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なんちゃってウォッチパーティー歴3年の私流セルフ同時視聴会のすすめ

2020年1月を最後に、私は親友に“会って”いない。

親友のBとは月に一度、夜更けまで呑み歩く仲だった。
お互い映画が好きなので、酒の肴にといつも映画を見てから呑み始める。
最後に会った日もT・ジョイ京都で『1917 命をかけた伝令』を、それからみなみ会館に移動して『性の劇薬』を見た。
Bは後者の上映中に寝てしまったらしい。
「どこまで覚えてる?」と尋ねると、「拘束されてる男が“ヘンタイ!ヘンタイ!”って言いながら悶えてた」と返すB。
序盤も序盤やないかい。
かくいう私も、満員の館内に響く咳の音が気になって集中できなかった。
国内で初めて、かの流行病の感染者が確認された頃だった。
「しばらく集まれなくなるかもね」と話し、帰路に着いたのを覚えている。

その後、流行病が社会に与えた影響は言わずもがなであるから仔細は省く。
暇を持て余したBと私は、Zoomを使い自宅で飲み会をすることにした。
しかし話題があるようでない。根暗同士が無理にテンションを上げようとするとロクなことがない。
どちらからともなく「映画でも見るか」という話になった。

セルフ同時視聴会のやり方

オンライン飲み会でどうやって一緒に映画を見るのか。
私たちが編み出した方法は、
Zoomに繋ぎながらサブスク動画配信サービスで同じ映画を「いっせーのーで!」で再生する
これだけだ。
Zoomのマイクをミュートにすれば、映画の音声を拾って音がダブつくこともない。
言いたいことがあればチャット機能を使えばいい。
もちろんZoomに限らずGoogle meetでもSkypeでもTeamsでもなんでもOKだ。
(Google meetは2人まで無料で時間無制限)

現在はAmazon Prime Videoの「ウォッチパーティー」(対象となる映画やTV番組を、離れた場所にいる友人などと一緒に視聴できる機能)といったサービスもある。
この手のサービスを私は利用していないが、チャット機能なども搭載されているようだ。見たい映画がAmazon Prime Videoで配信されているならアリだと思う。

セルフ同時視聴会のメリット

オンラインで映画を一緒に見ることの何が楽しいのか。私が思うメリットを挙げる。

適度な緊張感がある

メインPCでビデオチャットツールを使用し、サブディスプレイに映画を映すことでお互いの顔を見ることができる。
言い換えると、舟を漕いだら即バレる。その適度な緊張感で、一人なら眠ってしまいそうな映画も完走できる。

カメラオフでもよいのだが、オンにしていた方が一緒に見ている感じがするので私は好きだ。

好きな時にトイレに行ける

多くの動画配信サービスでは、同じアカウントを使用して複数のデバイスで同時再生が可能だ。
ということは、パソコンとスマホで同時に再生して、スマホを持ってトイレに行けばOK。これで気兼ねせず好きな時にトイレに行ける。

一部の動画サービスでは同時再生デバイス数に制限があるが、ファミリーアカウントを使えば解決できることが多い。

すぐ寝れる

飲み過ぎても、オンラインならビデオチャットツールを終了してすぐに寝れる。
余裕ができる分、1本多く映画を見たり駄弁ったりできる。

外出にかける労力全て省ける

「今から映画見ない?」「OK」
このやり取りだけで友人と集まることができる。
おめかし不要。交通費も移動時間もかからない。飲み代が安くつく。コスパタイパ最高だ。

セルフ同時視聴会の魅力

Bと私はかれこれ3年間、ひと月に一度のペースでセルフ同時視聴会を開催してきた。
オンラインで一緒に映画を見て酒飲んで駄弁るだけの会が、なぜ今日まで続いているのか。
それは集まるハードルが低く、それゆえに無責任な映画のセレクトができるからだと思う。

私たちは毎回、視聴する映画のテーマを決めている。
内容は「泣ける恋愛映画」や「人がたくさん死ぬ派手なアクション映画」、「学校」など、大喜利のようで楽しい。
そのテーマに合わせて各自第三希望まで映画をセレクトし、当日発表する。そうして挙がった作品の中から、両者とも見たことがない映画を視聴する。
「気にはなるけど一人では見る機会がなかった映画」や「相手がいなければ絶対に見なかったであろう映画」を見ることになるので、新鮮な映画体験ができる。

デメリットは親友とリアルで会う必要が全くなくなってしまったこと。
そう、Bと私はリアルでもオンラインでもやることが一切変わらないのである。
「もう私たち、直接会っているところを想像できないね」なんて話す始末。本当に何も困っていない。困った。

行動制限がなくなり、世の人はオンラインを捨て街に出つつある。
しかし、同時視聴会にはリアルにはない魅力がまだまだあると思う。

例えばライター仲間で同時視聴会をするのはどうだろう。気になるテーマや社会問題に関連した映画を皆で視聴し、感想を話し合うのだ。
価値観が異なる人間が集まれば、セレンディピティが起こりやすくなる。いいネタが見つかるのではないだろうか。ぜひ試してみたい。

そんなこんなで、今月もBとのセルフ同時視聴会は開催される。
飽きもせず付き合い続けてくれる彼女と映画に、心から感謝している。

#映画にまつわる思い出

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