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こんなものまでだしになる

前回、だしは食材のうまみが出たもの、という話をしました。もう少し実用的な話もしますね。コンソメキューブを使わなくても、おいしいスープを作れる食材の紹介です。

1 たまねぎ、きのこ、トマトはうまみ爆弾

私がだしがわりによく使う野菜の代表が「たまねぎ」「きのこ」「トマト」の3つ。うまみがとても強く、水分を軽く飛ばすように油で炒めてから使うと、肉のだしやコンソメなどとは全く違う、いつまでも食べていられるようなおいしさになります。

特にきのこは、煮出すだけでたっぷり味が出てきます。きのこの場合レンジにかけてもかなりきちんとうまみが出るのでクイックスープにも重宝します。どの種類のきのこでも、細かく切って入れておくだけで味の支えになってくれます。
この3つを掛け合わせると最強。トマト、たまねぎ、きのこの入ったミネストローネは、ぜひコンソメキューブも肉も入れずに作ってみてください。

2 漬け物からもだしが出るなんて

さて、スープを毎日つくっていると、ちょっと物足りないなーと思うこともたびたびです。そんなときに大活躍するのが、漬物。私のスープには欠かせないアイテムで、最低2種類は常に冷蔵庫に常備されています。

キムチ、高菜、ザーサイはスープによく使う漬物の代表。塩気とうまみ、風味が一気につくのでとても味が決まりやすくなります。商品によって塩味が違うため、味をみながら調味料をたしていくのがコツ。
梅干もいいですよ。酸味がついて、じめじめした気分のときに向くさわやかなスープに。二日酔いのときにも沁みます。

だしがわりに使うもので驚かれるのは麦茶です。麦茶というのは茶葉ではなく麦を少し焦がして煮出したもの。この麦のうまみが水にうつるのです。なぜか麦茶の味はほとんどせず、スープに入れた肉や野菜などの臭みも消えて、すっきり、上品なうまみのあるスープになります。色もほんのりついておいしそうになります。

3 ちょっと待った!捨てる前にだしをとる

何の気なしに捨ててしまうその食材からも、だしが出るかもしれません。

野菜の皮はザルに入れて半日ぐらい部屋で陰干しすると、いいだしが出ます。油でしっかり炒めるとさらに味が濃くなります。
とうもろこしの芯、にんじんのヘタ、ほうれんそう、せりやパクチーの根っこも捨ててはダメです。きれいに洗って他の具材と一緒に煮出すと、ぐっとおいしさに厚みが出るんです。根っこは食べてもおいしいですよ!

野菜だけではありません。鯵の干物やクリスマスのローストチキンなんかを食べ終わって残った骨を、ためしに水と一緒に鍋で煮出してみてください。焼いてあるのでアクや生臭さが出ることもなく、塩をぱらりとふるぐらいでおいしいです。残り物にも福があるってこういうことだなとしみじみします。

こうやってスープにすると、食材には捨てるところがありません。食材をすみずみまで味わうには、やっぱり一番の調理法なのです。

【にらとザーサイ、おあげのスープ】
材料(2人分):にら1束、油揚げ1枚、ザーサイ(瓶詰)30g、しょうゆ大さじ1、ごま油

1にらを2cmのざく切りに、油揚げは1センチ幅に切る。
2鍋にごま油を熱し、油揚げを軽く色づくまで焼く。ザーサイと水400mLを加えて沸騰させる。
3にらとしょうゆを入れて20秒ほど煮て火をとめる。好みで胡椒をふってもよい。
【ローストチキンのボーンブロス】
材料(2人分):ローストチキンの骨(チキンレッグ)2本分、塩、胡椒、ネギ少々

1ローストチキンの骨と水600mLを鍋に入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして、蓋をずらしてかけ、20~30分煮出す。
2塩と胡椒で味をつけ、刻みネギを散らす。

読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。