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不思議の科学 (3)

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

まえがき

「私の歳かい? まだ、一四五歳だよ」
私は一人の老人に会っていました。
いや、老人と呼ぶのはふさわしくありません。目は少し窪んではいるものの、大きく開き、しっかりと見据えています。そしてその目は、いつも笑っていました。肌はツヤツヤです。
「お前さん、胃が弱いね」
彼はそういうと、私に足を出せと言いました。そしてくるぶしのあたりをつかむと、ツボを刺激しました。
「うわーー、いてーーーー」
彼は親指一本で押しているのですが、すごい力でした。

不思議の科学 (3)(森田健)

この方の文章というのがけっこう引き込まれます。本書の冒頭は仙人の話。そしてこの辺りは仙人っぽい雰囲気を出していますが、徐々に、仙人ってそんなのでいいの?的な話に続いていきます。ついつい先が読みたくなる書き出しに乗せられて一気に読み切ってしまいました。

本書の内容

仙人とヘミシンク

本書の内容の二つの中心は仙人の話とヘミシンクの話。
まずヘミシンクの話。ヘミシンクというのは、ロバート・モンローという音響技術者が、自分が体外離脱経験があり、そのときの脳波を音響技術で再現することで、普通の人でも大概離脱を経験できるという装置。たとえば、右の耳から100ヘルツ、左の耳から105ヘルツの音を聞かせると、脳波はその差である5ヘルツになるというのです。それを活用し複数の音を混ぜて聞かせることで、脳波の独特の状況を創り出し、変性意識状態から、意識を体から切り離す方向へいざないます。もともと森田健さんというのは、人はどこからきてどこへ帰るのか、ということへの探求心があったので飛びついたようです。そうして死後の世界をのぞこうとするわけです。

何度か渡米し、このヘミシンクを体験しましたが、このヘミシンクというのは変性意識を誘う音以外に、暗示のガイド音声があります。こうしてください、ああしてください、という指示です。まあ普通こう言った体験をしたがる人というのは、そのアナウンスは正しい前提で受けると思うのですが、森田健さんはそれを面倒に感じたり、疑いを持ったりし始めます。ヘミシンク自体は受け入れてますが、そこで作られている世界観がどこかしら押しつけがましい感じがしたのかあまり深くは関心を持たなかったようです。ヘミシンクに関しては、それを日本に持ち込んだ坂本政道さんが有名ですが、森田さんは坂本さんより先にヘミシンクを体験していたようです。

そして仙人との出会いが訪れます。きっかけは中国でひょんなキッカケで出会った女性。彼女は、森田健さんの鼻の曲がりを治せるという。実際にお願いすると、外科的に治らなかった曲がった鼻が、その女性が少しなでるだけできれいに治ったと言います。実は彼女は仙人のマスターらしく、森田健さんは彼女の元で修業することになります。修行内容は詳しくは明らかにされていませんが、そこで森田健さんは無事卒業することになり、白と黒の仙人ローブをプレゼントされます。白と黒は陰と陽。それを悟ったということのようです。

道教の自由さ

仙人というのは、道教の考え方をベースにしているようなんですが、この道教というのがけっこういい加減。仙人と言えば人里離れたところで一人修行にいそしむイメージがありますが、実際は都会で家族と暮らしていたりするようです。ごくごく普通の人。だけど、120歳を超えないと仙人とは言えないようなんですが。森田健さんが学んだ道教の考え方は、なにごとも成し遂げるのはあんまりよくないようです。目標を決めてそこにまい進するというのがなんとなくいい事のように感じられますが、道教はそれを肯定していないようです。何かを目指すというより、今ココにあることに集中せよ、ということのようです。すでに完璧だから、どこかを目指すようなバイアスを入れてはいけない、ということなのでしょう。なんだか気持ちが軽くなる考え方です。(まあ好き嫌いはあるかもしれませんが)

そんな一見いい加減にみえる仙人修行になぜ森田氏がひかれたかというと、彼は鼻を治してもらったのを目の当たりにしてるわけですが、修行の中でもいろんな不思議体験をされています。まあそんな状況を体験していくと、へーとなるんでしょうね。ちょっと独特な森田氏の考え方、私は結構好きです。
残念ながら本書はもう新刊で手に入れることはできないようですが(約20年前の本)、もしよかったら古本屋なんかで探してみてください。面白いと思います。

いやーーー、読書って素晴らしいですね。

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