃんと使う、という事です。
ヒーリングの技の中に「鱗」というのがあります。この「鱗」が「虚の世界」とどうにも似ている!そんな風に見えてきましたので、今日はそれについて書いていきます。
鱗の術理は皮膚の働きに任せるというものです。
皮膚にはバリア機能が備わっています。きっと、多くの人が知っていますね。でも、それは紫外線とか、ばい菌とか、目に見えないものにだけではなく、押される、突かれる引っ張られる、といった触覚的な刺激に対しても働くのです。
皮膚のバリア機能が触覚にも働く、という事を知らないから、つい、その下にある筋肉が素早く仕事をしすぎて緊張してしまっていたのです。
嫌な事と出会ってしまった時、これが直接的に叩かれるような事でも、精神的に追い込まれてしまう事でも同じなのですが、この時に、皮膚を通して、そこに鱗という鎧になってくれるものがある、とわかると、身体はリラックスする事が出来ます。
武術ならこれを自分でやらなくてはなりませんが、ヒーリングとしてみたなら、相手へと力を渡す事が大切です。
誰もが、鱗の働きを皮膚に持っている、それを身体は教えてくれました。
ちょっと身体を「撫でる」だけで、その人の身体は皮膚が主導権を持つようになります。そして、結果的に、筋肉の緊張は抑えられ、心に余裕が生まれます。
見た目的には「ちょっと撫でる」だけなのですが、そこに少しだけ、皮膚への理解が必要です。
ポイントは「皮一枚下」です。
皮膚の外側は表皮。その下にいくつかの層があり、筋肉、骨が下にあります。
この時、遠慮しすぎれば、表面で弾かれますし、自分勝手に強くしてしまうと、筋肉の緊張が始まります。
表面と筋肉の「間」こそ、鱗を自覚させるポイントになるのですが、多くの人はこの「間」を知りませんし、感じようともしません。
この「無意識」の場所こそ、まさに「虚の世界」と言えるものです。
一生懸命に学ぼうとすると、つい、「実」の世界に行き過ぎてしまいます。
ちゃんと触れる表面の皮膚、そして、ちゃんと塊感のある筋肉、それらがどうしても強くなります。
これは仕方ありません。だって、「虚の世界」があるだなんて、そんな事を考えた事も無いでしょうから。
しかし、「虚の世界」がある、とわかれば、その虚を求めて、さらにそれを皮一枚下に狙いをつければより正確に早く、鱗のスイッチを入れる事が出来るようになります。
一生懸命やりたい、やるぞ!という人もうまくいかない場合があります。それはきっと、「実」に力が入りすぎるからでしょう。
ちょうどよく力が抜ける人の方が上達が早いのは、生まれ持った性格が虚に近いからではないかと思います。そして、たいてい、そういう人は独特で個性的です。そういう人はそのままどんどん、自分に従っていけばいいんです。
私は周りの目が気になる人間です。
自然と、「実」を確かにしてしまいました。
「虚」の世界を感じるきっかけがあっても、それで奇異な目で見られたら、と思うと、感じた事よりも、叱られない事を選んだのです。
ただ、実の世界はお互いが実、どうしたって衝突が生まれます。
その衝突をどうしようもなく我慢できなくなって、身体感覚の世界へと入りました。
身体感覚という言葉はまだ、「実より」なものでした。長く稽古が続く中で、自然と「変人」のようになったのは、人から理解されにくい虚へと入っていたからだと思います。
もし、最初から「虚の世界」を求めて稽古をしてみたならきっと、ものすごいスピードで身体感覚も磨かれるはずです。
人と違って大丈夫、それどころか、人からわからないからこそ、技が利く!と喜びがあふれるはずです。
ただ、この時、自分は「変人」なのだ、とこっそりとした覚悟はいるかもしれません(笑)。
とりあえず、今日はこんなところで。
では、また。
不定期稽古
3月、つくば、東京稽古が決まりました。下記のとおりです。
また、急遽、浜松でもロングヒーリングを開催します。
よろしければご参加ください。
私の稽古はどこの稽古も、覚える基本もなければ、技もありません。
体力的な問題もありません。身体がある、という事を経験し、楽しんでもらい、日常生活を観察と共に過ごしてもらう事をしてくれたらなぁ、と思っています。
「つくば稽古」
日時:2024/3/3(日)13:00-20:00
参加費:10000円(当日払い)
会場:つくばカピオ リフレッシュルーム
住所:茨城県つくば市竹園1-10-1
「東京ロングヒーリング」
日時:2024/3/5(火)10:00-17:00
参加費:24,000円(当日払い) 最大人数6名
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
「東京夜稽古」
日時:2024/3/5(火)18:00-21:00
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
参加費:参加費10000円(当日払い)
同日10-17時にある「東京ロングヒーリング」に参加の方は5000円
「浜松ロングヒーリング」
日時:2024/2/19(月)10:00-16:00
参加費:24,000円(当日払い)
会場:浜松市武道館 会議室
住所:浜松市中区西浅田二丁目3番1号
共に詳細、申し込みはウェブサイトから。
http://www.karadalab.com/
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