大谷選手はチャンスで打っていない?

MVPは大谷選手かジャッジ選手か(貢献度からの検討)part4


大谷選手はOPS.875という成績が示す通り、2022年シーズン打ってはいたのだと思う(OPSはおおよそ0.8以上であれば強打者、0.9以上であればトップクラス)。しかし、今回用いている勝率の変化から見た場合の貢献度から考えると、”勝敗に対して重要な場面では打てていなかった”と考えることが妥当ではないかと思う。
読者の方は、今年のエンゼルスはあまり勝っていなかったので、チームが弱かったのではないかと思う方もおられると思う。確かにそれはそうである。しかし、エンゼルスには重要な場面で打っている選手も在籍している。それが前回紹介したトラウト(Trout, Mike)選手(貢献度2.07ポイント、打率.283、本塁打40本、OPS0.999、規定打席未到達)である。
このことを踏まえると、そもそもチャンスではトラウト選手に打席が回っていて大谷選手には回っていないのではないかと考える方もおられるかもしれない。しかし、この貢献度という指標は、勝敗に大きな影響を与えない時、例えば10点差のある9回には、ヒットを打ってもアウトになってもあまり数字が変化しないという特徴がある。つまり、マイナスの値を増やすためには、それなりに重要な場面で打席には立つ必要がある。
それでは大谷選手がただチャンスに(得点圏にランナーが居る状態で)打てなかったのかというとそうでもない。大谷選手の得点圏のOPSは1.213と驚異的なレベルである。つまり得点圏では、めっちゃ打ってる(むしろ得点圏でない時よりも打ってるくらいの)状況である。つまり、2022年の大谷選手は打ってるだけでなく、特に得点圏で打っているが、勝敗に対して重要な場面では打てていないというのが、これらの結果から導き出される考察である。
例えば、この記事では、スコアが8-3と大量リードした場面であることが記載されている。

今年のエンゼルスは、大谷選手が投打で孤軍奮闘という印象が強いが、貢献度から考えた場合、打ではトラウト選手が結構結果を出していたということを示した結果であったと考えている。そして、今回の分析ではどちらかと言えば、”尚、エンゼルスは試合に負けました”というフレーズの裏付けをしてしまったのではないかと思う(勿論、大谷選手が投手としての貢献度が高いことは改めて記載しておく)。

大谷選手の打者としての貢献度が高くないという結果が出た時、筆者は得点圏打率が低いのではないかと予想していた。得点圏も高かったという結果には、ただただ驚くばかりである。
日本のプロ野球でも散々チャンスで打てないと言われたドラゴンズのビシエド選手の打率が.309もあった。ビシエド選手の貢献度を算出することは出来ないが、得点圏打率だけで測れないのが貢献度となるのではないかと思う。

「大谷選手によく分からない限定条件をつけず素直に考えなければ打ってるじゃん!!」と言われれば本当にその通りだと思うのだが、この辺りの感覚は、試合を見ている方と一番共有できるのではないかと考えている。
エンゼルスの試合をよく見ている方に教えて頂きたい。

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