マンション理論3階 他者と共に生きる

とりあえず、今回で身体感覚マンションの3階の解説は終わります。
1階、2階、3階はある意味、物質的な世界です。4階からは思考的な世界に入りますので、この3階までをざっとその違いを分けておこうと思います。

1階は腹腰、2階は胸腕脚、3階は顔です。
これはそのまま、肉体に繋がります。
この肉体的身体のどこに主役を置くのかで、生き方は決まります。

何か「事」が起こった時に、どこが一番に反応するのか、と言っていいかもしれません。
これは「性格」とも繋がりがある事です。
性格とは身体によって出来上がるものだ、と私は思っています。

1階である腹腰に住んでいる人は、何かあった時、腹に力を溜め、頑張ります。
2階に住んでいる人は胸を弾ませ、腕を動かし、踊ります。
3階に住んでいる人は他者との関係を一番に考えます。

現在は多くの技や教えが残っているので、成果を求めたならば、いくらでも方法はあります。
ただ、その方法が「自分に合っているか」は、やはり気を付けなくてはいけません。
腹に力を入れる癖があるのに、流れに乗って踊り、楽しめ、と言われても困るでしょう。
また、腹に力を入れるのは内面へと行きやすいもの。他者の気持ちよりも、自分の気持ちに振り回される事が多くなります。
1階に住むのが好きな人が、顔と顔を突き合わせてニコニコと関係を築かなくてはいけないとなれば、結構な苦行になります。

逆に顔という3階に住むのが好きな人は、とにかく、コミュニケーションが大好きで、得意なはず。
そんな人に、じっと自分の内面を観察しろ、と言っても、それは長続きしません。我慢できず、泣き顔へと変わります。顔は表情を通して発散が得意なのです。

1階、3階は肉体的には両極端のものです。
2階に住むのが好きな人は、1階の人とも、3階の人とも、上手く付き合えるかもしれません。
どんな事があっても、この手を滑らかに動かし、踊る事が出来れば幸せになれる、と知っているからです。

身体にはそれぞれ違う形があり、違う役割、違う働きがあります。
心に従えば、無意識に身体に集まった興味によって性格は決まりますが、武術はある意味、その心に任せる事を手放し、持っている身体を生かす道を探るものです。

得意不得意はあっても、身体そのものは「持っている」ものです。
苦手であっても、身体はあります。
頑張りたければ1階である腹腰に意識をすればいいし、楽しみたければ2階である腕を考え、躍らせれば楽しく過ごせるでしょう。
また、誰かと共に生きなければいけないとなれば、3階へと行き、表情を主役にして生きれば「なんとかなり」ます。

天然でうまく生きている人には敵わないかもしれません。
でも、とにかく、生き延びよう、今よりもちょっとだけでも楽になりたい、楽になれればいい、というのが武術における望みです。案外と理想は低いのです。

持っている身体をとにかく観察をしていく。
徐々に自分の内面を見る事が上手になります。
いきなり形ない心を探っても、手がかりがありません。集中する力がないのです。
1階2階3階の身体を通して意識の集中を学べば、この先、4階5階6階という、精神的な世界においても、そこに足場を見つけ、探る事が出来るようになります。

随分と遠回りをして書いてきました。
身体を見たなら簡単な事でも、言葉に変換をすると、ややこしくなります。
実は、この「考える」世界は4階部分。
思考する世界が4階であり、それは夢見る世界でもあります。
4階は「脳」が大きく働く部分です。次回、いよいよ、4階に突入いたします。

※甲野善紀先生の名古屋稽古が近づいてきました。
ぜひ、ご参加ください!!

【不定期稽古のご案内】

「甲野善紀先生の名古屋稽古」
稽古日時:7/21(日) PM1:00~PM3:30
稽古場所:浄泉寺
会場住所:名古屋市緑区鳴海町字上中町9
アクセス:名鉄本線鳴海駅から徒歩5分
参加費:8000円

参加資格はありません。見るだけ、聞くだけでも参加可能です。
服装自由、持ち物自由、受講スタイルも自由だし、入退室も自由です。気楽にご参加いただけます。
申し込みはウェブサイトから。
http://www.karadalab.com/

【7月定期稽古】

11木 名古屋
13土 浜松
18木 瀬戸ヒーリング
19金 熱田
21(日)甲野善紀先生 名古屋稽古
24水 大垣
26金 東山(最終回)
27土 浜松
28日 名古屋
全て一回稽古制です。参加資格はありません。

申し込みはウェブサイトから。
http://www.karadalab.com/

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