空の飛び方 改

腰椎5番の話を続けていましたが、ちょっと予想外に新しい動きが出てきてしまったので、寄り道をします。
まぁ、それでも、今回の話は「腰椎4番」。寄り道したとしても、結果的に「腰椎とは何か」と、視野が広がり、身体への興味や理解も増えてくれるのかな、と思っています。

昔、「空の飛び方」という稽古録を書きました。
こんな稽古録を怖れ多くも、恥を忍んで、甲野善紀先生のメルマガに寄稿したのです。
だって、「そう感じてしまった」のですもの、仕方ありません(笑)。

今、いつの稽古録だったかな、と検索をしてみたところ、2017/9/4配信とわかりました。随分前と言えば前ですが、10年も経っていないのか・・・と思うほど昔々に思います。
リンクを張っておきますね。

さて、今日は「空の飛び方 改」です。
以前書いたものは簡単に言えば「グライダー」的な空の飛び方でした。
空を飛ぶのには風が必要です。その風を生むのに、腹のあたりに「🎼(ト音記号)」を描く事で解決しました。

へそ下あたりに円を描き、その勢いを頭の上にまで引き上げ、その高さを使い急落下させます。このト音記号の軌跡を描くと、身体が前方向へと動き始め、足裏に浮遊が生まれます。

「空の飛び方」と言っても、残念ながら、見かけがただの人です。
勢いよく歩いているわけでもありません(笑)。
トボトボ歩いているようにすら見えます。

しかし、足裏には浮遊があり、地面に居着かずいられて、結果的に腕は自由になり、捕まらなくなりました。

この浮遊感を得ていたからでしょう。
私の頭には「人も飛べる」という観念がありました。
稽古を通してわかるのは頭がどんどん柔らかくなる、という事です。まぁ、それは常識を無くし、変人へと進む、という見方も出来るので受け入れにくい人もいるのもわかります(笑)。

しかし、誰かと競うものでないなら、自分の人生の中に、自分は飛べる、簡単に、という観念があった方が楽しく生きられます。
出来ないと思った事が出来てしまう、そんな体験を一人稽古は与えてくれます。

「空の飛び方 改」も、すべき事は簡単です。
前回は「ト音記号」をイメージする必要がありました。今回はなんと、「しゃがまないだけ」で済んでしまうのです(笑)。

「しゃがまない」と決める事で、身体がふわりと浮き始めます。そして、この時、勢いはありません。
風に乗って飛んでいる、のではなく、ずっと地面から離れ、浮いている、という感じです。気持ちに余裕が生まれてきます。

「しゃがまない」と決めるわけですが、これは私が常に「しゃがんでいた」からこそ、自覚ができた感覚だと思われます。


私はナマケモノで、臆病者です。
このナマケモノで臆病者が持つ姿勢はウキウキではなく、下へとだらりと落ちています。
それでも武の道を歩く事になり、敵を前にしての対応を練ってきました。

下へと身体は落ちてしまっていたので、頼るべきは地面となり、足裏をしっかりとつけ、根を生やし、丹田を感じて、体幹を作り、強靭さを求めて工夫をしてきました。
そして、和式便所や畳での生活など、日本人の姿勢はもともとは地面側だったのでしょう。気持ち浮かれて生きる事はこの日本では出来なかったのです。

ある意味、立っていても、丹田的にはしゃがんでいたのです。
そして、それを活かして生きていたわけです。

ただ、日本は変わりました。
明治維新に太平洋戦争、そして、IT革命、生活は西洋化をし、農業だってスマートになりました。地に這う事はもうありません。
むしろ、頭を使い、手先になるものを得て、ビジネスとして拡大を求めています。

世界は飛び出したのです。
そして、その世界にどうすれば間に合うのか、その答えが「しゃがまない」という事だったのです。
世界に合わせて「飛ぼう」と、ポジティブに思っても、この重い身体は浮きません。心は軽く、空気となっても、肉体は重く、重力につかまり、地に縛られます。

