モーニングルーティン 40320日目【日記7・18】

 習慣化が苦手である。

 毎朝七時十五分に公園に集合してラジオ体操をやるのがしんどい、とかそんなレベルではなく、病的に苦手である。実際この前それらしい病名がついた。なぜだかわからないが耐えられない。黒板引っ掻く音みたいなもんである。

 人間、朝起きると(あるいは昼起きると(あるいは夜起きると))いくつかやるべきことがある。布団を畳む。カーテンを開ける。顔を洗う。歯を磨く。髪を整える。着替える。朝食を摂る。カバンに荷物を詰め込む。

 二十余年間いずれかの時間に起き続けて、これらの順番が定まったためしがない。上の例だと8個の作業を挙げたので、8!=40,320。40,320?! 本当に毎日まったく違う工程で出発している可能性が出てきた。

 ところでタバコを長年吸う人が良く言うのが「起き抜けにタバコを吸うようになるとやめられなくなるよ」というものだ。

 僕はタバコを吸うには一日にピースライトを四、五本くらいは吸うのだが、それが決して習慣としては成立しない。毎日ぜんぜん別な時間に吸っている。これといって決まったシチュエーションのようなものもない。

 ただ最近は、難儀な話をされると妙にタバコが吸いたくなるようにはなった。もう恋人と別れようと思っているだとか、ちょっと今の仕事場ではやっていけない気がするだとか、そういう種類の。なるほどねえと言いながらひと口吸いたくなる。

 起き抜けの話にしても、朝の作業が40,320通りに及んでいるせいで、タバコが起き抜けの習慣として組み込まれべき余裕がもとより存在しない。

 そんなだから、なんかもういいや、やめちゃおう、と思ったら簡単にタバコを止してしまう。喫煙場所まで出て火をつけるのが途端に面倒くさくてばかばかしくなってしまう。習慣化のへたくそさが健康に寄与することもあるのだ。

 ところでこの日記(?)を毎日書いてそろそろ一週間になる。上のとおりの非習慣的人間としては奇跡的である。よっぽど書くという行為に飢えているのかもしれない。

 肝心の小説執筆の方は未だ上手く進められない。日記の方はもうちょっとだけ続けてみようと思うのじゃ。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?