衝動
時々、気分が落ち着かなくなると無性に文章を書きたくなる。多分この衝動を抑えられるのはものすごく大好きな人と他愛の無い話をするか、眠りにつくか、諦めて文章を書くかのどれかしかないと思っている。
私はシンガーソングライターなので歌えばいいのでは?と思うけど、こんな時に書いた歌は自分でも意味不明になることが多い。
だから今日は歌ではなくてこっちにした。
小説が書きたいわけでも、ポエムを書きたいわけでもない。ただ羅列のようなものを永遠と書いていきたいだけなので、支離滅裂。意味不明かもしれないが、ご了承いただきたい。
私は今まで隠してきたが、実は左の耳がほぼ聞こえない。補聴器を買うお金もなく、障害者認定を受けることもなく安い集音器を買って、周りに見られるのが嫌で結局着けていることの方が少ない。
今年の9月末、仕事が終わって帰宅後、就寝しかけていた頃。夢を見かけていたような、悲しい、悲しい夢を見ていたことは覚えているが、内容は覚えてない。泣いていた。
徐に起き上がった。
聞こえなかった。頭が揺れているような感覚に陥り、耳鳴りがしていた。
同時に冷や汗が出て、隣にいる同居人の顔を見る。
涙が頬を伝った。
過呼吸になりかけて、聞こえないという状況を懸命に理解しようとしたけれど無理だった。
同居人がどうしたらいいのか分からないと言った顔でこちらを見ていたが、すぐに私が落ち着くように抱きしめてくれた。
(※同居人は同じ職場の女性店長、大好きな先輩です)
少し時間が経って、耳は聞こえないままだったが、落ち着いてきた私はしばらく使っていなかった集音器を取り出した。
「びょういんにいこう」と口パク?いや多分喋ってたんだろうけど、同居人はだいぶわかりやすい口元でそう言った。
仕事終わりだというのに眠気は吹き飛んで、倦怠感みたいなものに変わり、心臓はバクバクしていた。
同居人は疲れているはずなのに病院まで一緒に行ってくれた。
聴力低下の原因は持病の心臓病の弊害みたいなものだった。本当は少しだけ気づいていた。
職場は声が命で、聞こえなければ支障が出る。
最悪だ…。と思った。
強めの薬とステロイドを循環器科と相談しつつ出してもらって、その日は仕事を休ませてもらった。
クビでもおかしくない。それくらい最近ずっと体調不良が続き、欠勤が多くなっていた。
そこへ畳み掛ける。
ずっと休んでいる訳にはいかないので、
渋々器具をつけることにして出勤していた。
歌うのが楽しくなかった。
楽しくないのに笑っていた。
この世の終わりだと思った。
そして私を待っていたのは強い薬の副作用。
気分を持っていかれている気がする。
ボーッとすることが多くなり、同居人が手をパンと叩いて名前を呼ぶと現実に戻される。そこでハッとすることが増えた。
聞こえないというのもある。
ただ今までとちょっと違うのは、
何かを考え込むのではなくて
何も考えていないという事だった。
薬のせいだと言えば簡単だ。
でもきっと私は焦っている。
聴力を失ったら、何もできない。
そんな気がしてしまう。
Useless
そんな言葉が常に頭に浮かんでいる。
浮かんだら消す。そんな作業を繰り返していたら
消す作業を忘れて、頭の中に言葉が溢れてしまう。
気持ちが悪い。
身体中を掻き毟りたくなるような感覚に襲われる。これがなんなのか、私は知りたくない。
そうするとめまいが追加でやってきて、吐き気がやってくる。
頭の中が揺れてしまって、思わず寝っ転がる。
器具を外すと無音の中に落とされる。
これを繰り返している。
眠い。 眠い。 薬が効いてきた。
せめていい夢が見たい。
目覚ましの音量とバイブレーションを最大にセットし体の一部に触れるようにセットする。
おやすみなさい。
言葉に支配されそうなときは、そっと並べて。
ギュッと抱きしめて。
薬が落ち着くまで眠りにつこう。
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