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戦場のピアニスト感想

主人公はユダヤ人のピアニスト。
第二次世界大戦におけるユダヤ人大虐殺によって職を追われ家を追われ、家族と引き離され…散々な目にあう。


戦場でピアニストがピアノを弾く話だと思っていた

戦場のせいでピアノが弾けなくなったピアニストの話でしたね…
勝手にピアニストが戦場の瓦礫の中でピアノを弾く話だと思い込んでいました。
戦争に翻弄されてピアニストがピアノを弾けなくなった話なんですね。


とにかく辛い目に遭いまくる

ユダヤ人迫害によってどんどん追い詰められていく主人公。
ユダヤ人隔離地域に強制移住させられてからどんどん生活は悪化していく。住民同士でも食べ物の奪い合い、身内の売り合いが始まる。
鍋をもって道を歩いていた老女は男に鍋を奪われそうになり、中身を道にぶちまけてしまう。泥におちた粥を、男は啜る。老女は泣きながら男を力なく叩く。
戦争でどのように人が辛い目にあっていくのかが丁寧に描かれる。
ピアニストは世界が平和でないと成り立ちようがない仕事だ。ある意味、戦争から一番遠い場所にいた彼がどんどん追い詰められていく。


一瞬で変わる立場

クライマックスで主人公は憎むべきはずのドイツ兵に情けをかけられ、食べ物を分け与えられ、ピアノを評価される。主人公はただ感謝する。主人公をそこまで追い詰めたドイツ兵を。
しかし一対一の人として向き合う時、そこに殺意はなく、ただ助け合う人間二人がいた。
ドイツ兵は「もっと暖かいのがあるから」と言って自分の軍コートを主人公に与える。主人公はいたく感謝するが、ドイツ兵の服をきて外に出た途端にドイツ兵に間違われ、殺されかける。
誤解が解け、戦争の終焉とともに主人公はもとの生活へ戻っていく。宣言通り、主人公はラジオでピアノを弾く仕事に戻った。主人公は全てを失ったが、それでも日常は容赦なく戻ってきた。
一方で、ドイツ兵は捕虜として捉えられていた。自分が施しを与えたピアニストに縋ってなんとか助かろうとするが、結局彼の所在は見つからなかった。
一瞬前まで二人は施す側、施される側だった。しかし戦争において戦況でその立場は簡単に逆転してしまう。そこに個々人の意思は関係ない。主人公は散々にドイツ兵に迫害され殺されかけた。しかしドイツ兵の軍服を着ていただけで殺されそうになる。人が人を迫害し排斥し殺そうをする理由がいかに薄っぺらで馬鹿馬鹿しく、簡単に覆ってしまうものなのかが描かれている。

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