魂を実感するために その10 魂の発見

いよいよ、最後、「魂」についての発見です。
呼吸の働きを見つけ、形のない世界へと入り、頭の上に意識しない星がある事に気づきました。
思いがけず、めまいを経験し、強い身体には頼れない、と実感しました。弱さを求める中でイメージの力を知り、想像が創造になる魔法的な力も人にはある事が分かりました。

イメージ力が高まった事で、実際の肉体的な部分にも変化がありました。バラバラになる事で、イメージが現実へとつながります。
光に気づけたのは幸運でした。これにより、自分の「外」へと意識は飛び出して第三者的に自分を観察する事が出来るようになりました。

突然「魂」というところへといったのではなく、徐々に、少しずつ、肉体的な身体から離れていったのがわかります。
魂へのきっかけとなった動きも、全く想像もしていなかったもの。おおよそ考えられないものでした。

筋肉には伸筋と屈筋があります。縮む筋肉、伸びる筋肉。縮む筋肉は自覚しやすく、大きくなりやすいもの。しかし、伸びる方はリラックス、力が抜けた、と感じた時に働くものです。
これ、もう、何十年も前に聞いた事でした。それがたまたま気になって、工夫をしているうちに、自分の「外」へと意識が移りました。

意識が、というと何か考え方のように思うかもしれませんが、「身体感覚的に外」なのです。それは「場所」のようなもの。
普段、私たちは「地面」を基準にしています。楽しい事、夢中になっている時には気づかない地面ですが、恐怖に襲われたなら、膝が震え、腰が抜け、立っていられなくなります。地面が私は引き付けてきます。

対して夢中になっている時には意識は地面に頼らず、自由です。この夢中に近いところ、それが一番初めの外でした。
その外をどうにかして間違いのない方法でいつも、行けるようにならないか、そんな「スイッチ」を探し始めました。

伸筋を活かそうとする時、手を伸ばします。手を伸ばすとき、まっすぐ伸ばせば、肘が働きすぎ、肩が詰まります。回転を加えながら伸ばす、らせんの動きを意識して伸ばせば伸筋は働き、腕に力が感じられます。
ただ、これでは手のひらに力が集まり、外へと行きません。

手の中を細かく観察して、指の骨もらせんに使えるように動かしていった時、力が集まる部分がありました。それが「爪」です。

爪を意識して、爪だけが宙に浮いているように意識をし、その爪を返しながら伸ばしてみました。ドリル、いや、マイナスドライバーのように、外へと力が伸びていきます。
しっかりと外へと入った時、爪、指先だけではなく、私の全部が外へと場所を変えているのがわかりました。

この状態で捕まえてもらうと面白い現象が起こります。力を込めて捕まえてくる相手を気にする事なく、こちらは自由なまま、どこにでも行けるのです。複数の相手に適当に捕まえてもらっても、力が爪から先へと流れ、つかみにくく、こちらは歩みを止める事なく、行きたいところへと移動が出来ます。新しい感覚に興奮をしました。

ただ、これはまだ、身体が動いただけ。これまでの見てきた世界の一部です。相手と衝突する事がなければ、常に気分を動かしておくことができます。相手に合わせて動きを変える必要は減り、自由になるのですが、これは気分のおかげ。気分が良ければ大抵の事はなんとかなる、乱暴に聞こえるかもしれませんが、それも事実だったのです。

私の外には世界がある、それを「一つ」見つけました。では、「外の外」はどうなのだろう?そう考えて想像をしました。
この時、きっと、「外の外の外」も考えたのでしょう。一つでも外があればその外だってあるはず、無限に外がつながっているのかなぁ、と。
こんな考え方が、私の中で「宇宙」とつながりました。理由はわかりません(笑)。きっと、ひらめくってこんな感じ。

私たちのいるこの場所は地球の上、地面の上です。3次元、立体の世界に見えますが、縦があまりにも小さい。ほぼ、平面、2次元の世界です。
爪のおかげで一つ外に出た時、上下に自由が生まれ、その上下の動きが相手を崩します。宇宙に行ったらこんな感じなのかなぁ、と思いました。

地球の一つ外の世界、それは「太陽系」」です。その太陽系は銀河系、私たちの太陽は「天の川銀河」に属しています。
少し興味が生まれ調べてみました。「天の川銀河」は「おとめ座銀河団」に属し、さらに「おとめ座銀河団」は「おとめ座超銀河団」にいて、それはまた「ラニアケア超銀河団」に属しているというのです。宇宙は広い!

