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夢の正体: 夜の旅を科学する

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

はじめに

2011年の夏、私は穴を掘り、自分が見た夢を語って過ごした。モチェ遺跡の発掘のために大学の仲間とペルー人教授と滞在したのは、アンデスのペネーニャ地区にある人里離れた村だった。持参した小説は二週間ですべて読み終えた。かさばる雨具と緊急用の予備ピーナッツバターの便はスーツケースに詰め込んできたものの、個性的なカフェオーナーの気分次第でインターネットにアクセスできるかどうかが決まる環境の中で、どれだけ暇を持て余すことになるかは考えていなかった。

夢の正体: 夜の旅を科学する(アリス・ロブ)

本書の始まりは、著者が夢というものに関心を持ち、のめりこんでいく背景を語っていたかと思います。
ノンフィクションのジャンルの「はじめに」では比較的多いパターンだと思います。ここでどれだけ読者の気を引くエピソードを紹介できるかが、こういったはじめにの出来栄えを左右するのではないでしょうか。

本書の内容

夢を真正面からとらえた一冊

夢というのは不思議なもので、私たちの誰もが体感している割にはその正体は意外と知らない。と手の不思議なストーリーを紡いだり、汗びっしょりになるほど恐怖を体験したり、とんでもないインモラルな体験をしたり、エンターテイメントとしてみれば非常に興味深いものです。しかし、厄介なのは、プロであるプロデューサーや脚本家が作った話ではない、ということ。私たちの脳内にあるリソース(記憶?)を寄せ集めて作られている者にちがいないと思うのですが、中に入ると摩訶不思議。材料が自分のなかにあるものという前提である以上、現実の自分とは切り離して考えるわけにもいきません。だから夢占いみたいなものがあったり、そして私たち自身、夢によっては一日の気分を左右されることもあります。

さて、こんな夢の中の一つに、明晰夢というものがあります。これは、夢の中で自分で「これは夢なんだ」とわかっている夢で、その出来栄えも相当にリアリティが高いと言います。そして上手くいけば、その夢は自分の自由自在になるのだとか。著者はそんな明晰夢を見たことをきっかけに、急速に夢への関心を深めたと言います。

私たちの身近にありながら、まだまだ謎の多い夢。これを真正面からとらえた著書というのは、意外と市場で見かけないような気がします。本書はそんな稀有なジャンルの一冊と言えるかもしれません。

夢の研究の歴史

寝ているときに見る夢の研究は、いろんな困難があったようです。もともとフロイトは、なんでも性的な衝動と結びつけたわけですが、当時はそれなりに夢診断が信じられてきたようです。フロイト、ユングときますが、夢の研究というのはどこかオカルトチックで、なかなか日の目を見ることはなかったようです。どうやら夢というのは第三者的に観察することが難しいため、あまりリアリティの感じられない研究になりがちだったようです。一定間隔ごとに被験者を起こして夢を書きとると言った実験に始まり、だんだんと脳波を見ることができるようになってから飛躍的な進歩を果たすようになったようですが、それまではかなり怪しい印象のものだったようです。

夢を活用する

本書においては、第5章 夢で問題を解決する、第6章 夢で人生の危機に備える、といったように、夢が現実世界の何かに役に立ってケースも紹介されています。実際に、何かに悩んで悩んで、悩みつくした状態で睡眠に入った時、その問題解決のヒントが夢の中に現れることがあると言います。ただそれは直接的な啓示というより、比喩表現っぽいものにかわってしまうようです。たとえば、後ろがやけに気になる夢を見たとき、実は悩んでいる事の解決策は過去の記録にある、といったように。

本書では芸術家の偉業のうち、ビートルズ(ポール・マッカートニー)のイエスタデイが夢のおかげでつくられた楽曲であることが紹介されており、映画など様々な芸術的ジャンルにおいても、夢が創作の助けになったケースがいくつか紹介されます。

では、こういった夢を活用するにはどうすればいいか、です。これはまずは夢を覚えておく必要があります。その最も確実な方法が、「起きたらすぐに夢をメモする」ということ。もちろん、記憶が断片的なら断片的なまま、キーワードだけでもいいので、毎朝記録する。こういった習慣が非常に大事で、常に意識することで、今までは覚えていなかった夢を思い出しやすくなるようになることもあるようです。ここで、どちらかというと女性よりかは男性が苦労しがちなようです。
そして夢日記を時々ぼんやり眺めてみることも大事なようです。何かしら浮かび上がってくる共通点などがあるかもしれません。

当面は、睡眠の質を妨げる可能性もありますが、頑張ってチャレンジする価値はありそうです。

明晰夢を見る方法

さて、本書の中でも最も重い扱いをされているように感じる明晰夢。これを見る方法をある学者が開発したようです。といっても、明日からできる、というものではないのですが・・・。

映画「インセプション」をご存知でしょうか?これは、人の脳の奥底に「記憶」を埋め込むというヤバい仕事をしている人たちの物語。レオナルド・ディカプリオや、渡辺謙といった大物が出ている映画です。記憶の埋め込みはターゲットの夢の中で行います。つまり、ディカプリオたちは、他人の夢と現実を行ったり来たりするのですが、その時に自分が今現実世界にいるのか、夢の世界にいるのかを確かめるために、小さな駒を回します。これが夢のなかでは駒が回り続けて止まることがありません。逆に、現実世界なら当然、しばらくすると駒は回転を止めます。

明晰夢を見るには、これが必要なんだそうです。
で、ここから本のネタバレ的要素を含みますので、ご注意ください。

明晰夢を見る方法は、非常に単純化すると「つねに今自分がいる場所が、現実か夢のなかかを確認する習慣をつける」こと。
インセプションという映画でやっていたように駒を回すのでもいいし、自分の手を見た時普通に5本指なら現実、夢なら6本指とか決めてもいい。とにかく、自分なりの夢と現実の確認方法を決めておいて、もはや無意識に逐一確認する癖をつけることが大事なようです。

そして、人の習慣は夢にまで入り込みます。夢の中でその「夢か現実か」を確認する作業に入った時に、自分が夢の中にいることに気付くそうです。で、私もさっそく練習を始めてみました。1週間ほどになりますがまだまだのようです。皆さんも始めてみてはいかがでしょうか?


いやーー、読書って素晴らしいですね。


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ちなみに私はこんな本書いてる人です。


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