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おじさん天使のLondon Bar Visit   雲エンジニアのバートの場合


彼の名前は、バート

ぽっちゃりでっぷりの、おじさん天使

そのバーで、アームチェアーに沈み込むように座って
ぼーっとしているところを、捕まえた!

「ねえ、貴方天使でしょ?」

『そう』

振り向きながら
身体に似合わず小さな可愛らしい声で、バートは答えた

「いつ、来たの?」

『このバーに?ロンドンに?それとも、この惑星に?』

私は、隣に座っても良いかどうか訊いてから
彼の隣のふかふかのソファーに座った

それから私たちは、ないしょ話をするように

ずいぶん長い間、話をした

その間、バートは地球で一番好きな飲みものなんだ
と言いながら、スコッチウィスキーをストレートで
舐めるように、飲んでいた

「ねえ、バート、天国では、何をしていたの?」

『僕は、雲エンジニアだったんだ、でもねある日雲の城で仕事をしている時
大バカやっちゃって、雲の城は火事で焼けちゃったんだ、その雲の城に住んでたのが、たまたまというか…
あのちょっと細かいこと言う神でさ、ご覧の通り、即追放だよ』

私は、おじさん天使達と話をするようになって
いつも、面白と思うことは
天国にも色々な問題があるってこと

天国って、違うものを想像していたのだけれど
なんだか、聞いているとずいぶん楽しそうだったり
厳しそうだったり…

「ねえ、バート、この地球では何をしているの?」

『色々なことをやっているけれど、今は動物の世話をよくしているよ』

天国を798年追放され
その間、宇宙のどこかの星で良い行いをすること

という、神様から命じられている任務を
みんな、どれぐらい遂行しているのだろう???

エジンバラで暮らしている、私が初めて出会った
おじさん天使

酔っ払いジンジャーや小心者のフラゴンを見ていると
果たして、これが地球のためになっているのだろうか???
という、疑問を感じていたことを思い出した

そして、このバートを見ていると
その???マークがもっと増えてきた!

「動物の世話って、どんな動物?」

『羊が主かな』

そういえば、なんとなくバートは羊に似ている…

「羊の世話っていうことは、田舎で?」

『ああ、北ヨークシャーの辺りかな、時々スコットランドにも行くよ』

「ということは、エジンバラのジンジャーとフラゴンを知っているの?」

『もちろん知っているよ、いい友達さ、天国時代から仲よかったんだ
地球にいる僕たちはみんな、ジンジャーとフラゴンのことは知ってるよ
彼らが、地球へ来た最初の追放天使だからね、そのあとにみんな続いてきたんだ』

へー、そうなんだ
それは知らなかった

「ねえ、羊の世話って何をするの?」

『そうだなー、まあ、話し相手だよ、羊のおばさんからは愚痴を聞いてあげたり羊のおじさんからは、政治経済についてなんかの相談かな?』

へぇー、羊たちも政治経済について、考えているんだ
って、驚いて言うと

羊の政治経済問題といえば食料のことだ
と、バートが教えてくれた

そういえば、見ればいつも羊は草を食べているからね
あれだけ食べていたら、食料問題も起こるだろうし、
食料について、色々考えるようになるのかもしれない…

羊のおばさんの愚痴を聞いてあげて
羊のおじさんからは、食糧危機の相談を受けて…

って、これも宇宙のどこかで何か良いことをしてこい!

っていう、神様のご命令に沿った、お仕事なのかなー?

と、思ったけれど…

でも、バートに言わせると

自分で、それが誰かのためになることだ、と信じるのだったら
それは、立派な良い仕事なんだって

ま、そりゃそうだけどね…

そういえば、エジンバラの彼らの仕事ぶりを見ていて

そういうことが、わざわざ天国から来た天使が地球のためにすることなんだ…

って、思ってクスッと笑ってしまったことがあったな

でも、とにかく私は地球におじさん天使がいるっていうことを
知っているだけで、なんだかホッとしている

こんなことで、助けてもらってもいいのかな?って
思うようなことでも、とりあえず

「おじさん天使様、おじさん天使様、私の今困っている問題を一緒に
解決してください」

こういうお願いを、心の中で唱えると

手を貸しに、来てくれるらしい…?

スーパーマンのような、キャラクターには見えないけれど
でも、おじさん天使が地球に来てくれたことで

この惑星が
もっとほんわかとして、楽しい世界になるといいな…


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