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『夏の帰省』(フリー台本)

(約900文字)懐かしくって、そしてじんわりくるような掌編が書きたくなって…。今回は、ChatGPTに相談したものの、ほぼ自分で書き上げました。

もともとは、スタンドエフエムのチーム黄色い人のお題「夏の帰省にまつわるエピソード」のための書き起こし。

気に入った方はどうぞ朗読にお使いください。
一人、あるいは二人用台本となります。


『夏の帰省』

作:奥村薫

音声版

≪夏の帰省≫ Stand.FM:  https://stand.fm/episodes/64fd1ba0aa46e6f95721e26f

テキスト版

福岡へと向かう道のりでは、いつもとは違う静けさを感じていた。久しぶりに帰る故郷。福岡の夏はけた違いに暑いものだから、夏に帰るのは避けていたんだよな…。でも今回は思ったほど暑くもないようだ。いや、ほんと久しぶり。
懐かしいね…。夏の、空や、山の色は、昔と変わらんねえ…。家々の玄関先には、ご先祖さまを迎える提灯が灯っていて、お迎え火を焚いた後がある家もある。
私はただ静かに変わってしまった街並みや、道行く人たちを眺めたりしながら、町を歩いていった。

遠くから音楽が聞こえてくる
「おっ、盆踊りかねえ」
子供たちが浴衣を着て踊りよる。何の曲やろか…。歌い手も良いけど、やっぱヤグラの上の太鼓たたきが、かっこいいねえ。むかしも太鼓叩ける奴は人気もんやったからなあ。
あの頃は、汗を流そうが、蚊に食われようが、気にせずみんなと遊びよった。屋台のたこ焼きも美味しかったし。

そんとき、ふと声をかけてきた奴がいる。
友人:「あんた、薫しゃん!」
「おう、あたしやで。なんね、八尋、久しぶりやな。」
高校時代の知り合いだ。
友人:「まったくやが、あんたずっと夏には帰ってきよらんかったやろ」
「そりゃそうや、なんで福岡の暑い夏にわざわざかえってこにゃいかんと?」
友人:「それでも、今年のお盆は、帰ってきた、っと」
「そやね…。それにしても八尋、あんた老けとらんね…。えらい若くみえるが…。」
友人:「しゃーなかろうもん。あんたは年相応に老けとるな。ま、わいはけっこう若くてあの世にいっちまったからな。その分若いわ!」
「まったく、しょーもないことを自慢してからに…」
友人:「薫しゃん、あんたもお盆に帰ってきたんか?初めてか?
ここに戻ってくるんは、やっぱ故郷が恋しいんやなあ」

そうか、そういえば私も…。
八尋と二人で夜の町を歩きながら、いろんなことを語り合った。あの頃の日々のこと、その後のあれこれ。

夜も更けて、八尋は「知り合いのとこに行くわ~また、お盆に会おうな。」といって去っていった。
「ああ、またね」

ひとりで彷徨うふるさとも、これまた良い。
あと一晩あるか…
その後は、灯籠流しとともに、またゆっくりとした旅に出よう。

(終わり)

コンテンツのご利用

  • 主人公、友人の性別・名前はご自由に変えてください。むしろ、名前は変えることをお勧めいたします。

  • 帰省するところを、あなたの故郷にすると良いかもしれません(ただし、北海道は、ちょっと夏にひどく暑いというストーリが成り立たないので難しいかも)。そして、あなたのお国言葉にしてみてください。

  • 私の故郷では、お迎え火・お送り火、そしてお送り火の残りとお供え物を、海や川に流してお送りをしていましたので、そのようなお話にしています。精霊馬で帰っていくのに馴染んである人は、そのように修正していただくのも良いかと。

また、以下の「ご利用について」をご一読ください。

トップ画像は、AIにより作成 [Image Creator, Powered by DALL-E]

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