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昆布と鰹のだしくらべ。2015.1.6 スープラボ・レポート

昨晩のスープラボは、和だし大会。昆布だしと鰹だしの味くらべ。

まずは真昆布、利尻昆布、羅臼昆布、日高昆布という代表的な昆布のだし(1時間ほど昆布を水につけ、沸騰直前まで煮出したもの)と、戻した昆布を早煮した昆布(同量を15分ずつ煮たもの)をみんなで味見です。

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それぞれだしの特長も、煮た感触も違います。また、だしが美味しい昆布が煮て美味しいというわけではないのです。

昆布のうまみが一番よく引き出されるのは、60度で一時間。2002年に大学の研究室からこのデータが導き出され、和食のプロの方々にとっては今や常識のようですが、これ、家庭料理のレシピ本にはまず出てきません。なぜなら60度を一時間保ち続けるなんて、大変過ぎるからです。
その昆布だし、やってみました!

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利尻昆布が熱めのお風呂にゆらゆらと。気持ち良く味を出しているみたい。

こうしてとるだしは、水だしよりも味が濃く、沸騰させるよりも雑味が少なく、まさにすっきりとうまみの高いものになります。毎日でも味わいたい!(ただし誰かが作ってくれるなら)

昆布だしは、スープのベースとしてとても活用範囲が広く、私は洋風のスープにも昆布だしをどんどん使っています。ゲストにお出ししたのは、里芋と長ねぎのポタージュ。昆布だしでのばします。

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さて、次は削り節の味見です。左上から反時計回りに鰹本枯節、鰹の荒節、鮪節(血合抜き)、鯖や宗田鰹などをミックスした節の4種類。

鰹の荒節は、鰹の切身を煮て燻したもので、枯節は荒節にカビをつけてうまみをさらに高めたもの。本枯節はカビつけを繰り返した最高級品です。このあたりの鰹節の違いは、鰹節をそのまま食べるとはっきりしています。

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そして、今回の味比べの目玉!鰹節の男節と女節の味比べです。鹿児島・枕崎の鰹節屋の金七商店さんにご協力いただき、それぞれの削り節を特別に作ってもらいました。普段、金七商店さんで出している本枯節の削り節は、男女ミックスしちゃうのだそうです。 

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あ、ちょっと補足説明しますね。鰹節の男節(雄節)女節(雌節)は、魚の雄雌の違いではなく、同じ鰹の、背側を男、腹側を女と呼びます。(↑写真上が男節、下が女節です)結婚式の引き出物に鰹節って定番ですよね。あれは、雄節雌節のセットが仲の良い夫婦の姿を表しているからなのです。

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同じ鰹だから、そんなに味の違いはないんじゃないかな…と思っていましたが、はっきり違います。男節(背側)はすっきりした品のあるうまみ、女節(腹側)はやや脂が多く、最後に舌にうまみが絡むイメージです。

本来ならこの上等な昆布鰹だしで上品な椀物でも作るのが筋なのでしょうが、そこは料理屋さんに到底かないませんので脇道へ。だしの上にさらにうまみのある牛肉とトマトを重ねた、和洋折衷コンソメです。

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昆布を水につけておく時間を除けば、ほぼインスタントラーメンを作る程度の時間でできるのですから、和だしってすごいですよね。

今回のスープ・ラボ、いかがでしたでしょうか。
来月はどんな実験をやろうかな。

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※鰹節協力 金七商店 http://kaneshichi.co.jp/
※撮影協力 大谷りえ子さん 

#料理  


読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。