魂を実感するために その6 弱さの活かし方

めまいの経験は本当にありがたいものになりました。
もし、この経験がなければ、「より強く」をまだまだ求めていたはずです。
めまいによって、一瞬で肉体的には弱くなることを知って、求めるものが変わりました。

前回、頭を落とす事によって恐怖とは何かという事に気づきました。
これまで頼りにしていた「大きな身体」を手放す事で新しく見えるものがありました。

得るものがあれば失うものもある、とはよく言われます。
逆に、失ったからこそ、得るものもあるのでしょう。
手放す事で見える世界もあるものです。

言葉は簡単ですが、実践はなかなか難しいもの。私は「めまい」によって半ば強制的に手放しを経験しました。頭柔らかく、身体の声を聴いたならば、どう考えてもこれは「幸運」です。

弱さを一つ生かせることが分かれば、後は次々と手放し続ければいい。そう考えるのはまぁ、不思議ではありません。
弱さとは何か、と考えた時、具体的には姿勢を崩す事です。

次々に見つかっていったものをご紹介すればこんな感じ。
頭を落として、胴体を手放す。胴体よりも小さな頭は小回りが利きます。力強さはありませんが、刃物や土台からして大きな相手との戦いには小回り、速さの方が役に立ちます。

目玉には小回りが利き、速さがあります。
この速さも手放してみよう、と考えました。目を活かせないように、腰を曲げました。重いものを背負っているかのように、腰を曲げます。
すると、面白い事に「空気に押しつぶされるように」動きが生まれました。
結果的にそれが「気配のない動き」を生み出します。

気配のない動きも捨ててみよう、どんどんと弱さを求めます(笑)。
気配なく動き出せるメリットをいかに捨てるか。
動くのが得意ならその動きが止まってしまうほどの姿勢をとればいい、と追いつめてみました。

動きを止められるほどの大気圧。
もう武器はありません。心には不安が生まれますが、それは自分がまだ、強さを基準にしているから。
どんどんと弱さを求めれば見えるものがある、それを信じて「やれる事」を探します。

動けない中でなにを動かせるか。動けないからこそ、動けるものも見つかります。
そして見つかったのは「手」です。
押しつぶされている状況であっても、苦しいのは胴体、そして脚です。両手はその苦しさの影響を受けません。

手のひらをじっとみて、握ったり開いたり。当てもない実験を続けます。
今となってはどうしたかは定かではありませんが、たまたま、気功的に「玉」を作っていました。
ごそごそとランダムに動かしているようでも、結果的には何かに引かれ、玉になるのでしょう。一番簡単な手の動きが玉なのかもしれません。

この時、両手で役割を違えたらいい、と気づいたのです。
左手の親指を玉の中心、右手全体で玉の表面を作ります。すると、この「イメージの玉」は非常に強固に出来上がります。
これまでと同じように、強力に押さえつけてもらってもそのイメージの玉は崩れません。身体が大きく崩れるような時にも、左手の親指と、右手の平の関係は崩れず、玉がそこに残り続けます。

この玉が出来たとしても、実生活はなんの役にも立ちません(笑)。
もちろん、気功をされている方、武道、格闘技をしている人ならちょっとはそのまま使えますが、「仕事」の中ではちょっと使えません。

しかし、考え方、見方を変えます。
どんなに襲われても壊れないイメージの玉が出来た、作れたのです。これはつまり、自分にはこれだけの「イメージ力がある」という事を示しています。

何かをする時、どんなイメージを持っているのか、どんな仕事であっても、これは大切な事。
また、引き寄せの法則的な事を知っているのであれば、自分が無意識のうちに作っているイメージがあるかもしれない、と考えた事もあるかもしれません。
無意識は扱いにくいものですが、だからこそ、意識的にやれる事だけはやっておく、そんな対策が可能です。

もし、健康で、頑丈で、力強く、敵を苦にしない身体と技があれば、形がなく、あいまいなイメージの力になどは頼ろうとも思わないはずです。
今が大丈夫なのだから気にしない、そう考える人もいるかもしれません。
しかし、肉体は老います。いろいろとアクシデントもあるでしょう。未来はわからないのです。
肉体が衰えると元気もなくなります。元気がない時、出てくるイメージは大抵、弱いもの。これが「普通」です。しかし、この時、その弱気に気づき、これでは面白くない、と自らの意志でイメージを作る事が出来れば、また、愉快さを取り戻す事が出来ます。

もし、すでに、病気やケガ、また、その他のアクシデントを通して、自分の弱さを自覚しているのであれば、ぜひ、その時の事を思い出して、今持つ元気さを手放して、手によって作る事の出来るイメージの力を試してみてください。

形ないものに頼る。
このイメージの自覚もやはり、魂へとつながっていくものでした。
イメージについて、もう少し、続きます。

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