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SMFGの「組み込み型金融」について

『エンベデッド・ファイナンスの衝撃: すべての企業は金融サービス企業になる』という本を紹介したことがある。「預金」「融資」「為替」といった銀行がこれまで果たしてきた機能は、今後とも必要ではあるが、それは銀行が今のような業態を維持することを意味するわけではない。

ビル・ゲイツは、「銀行機能は必要だが、今ある銀行は必要なくなる」という趣旨の発言をしている。

各機能が姿形を変えつつ、いろいろな場所に必要に応じて組み込まれることで、金融以外のサービス提供企業(非金融企業)が、既存サービスに金融サービスを提供するようになるという。

要するに、銀行の「土管化」である。

欧米の先進的な金融機関と比べると、何かにつけて保守的な日本の金融業界は、いまだ古色蒼然とした昔ながらの銀行業務を続けているが、そろそろ風穴を開けるところも出て来ている。

メガバンクと呼ばれる3つの銀行の中で、優等生的で後出しジャンケンが得意な他の2行に比べると、三井住友銀行(SMBC)は幾分かは独自路線を歩む傾向があるようだ。したがって、僕は個人的に好きな銀行である。

三井住友フィナンシャルグループ(FG)は米マイクロソフトと組み、アジアでフィンテック事業を本格展開する。クラウド技術を使い、金融サービスに手を広げたい現地のIT(情報技術)企業に、決済や融資といった金融の中核機能を提供するのだそうだ。

日本には金融機関がそもそも多すぎるという話は前々から言われている。メガバンク以外に、地銀、第二地銀、信金、信組、それとゆうちょ銀行がある。他に政府系の金融機関もある。明らかに過剰である。「預金」「融資」「為替」といった伝統的な銀行業務は、もちろん今後も必要ではあるが、店舗にわざわざ顧客が出向かなければいけないようなものではない。ネットで概ね解決できる。

パソコンやスマホを使いこなせない老人や情弱者はいずれ絶滅する。そうなったら、いよいよ金融機関の大淘汰の時代が来るのは間違いない。


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