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平沢進12thアルバム『現象の花の秘密』雑感

個人的な記録として『現象の花の秘密』の感想を書いておく

これは平沢進のソロ活動12番目のアルバムだ
でも僕にとっては一番最初のアルバムだった
たしかこれの予約を機にGN会員になったのだったな

僕の脳は『現象の花の秘密』以前・以後で平沢進の活動をとらえてしまっている節がある
『現象の花の秘密』以降は作品の発表順がわかるけど、それより前のものとなると、順番にまで意識が届かない
それは、作品が時代を越えているせいでもあるかもしれないな

初めて東京に1人で行って、初めて見たライブが、
これのインタラクティブライブなのでそれも思い出深い

1. 現象の花の秘密

先行配信されたものを何度も聴いたせいか
この曲が僕の中で平沢進のニュートラルになってしまっている
ひな鳥が初めて見たものを母と認識するようなものか
たぶんこれは真のニュートラルとはかなりずれているんだろうに

音の面での感想を書こうとしているがなかなか言葉が出てこない
本当にこれが僕のなかでニュートラルになっているようだ

歌詞について
"ただ始まりの幕を切るキミが居た"ということなんだろう
映画の始まりのイメージだ
ところで、
いろいろな花の名前が盛り込まれているけど、その姿をイメージできるのはサルビアとハイビスカスくらいか
ちょっと花屋か植物園に行きたくなった

2. 幽霊船

この曲には幽霊船2015という別バージョンがある
長いことそちらが完全上位互換だと感じていた
今回改めてオリジナル版と聴き比べたところオリジナルのほうがコントラバス(?)とピアノの音が気持ちいいと思った

歌詞について
"懺悔する強者 突破するルーザー"
弱者が上を行く
平沢さんの歌詞で頻出する構図だ

そして、この曲は平沢さんがよく作る「はたらく乗り物」の歌でもあるな
船が出てくる歌はいくつかある『回収船』とか
幽霊つながりで行くと『幽霊飛行機』がある
この手の乗り物は大体ポジティブなイメージで出てくる気がする

幽霊といえば『サイエンスの幽霊』というアルバムがある
平沢さんの文脈では幽霊というワードは特別な意味があると思う

幽霊は科学の多数派から「有り得ない」と切り捨てられたものの象徴なんじゃないかな

そこで疑問が残る
"さあ幕を引け 有りもせぬ ああ連綿と憑依する物語"
ここでの"有りもせぬ"はポジティブ?ネガティブ?
幽霊がポジティブなら憑依もきっとポジティブになりそう
そもそも 有りもせぬ 物語 じゃなくて 有りもせぬ 幕を引く なのか?

うーん、分からない…

3. 華の影

好きな曲なのにタイトルを忘れるので、
聴こうとするときにいつも困る
"神を目指す無頼漢"の語感が好き

この曲は音より、語感が楽しい
歌詞はぜんぜん楽しい内容じゃないけど…

歌詞について、さっぱりわかってなかったけど
この機会に解釈をいろいろ調べたら少しだけ掴めたかもしれない
調べてみてください
花じゃなくて華である理由とかなるほどと思った

4. 脳動説

"サイパンから失禁教師"という空耳を
作者自身が発売前に言い始めてしまった曲だ

ぬるっとした曲なのでなかなか聴く気分になることが少ないな

歌詞について
さっぱりわからんと書こうと思ったが、少し踏ん張って考えてみた

平沢さんは地動説でも天動説でもなく脳動説を説いている
この3つ説は共通して世界の運行の軸が何なのかを定めるものだ

つまり、世界の運行を決めるのはキミの脳であり、
キミが思えば"最果て"・"災難"・"遥か"までの距離と軌道は自由自在であり
"そびえる脅威"は脳が思い込んでいるものでしかないのだと

"空無き星は キミのまま行きつ戻る"
空無きというのは天動説でも地動説でもないということだと思う

何にも縛られていないキミは己の脳の働きで何処へでも行けるんだ

5. 盗人ザリネロ

仮タイトルは『7つ目の石』だったらしい
ザリネロって誰?
@hirasawaのtwilogで
ザリネロと検索すると色々出てくるのでお試しください

この曲もスローテンポなのでなかなか聴く機会がないな

歌詞について
津波のことを歌っているという解釈を読んだことがある
それが平沢さんの意図とあっているかどうかは置いといて
この曲のメッセージは何なんだろう…?
全くたどり着けない… ギブアップだ…

6. 侵入者

この曲を聴くたびに、頭が光ってるヒトカゲが見える…

音的にかなり地味、かつ声に強くエフェクトが掛かっている
地味だけど音が多い
僕がはまれない曲の共通点がみえてきたかも…

歌詞について
『広場で』との共通点が多い
塔・船(舟)・デジャヴ(デジャビュー)
これはユング心理学と関係ありそう
"夢に問えば寡黙に答える"もユングっぽい?

侵入者はどこに侵入しているんだ…?(家?)
これはそもそも侵入者という存在も脳が作り出したものでしかないという歌なのだろうか?

初めからあるものを忘れてる
→思い出す
という構図は頻出なんだけど、いまいち掴めないな

平沢さんの
「安心してください」
というメッセージだけ伝わってくるような気がする

7. Astro-Ho! Phase-7

とても不穏な曲調だ
この曲は大音量でよく聴いていた
ストレスフルな気持ちに似合う

歌詞の意味はよく分からない
でもそれが逆に良いと思える
曲調と己の気分さえマッチすればいつでも聴けるからだ
もしこの歌詞がクリスマスについての歌だと分かってしまったら
聴けるのは12月の中旬から末までが限界だろうな

8. Amputee ガーベラ

この曲はコントラバスの音が気持ちいいな
以前、「好きな花はなんですか?」と聞かれたときに
ガーベラと答えたことがある
ガーベラがどんな花か知らなかったけど

この曲の歌詞について
ハルディンドームのブックレットを読むと理解に近づくという記事を見た
恥ずかしながらブックレットをまだ読んでいない
これはよくないな
早く手に入れて読みたい

歌詞を読み解くにはユングの知識も必要な気がする

9. 冠毛種子の大群

この曲はおどろおどろしいな
何度も聴こうとは思えないんだよな

この曲はメッセージ性がかなり強そうなんだけど、
何が言いたいのかイマイチつかめないんだよな
それもすすんで聴けない理由だ

不安を煽る情報や報道で、パニックに陥っている群衆
というイメージ

GN会報によると、冠毛種子が大群を成しているのはネガティブなことらしい
冠毛種子ってなんなんだろう?
これ自体はネガティブなものなのだろうか

種子とトーチカの関係がわからないんだよな
"そびえよ丘のトーチカ"と繰り返されるがこれの意味がつかめないのが辛い

10. 空転G

イントロの金管楽器風の音がいい
歌詞含め心地よい曲だ
この曲は定期的に何度か聴く

歌詞について
これは大震災のころ、
ガイガーカウンター片手に、
ベランダに微生物を撒いていた平沢さんの姿に重なると思う

通説を信じず、自分が信じることのできるものを探す姿

空転GのGってなんなんだろうな
GoalのGかもな
人はどこか一つの答えに向かっているのではなく、
すでにここがいるべき場所(G)で、その場所で色々試してみる姿(空転)なのかも

これはアルバム全体を通して感じることだが
今回は改めてユングを取り扱っていると思う
タイトルはそれの表明なんだろう
途中になっているユング心理学の勉強をちゃんとしてからもう一度考えたい

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