無意識にある身体の重さ、それがポイントだったようです。
ポジティブに飛ぶ事を求めるのではなく、ネガティブに考えてみればよかったのです。
日本人の姿勢は猫背的、骨盤も後継し、内臓も多い。当然、下へと落ちます。
自然としゃがむ力を強くしたわけですが、時代も変わり、椅子に座り、スマホをみるようになりました。しゃがむ必要はありません。
ならば、「しゃがまない」と決めれば良かったのです。

見かけは立っていようが内部ではしゃがんでいたのです。
この時、頭は「俺は立っている、しゃがんでなんかいない」というでしょう。隣に立つ人に聞いてみても、返ってくる常識的な答えは、立っている、しゃがんでなんかいない、というはず。
そうして、お互いが外ばかりを見て暮らしています。

しかし、内部重心は下へと落ちて、しゃがんでいるのです。
これをやめる。
やめてみれば、自然と、勝手に、上半身が主役となり、下半身が消えてしまうかのようになります。
これが「飛んでいる」という感覚を与えてくれるようです。

立っていても、歩いていても、椅子に座っても、正座をしても、常に「しゃがまない」を意識します。
つい、忘れてしまうんですね。だから、常に、何度も何度も、呪文のようにしゃがまない、しゃがまない、しゃがまない・・・と、繰り返します。

変人になる、という事を怖れなければ、その効果は絶大です。
あぁ・・・これまでうまくいかなかったのは、この地面に縛られていたからか、と思えてきます。
腰椎5番で前向きになれました。
しかし、それでも、地面はあったのです。
恐怖と出会った時、それを解決するために腰椎3番が見せてくれるねじれの力に助けられました。
ねじれによって生まれる振動が衝突を消してくれました。

しかし、実は腰椎4番で空へと行けていれば、腰椎3番に振動を任せる事は要らなかったようです。
空へと飛んでいる時、その空間は振動的世界。身体全体が外から揺らされて居着きません。恐怖を見ても、それを風と考え、飛んでいくだけで新しい世界は広がり続けます。


一人稽古は勝手稽古です。
寂しく感じるかもしれませんが、それ以上に、新しい世界と出会う楽しさ、愉快さがあります。
世界はまとまり、強くなりました。一つの常識をみんなで共有します。
その一つの世界で生きる時、どうしても喧嘩が起きるのです。
喧嘩に疲れたなら外に出ればいい。挫折があってこそのきっかけになります。

新たに見つけた「空の飛び方」、これまで以上に私は変人度を上げて、身体が見せてくれる変な世界を伝えていきたいと思います。

来週はつくば、東京と久しぶりの稽古があります。
この「空の飛び方 改」ももちろんやります!お楽しみに!!

「つくば稽古」
日時:2023/12/3(日)13:00-20:00
参加費:10000円(当日払い)
会場:つくばカピオ リフレッシュルーム
住所:茨城県つくば市竹園1-10-1 ←クリックでマップが開きます。
今回、めっちゃ人が少ないです。個人稽古的にしたい方にはまぁ、いいのかな、と思いますが、落ち込みます(笑)。


「東京ロングヒーリング」
日時:12/5(火)10:00-17:00
参加費:24,000円(当日払い) 最大人数6名
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
残り2名ほど、興味のある方はお早めに。

「東京夜稽古」
12/5(火)18:00-21:00
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
参加費:参加費10000円(当日払い)
同日10-17時にある「東京ロングヒーリング」に参加の方は5000円
急遽決まった稽古会です。久しぶりの東京稽古、ぜひどうぞ。


「甲野善紀先生名古屋講習会(12月)」
稽古日時:2023/12/16(土) PM2:30~PM5:00
稽古場所:名古屋市南生涯学習センター/第4集会室
会場住所:名古屋市南区東又兵ヱ町5丁目1-10
参加費:8000円
今年最後の甲野先生の稽古。
この数か月、名古屋稽古も多いせいか、参加者は少なめ、しっかりと試して、稽古したい人にはチャンスです。

共に詳細、申し込みはウェブサイトから。
http://www.karadalab.com/

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