窒素でいいです その2

2週続けて、甲野先生の稽古を開催しました。
続けての開催、というのは記憶がありません。初めてだったのかもしれません。
甲野先生の稽古は本当に不思議です。参加される人、それぞれに何かしらの刺激が与えられます。
当然、私もその刺激をもらい、また、新しい世界が開いてしまいました。

つい先日、「窒素でいいです」と言葉にして、その新しい世界を伝え始めたのに、言葉にしていくよりも先に、さらに新しい世界が見えてしまうのですから、記事を書いていく際のテンションが上がったり下がったり、大変です(笑)。

まぁ、とはいえ、この記事も、わかってもらうために書いているものではなく、ほぼ備忘録。そして、思いつくままに言葉にしたものをキーワードとして、稽古の際に聞くきっかけにしてもらえれば、というものです。
テンションが高い時、低い時、色々ですが、「変化がある」というものを楽しんでくれたら嬉しいです。

今日は「窒素でいいです」の2回目。
この新しい世界のさらに上に、夢の世界、粘土の世界、水と土の世界も見つけてしまい、窒素の世界は随分と遠い昔の事のように感じ、テンション低く、お伝えしていきます(笑)。

しかし、このテンションの低さは、同時に、冷静さもでて、窒素の世界の理解ではなく、結果的に、肉体のない世界にも「層」がある、という事が伝えられるかもしれない、と思っています。


今、日本は平和になりました。
もちろん、悩みは尽きません。しかし、その悩みは人それぞれ、個性ある悩みとなっています。
昔のように、食うに困る世界はもう、この日本にはありません。
食うに困っていた時代、主役になっていたのは腹です。
飯を食い、それを胃が消化し、腸で栄養を取る。
日本人が猫背なのも、この腹を使う事を長年工夫してきたから、と言えるかもしれません。

直接的な戦争から離れ、経済の発展をした事で、食料を得る機会は増えました。
栄養失調の人は減り、むしろ、栄養過多をどうするのか、という問題が出てきました。もう、腹を主役にする時代ではなくなりました。
主役は自然と他へと移ります。
人は上へと意識を高めるように進化をしてきました。二足歩行になり、手を使い、脳を大きく育ててきました。
腹の次が胸へと移るのは当然の事でしょう。

胸の働きは何か、それこそ、まさに「呼吸」となります。
今、ここにいて、気持ちのいい空気を吸いたい。そんな欲求が胸にはありそうです。
武術を通して人とのコミュニケーションを考えると、そこには加害者、被害者としての関係がよく見えます。
食い物を争っている時なら、命を奪う事が必要になるでしょう。口減らしってやつです。
しかし、現代は違います。命を取れば、それで終わり。その先に、相手を使う事が出来ません。
現代の衝突は命は奪わず、いかに相手を都合よく使うか、と考える事が多くなってきました。リボ払いみたいな仕組みを作り、大々的に宣伝をして、理解の少ないまま使わせて借金を増やす。殺さず、利子を払い続けさせる状態などは、考えようによっては昔日よりも残酷です。

衝突したくない、と思っても、衝突するのはお互いがそこに「存在」しているからです。
いないのなら気にしなくてもいいはず。しかし、現実にそこにいる相手をどうしたら消す事が出来るのか。
その方法の一つが「窒素でいいです」なのです。

襲われたその瞬間、心はドキッとします。心臓がギュッと縮みあがっているのかもしれません。
この驚きは大切です。自分がこの状況を怖れている、不快だ、と身体が教えてくれているからです。
こうなった時、思いつく方法は二つあります。上か下かの二つです。
一つは腹を決めて相手とぶつかり、戦う事。これは腹を生かして、地面の力を借り、命のやり取りも覚悟をする事です。
襲ってくる相手もそれほど覚悟があるわけではありません。こちらが覚悟を見せれば、力として劣っていても、怪我をしたくないのは相手も同じ、戦いをやめる、という選択肢も出てきます。

ただ、できれば争いは避けたいものです。
もう一つの方法は「窒素でいいです」というもの。
無意識のうちに「酸素」を奪い合っている、と考えてみます。
相手は空気を吸って心地よくなりたいのです。酸素薄く、頭回せず、短絡的に争いを求めているのかもしれません。
頭を冷やしてくれたならいいですが、そういうわけにもいきません。
相手に付き合えば、相手はこちらを都合よく使います。

相手が引かないなら、こちらが逃げればいいのです。
ただ、この時、逃げる方向は後ろではなく、上なのです。
相手のふるまいに反応してしまえば、こちらの頭もカッカとします。
相手と同じ地面に立っていれば、吸う空気は同じとなり、取り合いになります。
相手は酸素の奪い合いを自覚しないはず。こちらのふるまいに反応し、動きます。
加害者でいられるのは、こちらが被害者でいるからです。
意識を酸素から、相手の求めていない窒素を求めてガンガン吸うぞ、と意識すれば、こちらの身体には「結果的に」酸素が入ります。

目の前に嫌な奴はいるものの、こちらはそれまで通り、息が出来るのであれば、その嫌に見えるものは放っておいてもいいのかな、と余裕が生まれてきます。

まぁ、そんな馬鹿な、と思うかもしれません。
しかし、一応、これが自分の身体に見つかったありのままです。
呼吸が自然とできれば、すでに持っているスキルや道具はそのまま使えます。むしろ、リラックスも得て、本来持っている力を発揮してくれるわけです。
ただ、「窒素でいいです」という考えはあまりにもバカバカしく思えます。私自身もそう思っています(笑)。
まだ、私もそれを意識していないと、つい、無意識に酸素を求めてしまいます。
窒素でいいんだ、と身体でわかるまでには時間がかかるんだろうな、と思っていたところに、甲野先生の稽古でした。
そして、さらに、その「上」を感じてしまったのです。

「窒素でいいです」というのは、息をするスキルでもありますが、同時に「上がある」という事を教えてくれたようでした。
欲張って色々やればいい、これもこれまでの稽古で学んだこと。決まった技も基本もないからこそ分かった事です。
しばらくは混乱の中、言葉にしていく事が増えるかと思います。疑問は直接、稽古の時にガンガンぶつけてください。

不定期稽古のお知らせ

「つくば稽古」
日時:2024/6/2(日)13:00-20:00
参加費:10000円(当日払い)
会場:つくばカピオ リフレッシュルーム
住所:茨城県つくば市竹園1-10-1 

「東京ロングヒーリング」
日時:2024/6/4(火)10:00-17:00
参加費:24,000円(当日払い) 最大人数6名
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号

「東京夜稽古」
日時:2024/6/4(火)18:00-21:00
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
参加費:参加費10000円(当日払い)
同日10-17時にある「東京ロングヒーリング」に参加の方は5000円

共に詳細、申し込みはウェブサイトから。
http://www.karadalab.com/

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