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ブラムリー・アップル・ジェリー2020

今年もまた、この季節がやってきました。
ブラムリーという加工用の酸っぱいりんごを使って作る、輝くようなアップル・ジェリーを作るのが秋の恒例行事。毎年、小布施の農園に予約しておきます。りんごとしては早生(早い時期に収穫できる)タイプ。最初の頃は8月末ごろ届いていたのですが、徐々にゆっくりになり、今年は9月10日過ぎにようやく到着です。

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ブラムリーアップルについては、以前書いたこのnoteもどうぞ。本当に魅力的なりんごで、このりんごに出会って以来、私はりんごの世界にとりつかれています。


天使の食べ物・アップルジェリーについて

アップルジェリーは、なんと説明すればいいんでしょう。ジェリーといっても、日本人の思い浮かべる「ゼリー」ではないです。とろっとやわらかくて甘い。ジャムのようで、ジャムじゃない。見た目通り、透明できれいな味がします。天使の食べ物と心の中で思っています。

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食べ方はジャムと同じ。パンにのせたり、ヨーグルトにのせて。

このアップルジェリーを、2014年から毎年、作っています。辰巳芳子さんのレシピを紹介したブログを見て、それを真似てきました。最初の年だけは、この下の写真のような金色のようなジェリーができましたが、2年目からはなぜか真っ赤になりました。煮詰める時間のようです。原理はわかりません。

が、基本的には毎年失敗なく作れています。今回、辰巳さんのレシピをベースに自分の方法でやってみましたので、レシピを紹介します。

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アップルジェリーのレシピ

材料(200mLのびんで12本ぐらい分)
ブラムリーアップル 2キロ
グラニュー糖 1.5キロ
水 2000mL
使う道具
布袋(さらしなど目が細かい、大きなもの)
大きな鍋
布袋を吊るすための道具(後述)
煮沸消毒した清潔なビン
お玉やヘラ、じょうごなど 

作り方
1.りんごを洗って鍋に入れ、水を注いで中火でどろどろになるまで煮る。
2.煮汁をすべて、さらしの袋にあけて口を縛ってつるし、一晩(7~8時間)かけて、下に落ちてきた汁を器に受ける。
3.落ちた煮汁を鍋に入れ、砂糖を加えて煮詰める。小皿に少し落として冷やし、固まるようならできあがり。ビンに詰める。

見ての通り、時間はかかるものの、本当に簡単シンプルなレシピです。大変なのは材料と道具を揃えることでしょうか。今回はビンを買いに行く時間がなく、家にあった空きビンをかき集めるのが大変でした。あってよかった。

ほかのりんごでも作れますかと聞かれることがあります。実は作ったことがないのです。紅玉などのアップルジェリーがネットには上がっています。他のりんごの場合、ブラムリーほどペクチンが強くないので、ペクチンの粉を添加するといいと思います。個人的にはりんごと砂糖だけという美しいレシピを壊したくない気持ちです。

ポイント解説!

まず、りんごをしっかり洗います。芯も皮も全部入れて煮るので、丁寧にあらいます。ヘタのところは粗塩で洗うというのは、辰巳さんの教え。

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りんごがきれいに洗えたら、水と一緒に鍋に入れて、煮始めます。この鍋はルクルーゼの28cmの鍋です。かなり大きい。鍋が小さい場合は、半量でやっても作れます。

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ちょっと頭が出ていても気にせず、ときどき箸でひっくり返しつつ煮ていきましょう。青りんごの色がすぐ変わり、皮が破裂します。

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ここまで、さほど時間はかかりません。ブラムリーは非常に煮崩れやすい品種なので、加工に最適なのです。ジャムもあっという間に作れます。
紅玉やふじなど、他のりんごの場合(やったことがないのですが)、もっとずっと時間がかかると思います。

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こんな風に形がなくなっていって…

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45分ぐらい経つと、大きなりんごはかろうじて形が残っているものの、小さなのはもう芯だけになっています。加工用なのでだいぶ大小があります。

りんごの形が消えたら、OKです。50分から1時間ぐらい煮たでしょうか。

これを、さらしの袋に詰めます。さらしを買ってきて長めに切り、二つ折りにして両脇をミシンで縫いました。ガーゼやブロードなどの生地でもよさそうです。ひっくり返して内側に縫い代がこないようにしておきます(りんごが縫い代の間に入り込んで、あとで洗うときにやっかいなので)。
下には受ける大きな鍋やボウルを置いておきます。私はほうろうのストッカーをつかっています。熱いので気をつけて!

