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災害時の義援金・支援金はどこへ寄付するのが効果的?2024.1

このnoteは7年前に熊本震災が起きたときに書いた原稿をベースに、大きな災害が出るごとに加筆修正。情報を現在のものに差し替えた記事です。最終更新:2023.1月、令和6年能登半島地震時の情報

大きな災害が起こったとき、自分に何ができるだろうか…?と思われる方は多いと思います。人的、物質的支援もありますが、その中でもお金はもっとも汎用性の高い支援です。とくに、災害の場合状況によって人命救助、物資輸送、道路や建物復旧、生活支援など、ニーズが刻々と変わっていく中、モノやヒトのマッチングの難しさを考えると、何にでも形を変えられるお金は質実な支援になり得ます。離れた場所にいる・現場で役立つスキルがないなどの人たちにとって、支援の気持ちを形に変えるとしたら、まずはお金の支援が現実的ではないかと思っています。

以前SNSで震災の義援&支援の募金サイトをいくつか紹介したところ、「現地で活動している団体や個人に寄付したほうが、すぐ役立つのでは」という意見をもらいました。私自身もこうした災害のたびに、どこに送るのがいいのだろうと迷うことがあります。

そこで、みんなが寄付しようと思ったとき何に迷うのか?という目線でのガイドを作ってみました。寄付の目的や用途支援団体の性質やお金の流れをざっくり整理しつつ、現在募金を行っている大きな団体をいくつか紹介します。被災地支援したい人のお役に立てば幸いです。


義援金と支援金があります。

日本赤十字社や、赤い羽根で有名な共同募金会、あるいは被災地の自治体が現在行っている募金の多くは「義援金」です。窓口を経て、被災自治体、日本赤十字社、報道機関などで構成される義援金配分委員会にまとめられ、被災者の生活再建資金として配られます。公平を期すため分配に時間がかかるなどの問題が指摘され、送った側にとっても使い道が見えにくいのが難点ですが、集めたお金はそのまま全額、被災者へと渡ります

一方、被災者ではなく、がれきを運んだり、炊き出しや医療活動したりと、今まさに支援を行っている団体や人々へ送るのが「支援金」です。専門性の高い人にお金を託すことで、間接的に被災者の助けになります。この場合は活動を行っているNPO・NGOや個人に直接寄付するか、あるいは支援活動に集めたお金を送るとうたって募金している企業や団体に寄付します。
また、義援金、支援金、どちらも受け付ける団体もあります。

ネットを見ていると、大きな企業でも支援金・義援金の使い方が混在しているようですので、使い道が気になる方は寄付したお金がどういう形でいつ使われるかを確認するといいと思います。

それでは、義援金、支援金それぞれに代表的な窓口をご紹介しましょう。

出口がある程度決まっている「義援金」は、送りやすいところで。


まずは「義援金」を集める団体や企業です。
義援金の場合、最終的に集まるところは同じ。振り込みやすいところで寄付すればOKです。

●日本赤十字社

義援金最大手の日赤。「令和6年能登半島地震災害義援金(石川県)」として、義援金の受付がはじまっている。
日赤は現地に救護班を送り医療などの支援活動も行うが、それはまた別の寄付によってまかなわれる。募金は基本的にすべて義援金となる。
【入金方法:郵便局、銀行振り込み】

●赤い羽根共同募金

寄付といえば、赤い羽根の共同募金会。義援金は各県ごとに行われている。たとえば石川県のサイトはこちら。

この地図から義援金を送りたい県を選ぶと、詳細が出てくる。

ちなみに赤い羽根は義援金の他被災地で活動するボランティア・NPO団体への活動資金のための支援金も募集していて、こちらで募金すると支援団体に送られる。同じ団体に寄付しても用途が違うケース。

【入金方法:クレジットカード、各種コンビニ、ペイジー、au、ソフトバンク】

●Yahoo!ネット基金

「令和6年能登半島地震 緊急支援募金(Yahoo!基金)」として、1月5日時点ですでに13億円以上の金額を集めている。寄付金がYahoo!の上乗せで倍額になる「マッチング寄付」が適用されていたが、すでに上限に達した。募金受付は引き続き行っている。
集まったお金は義援金、災害復旧活動、支援活動などに利用するということで寄付先は明記されていないが、過去実績では中央共同募金会、つまり赤い羽根募金へ送られていた。
【入金方法:クレジットカード、Tポイント(Yahoo!IDが必要)】

●携帯三社

携帯会社など普段からサービスを利用している企業が募金をしている場合、払い込みがしやすいUIがすでに整っているというのも大きい。ポイントを募金として使えるのも良い。

Yahoo!や携帯会社、あるいはコンビニのように、大手の企業や団体が行っている募金はあくまでも「窓口」。集まったお金は信頼のおける団体に寄付する形をとります。経費や手数料が無駄になってしまうのですが、窓口として多くの人に目に留まりやすく、宣伝効果が大きいため多額のお金が集まりやすいメリットがあります。寄付の心理的ハードルを下げることができるのです。

●CAMPFIRE/MAKUAKE(クラウドファンディング)

ネットとの親和性が高い、クラウドファンディング。NPOなどの支援団体が各々クラファンを立ち上げて募金するケースも多いが、ここではクラファン母体が立ち上げたものを紹介する。

CAMPFIREは全額を義援金として送付。
【入金方法:クレジット、コンビニ、銀行振り込み、キャリア決済、各種バーコード決済】

MAKUAKEは寄付先は必ずしも義援金とは限らず、災害復旧資金にも回る可能性があるとしている。
【入金方法:クレジットカード、コンビニ、銀行振り込み、ペイジー】


現地で活動をするNPOやNGOへの「支援金」は、機動力の高いところへ。

さて、被災者に直接配る義援金ではなく、がれきを運んだり、炊き出しや医療活動したりと、今まさに支援を行っている団体や人々へ「支援金」を送りたいという人も多いはず。その場合は活動を行うNPO・NGOや個人、あるいは募金を請け負ってそうした団体に利益分配する中間NPOに寄付するのが効果的です。

