スナネコの規制について考える〜商取引規制の面で〜

今まではスナネコの規制を飼育面から考えていたけれど、本来やるべき方面としでは、商取引規制の面から考えるべきだったかもしれない。そう考えて、商取引規制の面から今日は考えることにした。

絶滅危惧種や生きものの商取引の規制というのはいくつかのパターンがある。

まずは「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」だ。生きたままの移動が制限されたり許可なく海外から購入するなど、販売や飼育に制限がかかる。とはいえ、スナネコの飼育数が少ない状態かつ日本の環境に適応しにくい状況などを鑑みると、この法律での指定は困難であろう。とはいえ、スナネコとイエネコは交雑可能であるので、地域によっては交雑したことで問題になる可能性は否定できない。

次に、「動物の愛護及び管理に関する法律」からの場合を考える。家庭動物等の飼養及び保管に関する基準には、こういうことが記されている。

「 特に、家畜化されていない野生動物等については、本来その飼養及び保管のためには当該野生動物等の生態、習性及び生理に即した特別の飼養及び保管のための諸条件を整備し、及び維持する必要があること、譲渡しが難しく飼養の中止が容易でないこと、人に危害を加えるおそれのある種が含まれていること等から限定的であるべきこと及び適正な飼養には十分な経費等が必要であることを認識し、その飼養に先立ち慎重に検討すること。さらに、これらの動物は、ひとたび逸走等により自然生態系に移入した場合には、生物多様性の保全上の問題が生じるおそれが大きいことから、飼養者の責任は重大であり、この点を十分自覚すること。」

この点から、どういう飼育環境において適切な飼育が可能であるのかという論点から規制を設けることもできなくは無いのかもしれないが、一種類ずつ行うのは難しいだろうし、あくまでこれは飼育規制であるがゆえに商取引規制では無い。

商取引に関する情報については、こちらが重要だろう。

野生動物のイヌ科・ネコ科に関して扱いがどのようになるのかはこれを書いている時点ではまだ分からないことも多いが、その中で気になったことがある。

守るべき基準(一部抜粋)
1.飼育施設の構造や規模等に関する事項
 ・個々の動物に適切な空間や広さの確保
 ・給水・給餌器具や遊具など必要な設備の配備

とはいえ、これに関しては国として明確な基準が存在していない。地方自治体には基準がある場合も多いが、さすがにこの空間を広げるなどのものではスナネコ以外であったりイエイヌ及びイエネコにも規制が広がってしまう可能性が大きくて現実的では無い。

3つ目に、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」からの観点からの規制を考えよう。スナネコはワシントン条約附属書Ⅱに記載されているため、商取引に関しては「野生の個体の違法な手段での入手」が規制され、輸出国の輸出許可証が必要となる。ちなみに国内繁殖個体の取引に関しては許可証が必要では無い。

とはいえ、スナネコの生態や生息数に関しては分からないことも多く地域によっては絶滅している場合もあれば、生息しているかも分からないという場合もある。そうなると、軽度懸念という状態である以上、商取引の制限というのは難しいのではないかと思う。

そう考えてみると、スナネコの商取引規制というのは他の生きものを巻き込んでしまう点で難しいのではないだろうか。そういう思いも抱いてしまう。

次回は、動物の福祉や特定外来生物の可能性をもっと調べていきたい。



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