もし私が武術、身体の世界を追っていなければ宇宙は広い、で終わっていたでしょう。しかし、この「構造」は身体にもあるのかもしれない、そうひらめきました。
一つ外へ出た時、太陽系の感覚、3次元的に自由な世界を感じる事が出来ました。もし、この太陽系を出て、銀河を感じる事ができたらどうだろう、と考えたのです。
銀河は広く、人間の力では移動が出来ません。広く大きな「空間」。移動には「時間」が必要です。その時間に縛られているのが私たち、100年程度しか生きられません。

この時、「光の発見」があった事を思い出しました。私には光がある、そう考えてみると、広がった世界で、意識だけでも移動させることもできるかもしれない、そんな思いを持ちました。

そして、想像が広がっていくと、それが身体を変えるのか、外に出ている状態でまた、「爪」を返し、さらに「外」へと身体を伸ばします。思い込みの力もあるでしょうが、その世界はまた、これまでとは違う「場所」として認識ができます。
爪でいくつも、外へと行けるのか、とわかれば、そこにとどまり研究するよりも、さらに奥へと行きたくなるもの、そうして「外の外の外」へと爪を伸ばしました。

その「外の外の外」の世界は次元的に言えば5次元。想像が全くつかない世界。これまでなら、「形」に捉われていた事で思考が停止し、探索をあきらめていたはず。しかし、9か月もの間、形ないものに意識を向けていたことで、「形のない私」をそのまま受け入れる事が出来ました。

とはいえ、形がないからこれが魂、とはなりません。もう一つ、ヒントが必要でした。それが「宇宙」。
太陽系、銀河系、銀河団、超銀河団・・・宇宙には構造があります。
太陽系の中心にはもちろん太陽。大きく重い太陽が鎮座し時空間をゆがませて、地球などの惑星の運命を決めています。
一つ外の銀河系の中心にも何かあるはず。天の川銀河の中心には何があるのか。検索をかければ簡単にその答えは手に入ります(笑)。

天の川銀河の中心にあるもの、それは「ブラックホール」。「いて座A*」という名前が付けられています。
銀河のイメージはこんな感じ。たくさんの太陽をブラックホールが従えているのです。たくさんの太陽は一つ一つが世界、パラレルワールドを連想させます。時系列的な変化ではなく、瞬間、別の場所へといるような動きを叶えてくれる世界です。

さらにその外、「銀河団」の構造はどうなのでしょう。実は銀河団の中心にも「ブラックホール」があるとの事。おとめ座銀河団の中心にあるのがM87という銀河、その中心にもさらに大質量をもつブラックホールがいるのです。

銀河団のイメージが「魂」を連想させたのですが、伝わるでしょうか。
たくさんの銀河があり、それを巨大なブラックホールが従えている。銀河をギラギラとした輝くもの、としてみるのではなく、銀河も中心にあるのはブラックホール。ブラックホールがブラックホールを従えている、そんなイメージを持った時、魂という言葉が浮かびました。

太陽系を見た時、太陽と地球は違うものです。銀河を見たら、太陽とブラックホールも違うもの。しかし、銀河団的に見た時、ブラックホールとブラックホールが構造を作っている。同じものがそこにある、それが魂的と感じました。

分け御霊ってしってますか?魂は大きな魂から分けられ、一人一人に入っている。私の大雑把なイメージはそれです。
形はないけれども、存在している。そして、それは大きな魂から分けられている。5次元の存在と、中心と末端、ともにブラックホールだ、という事がもう、私には魂を連想してしまい、もう、止まりません(笑)。

