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まやかしと思うか、魔法と思うか。

以前よりしっかりメイクをするようになった。

きっかけは、推しの握手会に参加することになってからだ。推しはどちらかというとくっきりした顔立ちの美人系が好みそうなので、(想像だけど。でも奥さんの顔立ちがそのようなので多分そうだろうという偏見……笑)
「こんなスッピンみたいなメイクで子どもっぽい自分じゃ、恥ずかしくて推しに会えない……!」と本気で思った。本気で。

それまでも、いつかはもっとちゃんとメイクをして、年相応に見えるファッションをしようと思っていた。ただ、心のどこかで「黒髪でほぼスッピンの無垢な自分」が“自分らしい”と思っていた。それは、主に母の影響が強い。別に母を責めているわけではない。ただ、母親がもっている「娘像」に、無意識に合わせようとしてしまっていただけなのだと思う。

あともう一つ、これはつい最近気づいたことで、私はメイクをすること、オシャレをすることに少なからずマイナスイメージをもっていた。
これは恐らくメディアの影響が大きいと思うが、メイクをしたり着飾ったりすることは、男性に色目を使うことで、ちょっと軽い人だと思われるというイメージをもってしまっていた。

なので、メイクやファッションに興味をもつことに対しては、少し不真面目な印象をもっていて、自分はそういう風に見られたくないという思いから、あまりメイクやファッションに力を入れてこなかった。

でも、メイクやファッションに気を使うようになって考え方が変わった。それまでは、社会人としてするものであったり、他人の目を気にしてするものだったりするものだと思っていたけれど、自分のためにしていいものなんだと思えた。

例えば、気持ちがどんよりした日にメイクをしたら、パッと顔色が明るく見えて「なんだ、自分まだ元気だ」と思えた。リップを引き直すだけで、気持ちを切り替えられるようになった。
メイクがうまくできた日は、その日一日全部うまく行く気がした。メイクやファッションで自分に自信がもてた。自分を好きになれた。

最近、ツイッターで「メイクは男性を喜ばすためにしているんじゃない。自分のためにやってるんだ」というつぶやきをよく見るようになった。本当にそうだと思う。昔もっていたメイクに対するイメージは、悪しき男尊女卑の刷り込みだったのだ。

また、メイクをすることはスッピンを誤魔化すもの、本当の自分を隠すものだという思い込みもなくなった。誰かに好かれるためじゃなくて(もちろんそういう理由もあると思うしあってもいいけど)、自分が好きになれる自分のためにやっていいことなんだと思えるようになった。これは、有名な美容ライターの長田杏奈さんが「美容は自尊心の筋トレ」と言っていたのが大きい。

私もはじめは、推しに綺麗だと思ってもらいたくてメイクを頑張るようになった。けれど、メイクをするようになってから、自分の気持ちを上げてくれる道具が一つ増えたと思うようになった。メイクのおかげで気持ちを切り替えることができるようになったし、自分も変われるんだと自信がもてるようになった。楽しみの引き出しが一つ増えた。

それに、誰かのためにするメイクだっていいと思う。「女は男に好かれるためにメイクしてるんでしょ」と他人から強制されたり決めつけられたりすることが問題であって、自ら好きでやるのは良いと思うのだ。メイクをする舵をもつのは自分で、他人にはない。綺麗になりたいと思う気持ちに、後ろめたさを感じる必要はない。

メイクやファッションは、他人に自分をよく見せるためにするまやかしなんかじゃなくて、自分が楽しくいられる魔法だ。

私は、自分のために、楽しくメイクやオシャレをしています。そのきっかけをくれた推し、ありがとう。そして、メイクに対する認識を変えてくれた人も、ありがとう。楽しいです、いま。

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