恐怖の正体 その5

恐怖の正体について書き連ねているが、恐怖の正体自体は単純、胴体の緊張だ。
心を主役にすれば怖いものは怖い、となりそうなものだが、身体に緊張が現れなければその恐怖はないのと同じ口先だけの恐怖ならば、気持ちの切り替えだけで何とかなる

身体を数字で考えているとわからなくなるが、身体感覚を磨いていくと、各部分がそれぞれ役割を持っている事がわかる
今日は「胴体」と「頭」と「目玉」について話をしたい。

胴体について

胴体を主役にする時代は終わったように思う。
「力仕事」が必要な時代には誰もが、しっかりとした胴体を求め、作ったはず。
しかし、今は「頭の時代」、そこにあって、トラブルを起こさない程度にいてくれたらいいようになってしまった。

こう言うと反論もあるだろう。トレーニングを頑張っている人も多い。しかし、それは記録のためだったり、見た目のためだったり、働きを求めているわけではない
大人になれば、人生の中で仕事が大きな時間を割く。その仕事は頭へと変わってしまった。どうしたって、頭を働かせるように生き方は変わってしまう。

甲野先生に出会い、身体感覚という世界を知って26年。私はずっと、「胴体」の動きを練ってきた。武術においてはどうしても気になってしまうのが胴体だったからだ。
その胴体が恐怖を生んでいた事はわかっていても、まさか、それを消し去る事が出来るとは夢にも思わなかった。胴体は大切だ。大きな胴体に働きを見つけられたら心は喜ぶ。持っている事を当たり前と思ってしまうのも胴体。仕事に振り回されず、少しでも心の余裕が持てたのならぜひ、胴体の探索も始めて見てほしい。きっと、生まれてきて、生きてきて、死んでいく事の喜びを実感できる

頭について

頭にとって、胴体は親のようなもの。脳が活躍をする時代になり、主役は脳、頭になった。いつまでも胴体という親に頼るわけにはいかない。頑張りが効かなくなってきたなら、そろそろ親から離れ、頭の「動かし方」を探るのがいいと思う。

50歳を前にして、やっと、私も「頑張れない」というのを実感できた。
突然現れためまいによって、これまでの動き方ではダメなのだ、とわかった
もしかしたら、ここで踏ん張り、筋トレなどの努力をすれば、下半身に力がよみがえり、ふらつきもなくなり、今まで通りの生活も出来るかもしれない。しかし、それだって、この先の10年後、20年後には役立たない。頼りになっていた胴体もいつかは、手放さなくては、捨てなくてはならない

頭には「頭の動かし方」がある思考するのではなく、動かし方だ。気づいていないと思うが、多くの人は肩、首に力が入り、頭が動かない。頭を動かせず、固めている。固めていれば目や耳などの感覚器から入ってくる情報は偏る。無意識のうちに思考は制限をされてしまう

頭の制限に気づいたのは、めまいによって、目が先にグルグルと動いてくれたから。頭は「土台」になる、そんな程度の理解でいい。頭を落とせばその土台が自由に360度向きを変えるのが楽になる、動きで考えれば単純な事だ

目玉について

めまいがなければこれらの事には気づけなかった。
頭を主役にすれば頭が私、そしてその親が胴体になる。ならば目玉は頭という私の子供、という事になる。胴体からすれば可愛い孫だ。

親子の関係は一人稽古には欠かせない。
家族仲良く、一致団結して目標に向かうというのはいい言葉だが、家族をまとめるリーダーは一人にしなくてはならない。船頭が多くてはダメなのだ。

思考して答えを出す頭が主役と思いたいだろうが、実はすでにその思考の前に目や耳が働き、脳にこの世界の情報を与えている。真の主役は目玉なのかもしれない。

親と子の関係を感じながら目玉を動かす。
めまいの時には目玉がグルグルと勝手に、ものすごい勢いで動き出した。胴体や頭がどれだけ踏ん張ってもその回転は止められず、大変だった。目玉の威力をこれで経験をした。

めまいが収まって目玉を動かすと、いつも通りへと戻っていく。目玉をちょっと動かしても、頭も胴体も動かない。しかし、頭を落とすとちょっと違う。頭を落として目玉を動かすと、それに引かれて頭が動いていてくれる。頭が動けば胴体も動く

目玉の動きは思っている以上に早い。自分の目は見えていても、脳は子供である目玉を馬鹿にし、それを受け入れなかっただけかもしれない。
研究者は目玉の働きをよく知っている。脳は目玉から入ったすべての情報を保存している、と言われたりする。研究は出来ても、姿勢が悪いのが現代いつまでも背筋を伸ばして胴に主役をさせているから、脳や目玉が働かない(笑)。
せっかくの知識を無駄にしているが、それに気づかないのだからおかしなことである。

目玉のその先

目玉を主役にすれば、頭が親。そして、胴は祖父母。ならば、目玉の子供だっていてもいい
肉体のような純粋な親子関係ではないが、実はもう、見つけている。
目玉が早く動けば頭も、胴も動く。肉体は衰えているように見えても、主役をどこに置くかで滑らかさが違ってくる。目玉に頑張らせず、目玉を捨てればその子供が見えてくる。

恐怖の正体としては胴と頭と目玉のセットで一区切りとしたい。
ただ、こんな意味不明なノートも見てくれている人がいる。この先の世界についても書いていきたいと思う。
もし、実際の稽古に来られるチャンスがあれば、遠慮なく、疑問に思っている事を全部、聞いてください。すべて身体の事ですから、お応えできるかと思います。

【稽古予定】参加受付中
5/22(土)神奈川川崎稽古
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