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新紙幣について

新紙幣が発行された。ニュースを見ていると、嬉しそうに新紙幣に両替えしてもらっている人たちで、銀行窓口が混雑しているようだ。

しかしながら、これだけ世の中は、キャッシュレス化が進んでいるのだ。いつまで紙幣を使うつもりであろうか。

たとえば、高価な買い物をするとして、札束を持参する人がどれくらいいるのだろう。おそらくは、出所を明かしたくないようなおカネをたくさん持っているような人は、依然として現金で買い物をするのだろうが、それ以外の人たちは、クレジットカード決済であろう。不動産の取引であれば、銀行振込みということになるだろう。

つまり、高額紙幣に需要があるのは、マネーロンダリングとか脱税とか、違法なことをしたい人たちくらいであって、それ以外の一般人にとっては、もはや、あってもなくても構わないものということになりはしないか。

僕なんか、財布の中に、50,000円以上の現金を入れてあると、ちょっと落ち着かない。まさしく、貧乏人の小市民である。

インドでは、高額紙幣の廃止が進んでいる。16年11月に、1,000ルピー札と500ルピー札を廃止している。当時は今よりもキャッシュレス化が進んでいなかったので、かなり混乱したようであるが、23年5月に、2,000ルピー札の流通を停止したが、こちらは前回ほどの混乱はなかったという。

EU圏内では、500ユーロ紙幣が廃止されている。500ユーロは、今の相場だと、90千円弱であり、100米ドル、10,000円と比べても、かなり高額である。

各国による高額紙幣の廃止の意図は明らかである。アングラマネーや非合法な取引を締め出すことである。キャッシュレス決済であれば、銀行口座やクレジットカードと紐付いているから、基本的には足がつくようになっている。

そういった世の中の流れを見ていると、新たに10千円札を発行する日本はどうなんだろうという気がしてくる。

インフレも進んでいるし、10,000円札がないと困るという意見もあるだろうが、10,000円を超えるような高額の取引は、クレジットカード等のキャッシュレス決済を原則とするということにすれば、10,000円札が活躍する機会はほとんどなくなるはずである。

10,000円未満の取引しか現金のやり取りはなくなるとなれば、1,000円札、5,000円札と補助貨幣(硬貨)だけあれば済む。せっかく登場した渋沢栄一の10,000円札であるが、あまり活躍してもらう前に、さっさと廃止してしまった方が良さそうな気がするのだが、どんなものであろうか。

あるいは、5,000円札だって、ついでに廃止してしまっても構わない。そうなれば、1,000円札と補助貨幣(硬貨)だけということになるので、我々は、みんな揃って、もう嫌でもキャッシュレス化を進めるしかない。

足がついたら困るような使い途を企てている悪い人たちは、困ったことになるだろうが、我々のような一般人は、そうなればそうなったで割り切れば済むだけのことである。経済活動の透明化が進む。

クレカとかアプリでの決済ばかりになると、店舗は手数料の分だけ負担が増えるが、現金決済の時よりも手数料相当分だけ値上げすれば良いだけの話である。

零細な商店だと、今まで現金払い主体であることが隠れ蓑になって、売上のゴマカシ(売上の一部を抜くようなこと)が日常化していたであろうが、キャッシュレス化が進めば、そういうのがやりにくくなる。こちらの方も、経済活動の透明化が進み、おそらく税収は増える。自営業の大部分はそうした零細な業者なのだから、「チリツモ」の効果は侮れない。

新紙幣の登場を喜ぶ人たちには申し訳ないが、今どき、紙の紙幣とかオワコンでしかないように思えてならない。


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