マンション理論3階 顔

いよいよ今日から3階です。
1階は命がけ、我慢して耐える生き方が得意、2階は腕を持ち、自由を見つけて、様々な経験をする事で成長する楽しさが得意なところです。
さて、3階は、顔を主役にして生きる場所です。だんだんと現代的になってきました。

顔で生きるとは何でしょうか?
例えば、人気というのはそれです。ブランドという顔があれば、ある意味、中身は無くてもいいものです。
1階2階は中身に属するものです。しっかりとしたもの、確かなもの、よく動き、心躍るもの、それが腰腹、胸が動くところです。

顔が生み出す力はキラキラしたもの。
そこにいてくれるだけで、こちらにも光が届き、楽しくなってしまうもの。
顔の働きは胴体、腕脚とはまるで違う働きを生んでくれます。

働きが違う、という事は生き方も変えなくてはなりません。
腰腹と胸はまだ胴体というつながりがありますから、お互いに学びあい、助け合う事も難しくありません。
胸に頑張りを作り、腕を固め我慢をする事も出来ますし、腰を柔らかく、緩く、楽しくなる事も出来ます。
我慢する事、動く事、それは顔にも出来るものですが、胴体でそれが出来ないまま、顔だけでそれを学ぶのはちょっと難しいかな、と思います。

顔にあるのは、目、口、鼻、耳、肌の五感に相当するものです。
五感、それぞれにまたとてつもない働きがあり、それらがうまく調和しなくては、顔の行き先は決まりません。
顔で生きる、と決めた時には腹や胸に降りない覚悟が必要になります。
どんな時にも、笑顔で過ごしたり、奥歯を噛み締め耐え忍ぶ。
顔で始まり、顔で終わる。その顔に生まれた小さな働きは全身へと自然とつながります。
顔をリーダーとして使い、胴体は気にしない、そんな生き方が顔には似合います。

さて、私は常に、「歩く」という稽古で術理を確かめてきました。
世の中には様々な仕事があり、それぞれで成果を競い合っています。
基準となるものが曖昧なため、自分の求めているものを時々、失いがちです。

1階を気にした時には、腰を働かせ、歩きます。何も気にしなければ、抑えられ、歩けなくて、嫌な気持ちになりますが、腰椎5番を前へと倒せば、それにより、身体が進み始め、気持ちも前へと行き、抑えてくる相手の隙へと入り、歩く事が出来るようになります。

2階を気にしたならば、胸椎を全部をスライドさせたり、左右の腕脚に三角を作り、それを重ね合わせて基準にしあったり、胴体から腕を切り離し、大きな胴体を消し、小さくなる事で、相手の隙へと物理的に入り込む事で前へと歩きます。

3階にも「歩く力」があります。
例えば「唇」。この唇を上へと浮かせば、顔から外れて、前へとすぅ~と、飛んでいきます。
そして、相手との間合いを消して、それまでの対立関係を変えてしまいます。
客観的にみれば、相手との距離は変わらず、また、相手に抑えられている部分も変わらないので、相手は動きを始められません。
しかし、唇によって、気づかない間に、間合いを変えられ、無意識の関係を新しくさせられてしまいます。
こうなれば、相手の後ろに大きな隙が出来て、そこを見ていけば、歩いていく事が出来るようになります。

1階2階3階、どの術理も結果的には「自然体」へと近づきます。
おそらく、上手くいく人というのは、これらの事をまさに、「自然」に行っているのでしょう。
自分の無意識が住んでいる階と、意識して使う身体の動きがあっていれば、上手く働きは生まれます。

私の方法は「超不自然体」から入ります(笑)。
まず、意識的に、どこの腰、胸、顔、どの階に住みたいのか決め、そこを働かせられるように集中し、その上で歩きます。
不自然から始まったこの動きですが、調和があれば、他者からは自然に見えたりします。

私たちはいくつもの身体を持っています。
顔には唇以外にも働きを持つ部位が揃っています。また、次回、違う部位を紹介しますね。
とりあえず「唇」を紹介しました。口角を上げる事が人気の唇ですが、それをやめて、浮かしてみよう、と意識をしてみてください。わかる人にはわかるかもしれません。

【不定期稽古のご案内】

「甲野善紀先生の名古屋稽古」
稽古日時:7/21(日) PM1:00~PM3:30
稽古場所:浄泉寺
会場住所:名古屋市緑区鳴海町字上中町9
アクセス:名鉄本線鳴海駅から徒歩5分
参加費:8000円

参加資格はありません。見るだけ、聞くだけでも参加可能です。
服装自由、持ち物自由、受講スタイルも自由だし、入退室も自由です。気楽にご参加いただけます。
申し込みはウェブサイトから。
http://www.karadalab.com/


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