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添削屋「ミサキさん」の考察|27|「『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた」を読んでみた㉗

|26|からつづく

3⃣「……が」を使っていいのは「逆接」のときだけ

「が」も注意が必要な助詞です。覚えておきたい「が」の用法は3つあります。

◉格助詞 おもに名詞について文節同士の関係をあらわすもの
◉接続助詞 前後の文をつなぐもの

①主語を表す格助詞
 
鳴いています。
②逆接を表す接続助詞
 この薬はとびきり苦いです、効き目は高いです。
③単純接続を示す接続助詞
 昨日は雨でした、今日も雨が降るそうです。

 文章のプロの多くが、接続助詞の「が」を警戒しています。「が」は前後のつながりのない文でもくっつけてしまうからです。
 接続助詞の「が」には、上記のように「逆接」と「単純接続」の2つの用法があります。注意すべきは、単純接続の「が」です。

・逆接の「が」・・・反対のことをつなげる。接続詞の「しかし」と同じ用法。
・単純接続の「が」・・・文と文を単純につなげる。

⇒確かに、単純接続の「が」は曲者ですよね。
 下手をすると永遠につなげることができる助詞です。

例文1 単純接続
 経営陣の責任はきびしく追及されるべきだと思います、社長はどのようにお考えですか?

例文2 逆接
 経営陣の責任はきびしく追及されるべきだと思います、いまだに責任を取ろうとしていません。

例文2が代表的な使い方。例文1は「が」を削除した方が意味は通りやすい。

例文 単純接続
 期待を抱いて新規事業を開始した、その際、社員を補充した。
改善例
 期待を抱いて新規事業を開始した。その際、社員を補充した。

※「が」を逆接で使う場合は、例えば、
 
「期待を抱いて新規事業を開始させた、軌道に乗っていない。」

井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』(新潮社)の中での井上ひさしさんの言葉。
「今日は、朝から雨だが、会社で弁当を食べた」
⇒「雨が降ると役所の都合で弁当がとれないとか、いろいろ事情はあるらしい。その事情の説明抜きでも『が』を使うと簡単に文章ができちゃう

 単純接続の「が」を多用すると、論理が破綻しやすくなったり、1文が長くなったりします。
 「が」は、「逆接に限って使用する」ようにしましょう。

⇒以前ご紹介した、主語の違う2つの文章がつながって1つの文になっている例も、このような「が」の安易な使用によるものです。
単純接続の「が」を使わないようにするのも一つの手ですが、使う場合でも文章の論理構造を慎重に見ながら使うべきかと私は思います。

「が」をどう使うか、というより、論理性を心がける必要があるように思います。

|28|につづく


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