NPO・NGOさまざまですが、初動が素早く、支援のプロフェッショナルがいて、現在サイトで支援金を募集中のNPO・NGOをいくつか紹介してみます。基本的に実績のあるところは継続的に資金集めを行っているため、災害とほぼ同時に支援を開始しており、また支援が終わったとしても他の地域の支援にお金を使ってもらえます。

また、こういう災害の際によく、民間企業のこんな支援が素晴らしかったというニュースが流れますが、大きな企業は自分たちのお金で支援しています。その企業の商品を積極的に買ったり、いい企業だねと口コミで広げて応援していきましょう。

●『空飛ぶ捜索医療団ARROWS』ピースウインズ・ジャパン/シビックフォース

迅速な支援実績のあるピースウインズ・ジャパン、シビックフォースが運営する『空飛ぶ捜索医療団ARROWS』が、支援金を募っている。
支援チームは災害後すぐ現地に赴き、被害状況のリサーチ、救助支援、医療支援、緊急物資支援などを予定。活動報告のレポートも日々読める。
【入金方法:クレジットカード、銀行引き落とし】

●日本財団/災害復興支援特別基金

日本財団も義援金ではなく「被災した方々への緊急支援、家屋の復旧支援、災害 NPO の活動支援など、 いま必要とされる支援」のための募金。手数料は一切とらず、募金全額を寄付するとのこと。
【入金方法:クレジットカード、銀行口座引き落とし、銀行振り込み、コンビニ、キャリア決済、楽天dy、各種バーコード決済、Tポイント】

↓このトップページに、基金のPDFリンクあり

https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2024/01/01aaf6926a58a7307defafcfc28b8d61.pdf

●AMDA

世界32の国と地域にまたがるネットワークを活かし、多国籍医師団を結成しているNGO、アムダ。災害時にまず必要となる医師や看護師を派遣。寄付は災害別ではなくAMMDA母体に寄付する仕組みなので、お金が他の支援に回るケースもある。

貼ったリンクはアムダ全体の活動レポート。能登半島自身の記事に募金要項が書かれている。【入金方法:銀行振り込み、クレジットカード】

被災地にも、これからの生活がある。ふるさと納税

今このときももちろん大変ですが、災害で家や会社、農作物を失った方々もいるかもしれません。元の生活に戻ることは一筋縄ではいきません。
最近では復興を応援するふるさと納税という方法での支援もあります。
これも義援金になりますが、よりエリアを絞ることが可能です。

●「さとふる」令和6年1月能登半島地震 災害緊急支援寄付


ふるさと納税サイトでおなじみ「さとふる」に、返礼品を希望しない寄付があり、申込金額の全額が自治体に届く。寄付後、自治体から寄付金受領証明書が発行される。


返礼品なしのコースを紹介しましたが、被災者の方々は、これからも生きていかなくてはなりません。農作物や畜産物などの返礼品を選ぶことで、それがまた彼らの励みになるという声も見受けられました。
お金だけでなくもののやりとりを通じて、忘れない、継続的に関心が保たれる効果は大きいと思います。そういう意味で、後日返礼品ありのコースを選ぶのも間違いではないと思います。

個人の支援者を支援することについて

ここで紹介したNPOはある程度大きな団体で、すでに初動のための活動費は蓄えています。本来はいま現場で汗水たらして支援活動をしている個人や、足回りのよい小規模のNPOだが今日の活動資金が足りない、というところにお金を送りたいなと思うのが人情ですが、情報発信力も小さいため、ネットでは十分に調べにくいのが現状です。信頼できないということではなく「わからない」のです。

あくまで私の考えですが、個人にお金を寄付する場合は知人やSNSの紹介などで自分が信頼がおけると判断した「顔が見える相手」に寄付するのがベターではないかと考えています。

お金の先を気にしすぎない。支援は団体戦。

日赤や共同募金会にせよ、NPOにせよ、ふるさと納税にせよ、その活動経費や理念はまちまちです。「何に使われているかわからない」「支援のやりかたがひどかった」「効果的に使ってもらえているか疑問」など批判あるいは誹謗中傷を受けやすく、私も報告活動を調べて寄付した団体が私腹を肥やしているというような言われ方をしているのをネットで読んだことがあります。

自分の出したお金がちゃんと使われているかどうかを気にするのは当然のことです。でもその一方で、お金を支援の形に変えて届けることの大変さを考えれば、たとえ不完全であっても自分の代わりにそれをやってくれる人を信じて託す!と肚をくくったほうが、気持ちよく寄付できるのではないでしょうか。

大事なのは、みんながお金を出し合ってさまざまな取り組みをしている支援者たちを盛り上げ、被災者を支える土台を支えることではないでしょうか。支援は団体戦のようなもの。一人が負けても仲間が勝って、トータルで価値が生まれればよいのです。

500円でも1000円でも、寄付することで復興の手助けをしませんか?私もここで紹介した団体のひとつに寄付しました。

※急ぎまとめているため誤字脱字、またリンクの不備などがありましたら、遠慮なくコメントください。情報の内容自体にも修正、追加などあれば、ご連絡いただければ幸いです。

※募金をしている団体は数多くあります。その中でタイプをわかりやすく認識してもらうために、一部の紹介にとどめています。ご了承ください。

#寄付について考える

読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。