【コラム】ピラティスは人気がない?!その2

前回のコラム”ピラティスは人気がない?!その1”では、
ピラティスは良いイメージがあっても
「きつい、辛い、苦しい、ハード」な体験によって
実は人気がないんじゃないか?!
という話でした。

でも、それだけで100年も続いたり、流派が幾つも分かれていって広がったり、
医療現場に取り入れられたり
はしないんです。
それは、誰でもわかりますよね。

では、その本当の魅力とは??
今回はそのギャップを深掘りです。

そもそもピラティスの名前の由来はご存知でしょうか?
これは、"ピラティス氏(ジョセフ・ピラティス)”という人の名前から来ています。
ピラティスさんは、元々さまざまなスポーツで体を鍛えていたということですが、
エクササイズを人に提供するようになったのは、
第一次大戦の頃、看護師として負傷兵にベットの上でエクササイズをさせたことが始まりとか、、、つまりまさにリハビリの現場から生まれたということです。

そして、話題になったのはニューヨークでダンサーなどに教え始めたことから。
なので一見ピラティスとはとても華やかなエクササイズにも見えるのですし、
ハードなイメージも少なからずそこから付随してくるのかもしれませんが、、、

実際には、ピラティス氏は生徒にはできるだけ薄着で、可能ならでレッスンをしたそうです。
(実際残っているピラティス氏のエクササイズの写真もパンツ一丁です!)

そして、その教訓としては、
小さな動きほど大事にすること
正しく指導された通りに動くこと
などが含まれます。

p46-47 Rerurn to Life Through Contrology 武田純也監修・編著 現代書林

また、ピラティスという名前はピラティス氏の死後つけられた名前ですが、生前ピラティス氏はこのエクササイズのことを”コントロロジー”と呼び、全ての筋肉を自分の意思で動かす意識や集中力、そのための知識など総合的に体をコントロールすることを重要としていました。


つまり以上より言えることは、

ピラティスとは、
「意識を集中させ、身体の知識を深め、呼吸・姿勢・タイミング・強さ・方向など動きをあらゆる面でコントロールさせることにより、体をよりしなやかに、強靭に、そして心も体もバランスよく発達させ、悪い姿勢を修正し、体の活力を取り戻し、心に元気を与えて、精神を高揚させるという高尚な目的があるエクササイズ
なのです。」

p40 Rerurn to Life Through Contrology 武田純也監修・編著 現代書林

そして、それを実現するためには、
・指導者が正しく指導する
・生徒はその通り的確に動かす
・体の隅々の動きまで見て動きの修正をする
という環境が不可欠になります。

一方、日本の現状はどうでしょう?
ピラティス専門スタジオはいくつもあるものの、マンツーマンレッスンはとても高価なため、どうしても安価なグループレッスンに足が向きがちです。

そこでグループレッスンでは、
インスタクターが大勢いる参加者の前でデモンストレーション、
もしくは口で運動を説明しながら参加者がそれを見様見真似で運動をする

自分のペースではなく、インストラクターまたは会場全体の雰囲気で進んでいき、、

疲れたと思っても、辛いと思っても休んでいられない、、、(雰囲気的に)
もしくは適当に誤魔化しながらなんとなく一緒に動く。。。。

ハード、辛い、、しんどい。。

これでは、目的とする「小さな動きを大事にする、正しく動く、自分でコントロールする」ことは到底難しく、悲しいかな、
「辛い、きつい、厳しい、、、」という参加者の悲鳴が聞こえてくる結果となります。

また、インストラクターも
10人20人の生徒を一度に見て、正しい動きを指導するというのは無理な話で、、

グループレッスンでは全体の流れが滞らないよう、
そして”魅力的な”クラスになるような声の掛け方や(時にはあおってみたり)、
ある程度の高い運動負荷を提供せざるを得ない、(やった感が大事)
というのが現状ではないでしょうか?

つまり、とてもじゃないですが一人一人の動きを細かく見る
ということはできません。

そもそもグループレッスンで行う目的は
「楽しく動くこと、満足感を与えること」であり、
動きを変えること、ではないのですから。
(グループレッスンでも変わったという方は、
よほどそのクラスがご自分に合っていたか、
感が良かった、無理をしなかった、、など
たまたま相性が良かったのでしょう。)

でも、理学療法士は知っているのです。
自分に合わない動きで、
負荷量が強い運動
体の負担になること。

辛く面白くないだけでなく、怪我の原因にもなること。

良かれと思って行っている運動の後に、
体を痛めている人が世の中に沢山いるということ。。。

つまり、ピラティスというエクササイズそのものは、
非常に優れた運動療法の要素を持っているにもかかわらず、
提供する環境によっては
参加者はピラティスの本当の素晴らしさを享受することなく、
ただ体の負担になったり、
ハードすぎたり、時には怪我をしたり、、
というネガティブな結果になってしまう。
のではないかと思うのです。

一方で、理想的な環境(マンツーマン、少人数、良い指導者)で
ピラティスを受けた人の中には
「ピラティで人生が変わった、素晴らしい!」ということになり、
ネガティブな結果を受けた方との大きなギャップが生まれることになります。

(ちなみに、私はこの結果について「自分が合わない」「自分の注意が足りない」
「自分の選び方が悪い」など、参加者自身に悪いと思わないで頂きたいです。
どちらかといえば、提供するインストラクターはプロですから、参加者の体力に合わせたり、合わないことに対するアドバイスをしたり、、そういうこともする責任があるのでは?と思っています。
もちろん双方に理解が深まることが大事ですけどね!)

”この人生が変わった!”というほどインパクトの大きな結果が得られる点が
ピラティスのすごいところですね。

他にエクササイズは山の数ほどありますが、
多くの人が「人生が変わった」というエクササイズも
なかなかないような気がします。

なぜ、ピラティスはこれほど「人生を変える力」があるのでしょう?

そこはまた次のコラムで!

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