自分の中にもちゃんとあったんだ・・・

魂がある、というのは知っていました。そして、それはそうだろう、と疑いもしない事です。
ただ、見えない、感じられない。それがずっと、私の重荷だったようです。無意識の底に沈められ、意識する事もない問題でした。
それが突然、身体感覚的に魂に違いない、と思うようになり、ものすごい勢いで私に頭をいっぱいにしました。

世の中は科学的になり、観測が出来ないものは無いもの、と扱われます。
普通に教育を受けて社会に入れば、非科学的な事を追求するのが難しくなります。
特に日本は遊びでオカルトを求められる良さはあっても、真剣に見えない世界を追求すると距離を置かれてしまいます(笑)。

世の中は忙しくなりました。
仕事でもプライベートでも、目的をもって活動する事を求められます。成果を上げるために方法を学び、実践する。成果は雪だるま式に大きくなり、凄いものになっています。
ただ、みんながみんな、それを心の底から喜べるかというと違うはず。私はどうも、成果だけを求める生き方はダメでした。望む成果は「結果的に」やってくる。そう信じていたのです。

魂の発見は成果を求める生き方は違う生き方を教えてくれました。
魂の「発見」とすればこれも成果なのかもしれませんが、魂を実感する事によって生まれる楽しさ、うれしさ、安心感があるのです。
そして、それは人それぞれ。自分の中にある原点というべきもの、それが魂ではないか、と思います。

肉体的には細かく割っていけばそこに、細胞が見つかり、遺伝子、DNAが見つかります。しかし、それらは「たくさん」のもの。物質的に細かくして、原子、素粒子、そしてまだ理論だけの世界との事ですが、この世の全ては「ひも」で出来ている、と言われています。
全てがひも、同じもの、これはにわかには信じられない事ですが、その可能性が高いというのです。

科学的に追えば私たちは全て「同じ」になってしまいます。しかし、「魂」は分けられているもの、個別のものです。その個別の元は同じだったとしても、この身体を感じている時には「固有」を感じる事が出来ます。

向き合っている相手がいるとします。武術なら「敵」ですが、日常なら友人、知人、親、兄弟、パートナー、一緒にいて気持ちのいい人たちです。
その目の前の相手は違う身体を持ち、違う人に見えます。心を通わせて一つになりたい、と願い、それも出来る人もいるでしょう。
しかし、武術的に「敵」として向き合った時にもできるかどうか、これが稽古です。
肉体的に様々な術理でつながりを作ってきましたが、形のない魂なら、一体感をかなり感じる事ができるのです。

言葉にすればどれだけ書いても、足りません。また、頭が先へと働きすぎて思考停止になります。
この魂は爪からつながるもの、普通に感じられる肉体と地続きになっているもの、だからこそ、私にもたどり着けたのです。
稽古では感触を通して、「魂の場所」をお伝えできるかと思います。そして、魂が揺れ、動いた時の自分の状態を観察すれば、実は日常生活の中でも、何度もそれが現れていたことに気づくはず。ただ、これが魂だったのか、と自覚がないために、遅れて動く肉体に気を取られてしまうのです。

とにかく、今年、魂の発見に至るまでの稽古の様子をお伝えする事ができました。一方的ではありますが(笑)。
もし、この一連の記事の中で気になる言葉があれば、ぜひ、遠慮なく、聞いてください。また違った説明と、身体の動きと共に、お伝えさせていただきます。

魂へと至る道については甲野先生のメルマガにて稽古録を掲載していただく予定です。良ければそちらもご覧ください。

【稽古予定】参加受付中
10/30(土)甲野先生の名古屋稽古会
10/31(日)つくば稽古会
11/27(土)川崎稽古会、新会場!

10/27(水) 名古屋
10/27(水) 大垣←再開!
11/10(水) 名古屋
11/13(土) 浜松(会場に注意してください。)
11/18(木) 瀬戸
11/19(金) 熱田
11/21(日) 名古屋
11/24(水) 名古屋
11/26(金) 東山

詳細はウェブサイトで。
カラダラボ ウェブサイト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?