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無(最高の状態)

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

はじめに

心配事の97%はおこらない―――。
そんな研究があるのをご存じでしょうか?私たちが抱く悩みや心配の大半は取り越し苦労だとよく言われますが、これはデータでも確認された事実です。
もっとも有名なのは、ワイルコーネル医科大学のロバート・L・リーヒらが行った調査でしょう。研究チームは不安症に悩む男女を集め、全員に日々の心配の内容と、その心配事が実際に起こったかどうかを2週間にわたって記録するように指示。

無(最高の状態) (鈴木祐)

このまえがきの書き出しがまさに本書全体を通じての構成とリンクしているようにも思えます。
なんとなく「これが正しそう」という世間の暗黙知のようなものを引っ張り出してきて、そこに対する科学的なエビデンスを提示しながらその正しさをあきらかにしていくという構成。
冒頭で心配事はほとんど実現しないという振りがあり、じゃあ私たちはその心配事に振り回されないようにするにはどうふるまうべきかという事が、本書には述べられています。

本書の内容

科学的「悟り」の方法論

「悟り」というと、スゴイ修行を果たした人が至る場所で、誰でもそこにたどり着けるという物ではない、という印象があります。一方で辞書で意味をひいてみると、

2 仏語。迷妄を払い去って生死を超えた永遠の真理を会得すること。(デジタル大辞泉)

とあります。

簡単に表現すると、余計な思考や物語から自分を切り離して生きるという事ではないかと思います。
たとえば、冒頭の話で心配事の97%は現実には怒らないという話がありました。
しかし私たちは、起こる確率の非常に少ないことに気を病み、そのことで行動が制限されたり、無駄な動きをしたり、下手をすれば病に伏してしまうこともあるかもしれません。
そういった悪影響は、「何かが起こるかもしれない」という「心配」を生み出している物から受けているわけです。
じゃあそれは何かというと、私たちの思考ではないかという事になろうかと思います。

もう少し言うと、思考がぐるぐる回りだすといろんなストーリーを創り出します。
たとえば、歯が痛くて歯医者を予約したとします。
すると、過去の歯医者における経験や、友人たちの話、その他の様々な知識を総動員して、「歯医者で起こる最悪のストーリー」を頭の中でグルグル回し始めます。
このストーリーがまさに「心配事」を生み出しているのではないでしょうか。

本書はそういう前提に立って、「思考」を自分から切り離す方法論についてを追求していきます。

思考の根拠

思考というのはじつは子供の頃から私たちの脳に創られたプログラムです。
なにかの刺激が入力されれば、その刺激に関連した比較的悲観論的条件を一気に脳内に展開し、私たちを危険から守ります。
その多くは親子関係から得ていますが、もう考える前にすでに思考が答えを出し、導いているといったことも多々あります。
じゃあこの思考を止めるにはどうすればいいのでしょうか。
そこには一定のトレーニングが必要です。自転車の乗り方を知っていても自転車に乗れるわけではないのと同様、やはり感覚的に沁みつくまで意識する必要があります。

そのためには、即座に動くプログラムがあることを検知することから始めなければなりません。
ああ、こういう物があるんだ、ということを知り、そのうえでそのプログラムが動く前に自分の意識でそれを制止する。

そう言ったことにたとえば瞑想なんかは効果があったりしますが、実は、逆効果になる事もあるそうです。
それらは、しっかりと実験をされているらしく、色んな論文の引用があり、たいていのものにはそういったエビデンスに基づいた話がなされます。
結果としては、よく見かける本の内容と近い部分もありますが、すべてが論理的であるという意味ではとても興味深い一冊だと思います。

いやーー読書ってすばらしいですね。

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