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さて、皮も芯も全て入れ終わったら、布の袋の口をしばって、これをどこかに吊るします。うちは吊るす場所が家の中にないので、室内用の洗濯もの干しを使っています。ストッカーにザルを重ね(一応、袋が落ちてしまったときの予防策として)、その上に袋を吊るします。ポタポタとジュースが垂れて落ちます。まどろっこしいですが、透明感のあるきれいなジェリーを作りたいなら、決して絞ってはいけません。

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ほうろうを使うのは、りんごに酸があるためです。ほうろう鍋は酸に強いのが特長です。

さ、このまま一晩。

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朝になりました。(ほこりよけのラップかけておきました)

下の容器にたまったりんごの煮汁を鍋にあけます。

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濾した果汁は1800mL。砂糖は果汁の80%加えたいので、本来は1440g。袋の分1500g、全部入れちゃいました。このあたりはアバウトで。はっきりいってすごい量の砂糖で、ひるみます。でも砂糖が少ないと固まりません。甘みを減らしたければ、粉で売っているペクチンを加えるかです。

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砂糖を入れるタイミング。辰巳芳子さんは、この果汁を2/3まで煮詰めてから、砂糖を入れるとおっしゃっています。でも、煮詰めてからだと、砂糖がなかなか溶けないんです。なので、今回はじめて、最初に砂糖を入れてしまおうと思います。えいっ。

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とにかく量が多いので、すぐには溶けません。火にかけて、少しずつ混ぜていると、ストレスなく砂糖が溶けていく…

加熱する間に、だんだん果汁が透明に、そして赤くなっていきます。もちろん青りんごですから、皮の色じゃないんです。ルビーみたいな色に変化していく様子は、本当に不思議です。

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20~30分ぐらい、弱火で煮ていくと、白いアクのようなものが浮いてきます。りんごのアクもありますが、おたまでさわるとシワが寄ります。これがアップルジェリーの秘密、「ペクチン」です。

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ペクチンは柑橘の皮や種、リンゴの芯や種の周囲などに含まれていて、大量の砂糖と合わさることで、ゲル化します。PH値なども関係していて私では説明がしきれないので、詳しく知りたい方はお調べください。

りんごを絞った液体に砂糖を入れて煮詰めると、ふるふるのジェリーになるという不思議現象が起こるということです。

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十分かどうかは、冷やした皿やトレーに煮詰めた液をちょっと垂らして確認します。冷蔵庫に入れると早いんですが、表面が固まってくればOK。少しゆるくても固まりますが、流れるようだとまだダメです。

固まったら、火をとめて、ビンに移していきます。

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じょうごとぴったりのザルを重ねています。ペクチンが表面で固まっていて、それがビンの中に入らないようにしています。

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ビンはきちんと煮沸消毒したものを使って。ジェリーを詰めてふたをしっかりして、さらにビンごと煮沸すれば、1年以上持ちます。そして、熟成させるとさらにおいしくなります。私は冷蔵庫にしまっています。

人にあげたり家で毎朝食べたりして、こんなにたくさん作ってもそれほど持たないですね。

さて、アップルジェリー、いかがでしょうか。今年は若干甘く仕上がりました。砂糖は最初の段階で入れて、良かったと思います。次は、少し水分を減らして作ってみたらどうかなと考えています。

少しずつ少しずつ改良して、死ぬまでに自分のアップルジェリーのレシピを作り上げるのが、私の夢です。

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ブラムリーを食べてみたい方はこちらでどうぞ。


おまけ:再トライ(有料です)

さて、これで終わりかと思われた方、続きがあります。実はこのあと、配合を変えてもう一度作りました。ここからはマニアックな人向けなので、有料にしておきますね!

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読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。