見出し画像

自治体消滅について

民間の「人口戦略会議」によれば、50年に市区町村の4割が消滅しかねないのだという。

「消滅可能性」がある自治体というのは、何も地方の過疎地だけではなくて、近畿2府4県でも、全体の41%にあたる81市町村が該当し、門真市など11市町が新たに加わったという。

この記事に対する世間の反応は、「たいへんだ、何とかしないと」といった感じの論調が多いようであるが、僕はそんな風には思わない。

少子高齢化が進む日本において、人口が減って維持できなくなる自治体が今後、増えてくるのは当たり前のことであり、仕方がないと割り切るしかない。

自治体というものは、住民サービスを行なうために存在するのだから、「お客さん」がいなくなれば、廃止すれば良い。人口が大幅に減少して、税収が確保できず、住民に対するサービス水準を維持できないとなれば、近隣の自治体と統合するのもやむを得ない。それだけのことである。

別に門真市という自治体がなくなって困る人はいない。市の職員は職を失うかもしれないが、他に仕事を探せばよいだけのことである。

むしろ、これを機会に、人口が減少している自治体は、後ろ向きな発想ではなく、むしろ前向きな視点に立って、近隣の自治体との統廃合を真面目に検討した方が良い。

どのみち、人口が減っていくのは避けられないのだ。人口が減ることで、地方都市では、人口の分散が起こり市街地の低密度化が進み、大都市では、高齢者の人口急増による医療・福祉サービスの提供や地域の活力維持の低下が懸念されることになる。こうした問題に対応するため、「コンパクト・シティ」構想というのがあるが、人口減少を先取りしつつ、自治体の統廃合を前向きに検討し、市街地というか住民が居住するエリアを縮小し、過疎地からの移住を促進し、都市全体をギュッとコンパクト化することで、住民サービスの水準を維持することが必要であろう。

「ポツンと一軒家」というテレビ番組があるが、過疎地に住んでいる住民のために、社会インフラを維持するのはコスト倒れであるし、社会全体から見れば、ああいう住人は、「身勝手」「ワガママ」と取られても仕方がない。

どうしても、山の中で生活したいのならば、そのために必要な道路や電気、水道、その他のインフラについても、「受益者負担」ということで、自己責任でやってもらうしかない。もちろん、郵便や宅配便も配達しないし、救急車だって行かない。それくらいの覚悟がなければ、市街地に住むべきなのだ。

「自治体消滅」を何とかしようという発想は解せない。自治体を維持するために、移住を促進しようとか、理屈に合わない住民サービス競争による誘致合戦をするのも本末転倒である。旅館の客引きではないのだ。

もっと中長期的に考えれば、都道府県レベルでの統廃合だって考えないといけなくなるだろう。今のような、都道府県-市町村という枠組みが、いつまでも維持できる保障はない。所詮、明治時代からの100年かそこらの歴史しかない制度であるのだから、状況が変われば、修正すれば良いだけのことであろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?